(23)病原性大腸菌の予防は加熱と天日干しで!

  5月5日の立夏を過ぎて全国的に夏日の日が出るなど気温が高く湿気の多いシーズンを迎えました。それとともに気をつけなければならないのが食中毒です。熊本地震の被災地では、黄色ブドウ球菌に汚染された食品が原因の食中毒が発生しました。黄色ブドウ球菌と同様に食中毒の原因細菌として一般にも良く知られているのが大腸菌(写真)です。平成8年に学校給食の食中毒事件が相次いで起こりましたが、その原因細菌として一躍有名になったのが「腸管出血性大腸菌O157(以下O157)」です。



 大腸菌は、人をはじめとする哺乳動物の腸内に普通に生息する腸内細菌の一つです。また、環境中にも広く分布しています。細菌類は犬や猫の品種にあたる「株(系統)」と呼ばれるグループに分けられます。大腸菌も多くの株が存在し、ごく一部の菌株が食中毒を引き起こす性質をもちます。ほとんどの菌株は無害または軽い下痢を引き起こすだけで、重い症状を引き起こすことはありません。


 食中毒を引き起こす種類の大腸菌は、「病原性大腸菌」と呼ばれる菌株です。その中でも激しい下痢などの腸炎を引き起こすO157はベロ毒素と呼ばれる強い毒素をつくる「腸管出血性大腸菌感染症」の大腸菌です。O157は、100個程度のとても少ない菌数で感染が成立し、3~5日後から激しい腹痛、下痢、血便を引き起こし、最悪の場合には死に至るのが特徴です。


 大腸菌食中毒の予防は、細菌性食中毒の標語として知られる「つけない・増やさない・殺菌する」を最大限実行するのがポイントです。調理する前には、除菌石鹸を使って手指を十分洗浄すること。食材を調理する際に、生で口にする野菜や果物と生肉の接触を避けるため、まな板や包丁を使い分けましょう。病原性大腸菌は加熱不十分な料理から感染することが多いので、特に夏季はしっかり中心部まで加熱することが大切です。生肉を調理した包丁とまな板は十分洗浄するだけでなく、消毒用エタノールや塩素系漂白剤を使って噴霧殺菌に心がけてください。


 スポンジの管理も大切です。使用後のスポンジは洗浄後に水気を絞って、吊るして乾かしましょう。そして、晴天日には天日干しによる紫外線殺菌をお勧めします。
 また、民家とその周辺に普通に生息するイエバエがO157を媒介することが科学的に確かめられています。イエバエの口器内でO157が増殖し、食べ物に付着して感染が成立するとうメカニズムです。ですから、イエバエを家の中やごみ置き場に呼び寄せない工夫も大切です。生ゴミ臭が外に漏れないようポリ袋を二重にしてゴミ箱の蓋をしっかり閉めましょう。


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(2016.5.13更新 エフシージー総合研究所 IPM研究室)



産経新聞掲載記事『微に入り細に入り』

次回の更新は5月27日(金)を予定しています。

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