(31)各地に広がるグンバイムシの被害

 グンバイムシは、カメムシ目グンバイムシ科に属する昆虫で、世界で約2600種、日本では約70種が知られています。グンバイムシの和名は、背面から見たときの閉じた半翅鞘の形が相撲の行司が使う軍配うちわに似ていることに由来します。また、半翅鞘がレース編みに似ていることから英名ではレースバッグ(レース虫)と呼ばれています。



 体長2.5〜5.5ミリで、ストロー状の口器をもち、植物の汁液を吸い取ります。近年、世界的な物流システムの流れや気候変動の影響から外来のグンバイムシの被害が日本全国に拡大しています。街路樹のプラタナスを加害するプラタナスグンバイ(写真)、セイタカアワダチソウに留まらず栽培菊を加害するアワダチソウグンバイ、ヘクソカズラを加害するヘクソカズラグンバイの3種は、いずれも1990年代後半に日本に侵入してきた外来種です。現在では日本各地で発生が確認され、年々、被害が拡大しています。特に、初夏から秋季にかけて街の風景を彩るプラタナスの被害は甚大で、吸汁加害によって鮮やかな緑色の葉が白く変色し、やがて枯れてしまいます。また、大量繁殖によって排出される排泄物が悪臭を放ち、通行人に不快感を与えます。


 在来種の被害も目立つようになりました。ツツジグンバイは、ツツジ科植物に寄生し、園芸品種のオオムラサキやサツキを好んで加害することから一般にも良く知られています。ナシグンバイはナシ、リンゴ、モモ、サンザシ、ボケ、サクラなどのバラ科木本を広く加害します。トサカグンバイは、クス科、バラ科、ツツジ科、カキノキ科など極めて多くの植物を加害します。また、キクグンバイはヨモギやヨメナなどのキク科雑草に寄生し、時として栽培菊も加害します。


 グンバイムシは街路樹や公園の植物の害虫というだけではなく、園芸植物や家庭の庭木を加害する園芸害虫でもあります。家庭での防除法としては、先ず、枝を間引いて風通しをよくし、ときどき葉水をして乾燥を防ぐことが加害を予防に繋がります。そして、初期の加害をいち早く見つけることが大切です。葉緑素が抜けた白い斑点がないかどうか観察しましょう。白い斑点を見つけたら葉裏を観察し、ハリネズミのようにトゲが生えた幼虫とタール状の排泄物があれば間違いなくグンバイムシの寄生です。

 もしも寄生を見つけたら、浸透移行性殺虫剤を使いましょう。葉や根から植物の体内に殺虫成分を取り込ませ、この成分(ネオニコチノイド系化合物)が植物体内を速やかに浸透移行して茎や葉に到達するので、吸汁性のグンバイムシに効果があります。


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(2016.9.2更新 エフシージー総合研究所 IPM研究室)



産経新聞掲載記事『微に入り細に入り』

次回の更新は9月16日(金)を予定しています。

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