(33)食用のキノコもよく加熱して食べましょう!

 秋はキノコ狩りのシーズンですが、エリンギ、マイタケ、シメジ、シイタケなど年間を通して、キノコは食材として使われています。姿形と八百屋で販売されていることから植物と思っている人もいるようですが、キノコはカビや酵母と同じ菌類(真菌)に属しています。



 カビの多くは子嚢菌(しのうきん)に、キノコの多くは担子菌と呼ばれるグループに属します。クロカビやアオカビなどのカビは菌糸を作りますが、実はキノコも木の内部や土中にカビのような菌糸を作り成長します。私たちが普段食べるかさや軸の部分は子実体と呼ばれていて、胞子を作るために菌糸から成長した器官です。子実体を作る真菌をまとめてキノコと総称しています。

 キノコの仲間には、漢方薬として利用される冬虫夏草のように昆虫に寄生して成長する種類もあります。ちなみに、近年の遺伝子解析データから、真菌は植物よりも動物やアメーバに近いグループに属するということが分かっています。


 野生のキノコが生える秋は、キノコによる食中毒が増える時期です。厚生労働省の統計によると、キノコの食中毒は事故は9月から10月に集中して起きており、平成23年〜27年の9・10月の月平均で約50名の方が食中毒になっています。中毒例が多い「ツキヨタケ」と「ワラサベニタケ」は食用キノコと間違えて食べてしまうことが主な原因です。食用キノコと毒キノコの見分け方はとても難しく、生半可な自己判断で野生のキノコを食べるのは大変危険です。食べる前に専門家に鑑定してもらう必要があります。毒キノコの毒は熱や酸・アルカリにも強いことが多いため、加熱調理して毒成分が分解することなく残ります。


 身近なキノコにも注意しなければならない種類がいます。生シイタケを食べたことによるシイタケ皮膚炎がその例です。シイタケを食べた後、全身に現れる湿疹が主な症状です。干しシイタケの戻し汁やシイタケチップスでも発症例が報告されています。健康番組で干しシイタケの戻し汁が取り上げられた際に多発したことがありました。生や加熱不十分のシイタケです。エリンギや舞茸はシアン産生菌で、生命には別条ないものの、少量の青酸化合物を含んでいることがあります。その他、食用とされているキノコであってもわずかに毒性成分を含んでいる種が少なくありません。しかしながら、食用キノコに含まれる毒性成分は毒キノコと異なり熱に弱いので加熱することで無害化されます。キノコを食べる際には十分に加熱調理しましょう。


【関連キーワード】 
キノコ,担子菌,冬虫夏草,食中毒事故,毒キノコ,ツキヨタケ,ワラサベニタケ,生シイタケ,シイタケ皮膚炎,エリンギ,舞茸,加熱調理


(2016.9.30更新 エフシージー総合研究所 IPM研究室)



産経新聞掲載記事『微に入り細に入り』

次回の更新は10月14日(金)を予定しています。

IPM研究室

IPM研究室
室内環境の有害物質を調査し、対策を研究・ご提案します。特に「室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究」を主たる仕事としています。研究や調査のご依頼がある場合は、お気軽にお問い合わせください。【IPM研究室はこちら】