(6)冷蔵庫のカビ繁殖に注意!

 微生物の増殖を抑制する手段の一つとして冷蔵庫があります。冷蔵庫の冷蔵室は、「室温15〜30℃の環境で、庫内を0〜10℃の範囲で調整できること」とJIS規格で定められていて、一般的な冷蔵庫では冷蔵室が約3〜6℃、野菜室が3〜8℃になるように設定されています。これは食品の細菌による腐敗変敗を抑える効果がありますが、カビ(真菌)の繁殖を抑える温度ではありません。カビの種類は様々で、0℃を超える低温であれば菌糸の伸長が停止することなく、ゆっくりと成長し続けるカビも普通に存在します。


 冷蔵庫の中でカビが生えやすいポイントは、(1)結露が付きやすくホコリが溜まりやすいドアパッキンとドアポケット、(2)製氷用の水タンク、(3)細かなごみが溜まりやすい野菜室が挙げられます。特に水タンクの蓋<写真>やフィルターは見落としがちなため、気づいた時には黒色のカビや赤色の酵母が繁殖していることがあります。冷蔵庫内でも1か月ほどで黒く見えるほど繁殖してしまうので注意が必要です。


 冷蔵庫内で発生する黒色のカビは1種類ではなく、生活環境中に潜んでいる複数種のカビが生えます。当研究所が実施した調査では、アスペルギルス属、オーレオバシディウム属、クラドスポリウム属、フォーマ属など黒色に見えるカビが一般住宅の冷蔵庫内から見つかりました。水タンクのフィルターからはアオカビや赤色酵母が見つかることもありました。


 黒色のカビの仲間は好湿性で、浴室の目地や排水溝、台所の三角コーナーなど、常に湿っているところでよく繁殖します。
 そこで、カビが繁殖する前に、日常的な掃除をして繁殖を予防する必要があります。カビの栄養素となる汚れや野菜クズを除去した後、消毒用エタノールを噴霧してしっかりふき取ると効果的です。ふき取った布片やペーパータオルはそのまま廃棄が基本です。製氷用の水タンクは、週に1度はタンク内と外側を丸ごと水洗いすると良いです。もしカビが生えてしまった時には、塩素系漂白剤に浸けてしっかり殺菌してください。
 冷蔵庫を過信せず、カビ汚染を意識して衛生的に使うよう心がけましょう。



黒色のカビの顕微鏡像(フォーマ属)

黒色のカビの顕微鏡像(オーレオバシディウム属)

【関連キーワード】 アスペルギルス属(Aspergillus), オーレオバシディウム属(Aureobasidium) , クラドスポリウム属(Cladosporium), フォーマ属(Phoma



(2015.9.18更新 エフシージー総合研究所 IPM研究室)



産経新聞掲載記事『微に入り細に入り』

次回の更新は10月2日(金)を予定しています。

IPM研究室

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室内環境の有害物質を調査し、対策を研究・ご提案します。特に「室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究」を主たる仕事としています。研究や調査のご依頼がある場合は、お気軽にお問い合わせください。【IPM研究室はこちら】