フジテレビ商品研究所

商品研究レポート

流せるトイレクリーナーを調査

〜水へのほぐれやすさはいかに 〜

 お掃除に便利なトイレクリーナー。近頃では、そのままトイレに流せるといった商品が数多く販売されています。今回は市販のトイレクリーナーを使い水へのほぐれやすさを調査しました。


流せるトイレクリーナーを調査しました

〝 流せる 〟と〝 ほぐれやすさ 〟の関係

 多くの水洗トイレメーカーでは配管の詰まりを防止するため、汚物やトイレットペーパー以外のものを流さないよう案内しています。
 トイレットペーパーの品質基準は日本工業規格(JISP4501)で決められており、〝水へのほぐれやすさ〟もその一つ。トイレクリーナーについての品質基準は現状、報告されていませんが、〝トイレに流せる〟とうたうには少なくともトイレットペーパーと同じように水にほぐれることが求められます。消費者庁からもパッケージに「トイレに流せる」「水にほぐれる」などと記載する場合、トイレットペーパーと同程度のほぐれやすさを有している、あるいは使用後にトイレクリーナーを水洗トイレに流しても水洗トイレの取り扱い上の問題が生じないことが必要と注意喚起されています。  今回は、市販の乾式のトイレットペーパーと水に流せるタイプのトイレクリーナー4つを使い、水へのほぐれやすさの傾向をそれぞれ比較しました(表1)。

JIS 規格に準拠した試験を実施

 試験方法はJ I S P 4 5 0 1 に準拠し、行いました。まず、水道水(20±5℃)を入れた300mlのビーカーを用意。次に回転子・マグネッチックスターラ―という試験器具を使い、回転子の速度(回転数)が600±10回転/ 分になるよう攪拌・調整しました。
 次に一辺が114±2mm角の試験片を撹拌中のビーカーに入れ、ストップウォッチを使ってほぐれるまでの時間を測定。回転子の速度は試験片の抵抗によっていったんは下がりますが、試験片がほぐれることで抵抗が減るため、回転数は徐々に上昇します。試験片がほぐれ、540回転まで回転数が回復した時点で測定を止め、試験開始から100秒以内であれば、ほぐれやすさの基準を満たしたことになります(図1)。試験は各試験品とも5回行い、平均値を求め、基準を満たしているか判定しました。また、2枚以上重なっているものについては1枚にして行いました。


表1 試験品

基準を満たしたものは1つだけ

 試験結果を図2に示します。ほぐれやすさの評価はJIS規格に従い、基準を満たしたものは「 〇(水に対してほぐれる)」、そうでないものは「 ×(水に対してほぐれない)」と判定しました。また、投入直後と100秒後の試験片の状態や水の濁度については目視により観察しました。
 結果、Aの試験片のみがJIS規格の基準を満たし、他の試験片は水に対する「ほぐれやすさ」の基準に達しませんでした。また、投入から100秒後の試験片の状態を観察したところ、Aは投入してから早い段階で細かくほぐれ、白く濁っている様子が確認できました。
 一方、Bの試験片ではAの試験片ほどの細かなほぐれはみられず、CとDについては大きな変化は観察されませんでした。B、C、D では回転子への抵抗が大きくなり、回転数が回復しない傾向がみられました。

 

図1 試験の様子

図2 JIS規格によるほぐれやすさの試験結果

時間をかければほぐれるものも

 図2の結果から、JIS規格の基準に達しないトイレクリーナーもみられましたが、実際にトイレクリーナーを使用する際はトイレに流した後に配管を通り、長い時間水に浸される環境が考えられます。
 そこで、J I S 規格基準に達しなかったB、C、Dについて水に長時間浸された場合の「ほぐれやすさ」を調べるため、追加試験を行いました。水量、試験片の大きさ、試験片投入前の回転数などの基本的な試験方法はJIS規格に準じ、測定時間のみ6分に延長して行いました。

 結果を図3に示します。縦軸は回転数、横軸は測定時間とし、経過時間ごとに回転数を記録しました。回転数が高くなるほどほぐれやすく、J I S規格では、540回転まで回復した状態を〝 ほぐれた 〟としています。試験の結果、トイレットペーパーとAは開始から1 0 0 秒以内に5 4 0 回転まで回復しているのに対し、B とC は投入直後からおおよそ100秒で回転数が徐々に回復。時間をかけることで540回転にまで回復し、ほぐれる様子が観察できました。唯一、Dの試験片は360秒経過しても回転数が回復せず、ほぐれる様子が観察できませんでした。
 図2、3の試験から「トイレに流せる」タイプでもほぐれやすさの傾向に違いがあり、AのようにJIS規格の基準を満たすものもあれば、BとCのようにJIS規格には達しないものの、水に浸す時間を長くすることでほぐれるものもありました。

 一方で、Dのように時間をかけてもほとんどほぐれないものもあり、商品によるほぐれやすさの違いが明らかになりました。
 試験片を投入してから20秒後に注目した場合(図3 黒矢印➡)、回転数は、トイレットペーパー、A、B、C、Dの順で高く、60秒経過(図3 初期段階)するまでに、回転数が200回転を下回る場合は、JIS規格に達せず、ほぐれにくい傾向がみられました。以上の結果から、トイレクリーナーのほぐれやすさには、試験片を投入してから、短時間のうちに回転数が高くなることが大きく影響していると考えられます。また、今回の試験に使用した試験片は水に浸されている時間を除き、成分、材質等に大きな違いはみられず、シートの構造などの特性が「ほぐれやすさ」に影響していることが推測されます。


図3 経時変化の様子


正しく使うことが大事

 トイレクリーナーは、お掃除の際、活躍する便利グッズですが、使い方を誤ってしまうと配管の詰まりなどにつながる可能性もあります。トイレに流せるタイプでも今回の結果から分かるように、商品によってほぐれやすさに大きな違いがあり、取り扱いには注意が必要です。

 トラブルを防ぐためには流せると書かれた商品でもできるだけ流さず、どうしても流す場合には「多めの水で流す」「一度に大量のペーパーを流さないで1枚ずつ流す」など、自治体や各メーカーの指示にしたがい、適切に扱うことが大切です。シートを厚手で丈夫にしたり、汚れが落ちやすいよう表面の形状を変えるなど、メーカーごとにさまざまな工夫がみられます。便利グッズを正しく使い、快適なお掃除ライフにお役立てください。
(※ 結果は今回の条件に限ったものですのでメーカーの各種公表値と必ずしも一致しない場合があります。)

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(2020.6.16 生活科学研究室)

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