エフシージー総合研究所・フジテレビ商品研究所

2012年研究発表

日本マイコトキシン学会 第71回学術講演会

沖縄県泡盛醸造工場内におけるsection Nigri の調査とmycotoxin 産生能
日時と場所: 2012年7月6日〜7日 沖縄県市町村自治会館(沖縄県那覇市旭町116-37)
発表演題と発表者: 沖縄県泡盛醸造工場内におけるsection Nigri の調査とmycotoxin 産生能
川上 裕司1),橋本 一浩1),橋本 ルイコ2),浅野 勝佳3),陰地 義樹3), 横山 耕治4),高橋 治男5)
1)(株)エフシージー総合研究所 IPM研究室
2)千葉県衛研 3)奈良保健環境研 4)千葉大真菌医学研 5)国立衛研

目的

演者らは、これまで環境由来カビによるワイン等のmycotoxin 汚染がないかどうかを調べることを目的として、「ぶどう園などにおけるAspergillus section NigriA.niger group)の分布と分離株のmycotoxin 産生能」について研究を行ってきた1)。今回、泡盛醸造工場のご好意により、泡盛へのmycotoxin 汚染が懸念される環境由来カビが存在するかどうかを調べることを目的として、調査を実施したので報告する。

方法

調査は2011 年5 月24 日、沖縄県名護市内にある老舗の泡盛製造所で実施した。浮遊菌の採取は、製造場内の26ヵ所からSAS スーパー100CR エアーサンプラー(International Pbi)を用いて行った。付着菌の採取は、製造場内のタンクなど4 ヵ所から滅菌スタンプ瓶(栄研化学)を用いて行った。いずれの採取もDG-18 平板培地を使用した。上記の平板培地を25℃で5〜10 日間培養後,発生したcolony を釣菌し,純培養した。その後、プレパラート標本を制作して光学顕微鏡レベルの同定を行った。

Aspergillus section Nigri として同定したmycotoxin 産生能検査株は、空気中から分離した7 株と製造施設の機材などから分離した1 株の計8 株を対象とした。検査株はPDA 斜面培地で7 日間培養し、接種菌株とした。オクラトキシンA(OTA)産生能試験は、大麦30g に菌株を接種し、20℃で7 日間培養後、アセトニトリル/水(6:4)50mLを加えて破砕、遠心分離し、上清を測定試料とした。フモニシンB2(FB)産生能試験は、精白米20g に菌株を接種し、25℃で7 日間培養後、メタノール/水(3:1)50mLを加えて破砕、遠心分離し、上清を測定試料とした。それぞれの試料はLC/MS/MSを用いてOTA およびFB の分析を行った。

Cytb 遺伝子の解析は、培養菌体から市販キットを用いてDNA を抽出し、PCR 法にて増幅、ダイレクトシーケンスにて塩基配列(402bp)を決定した。

結果

今回供試した7検査株は、いずれもOTA およびFB の産生能は認められなかった。Cytb 遺伝子タイプは全てAN-D-9 であり、調査した酒造所でも使われている一般的な黒麹菌と同様のDNA タイプであった。今回、浮遊菌を中心に調査を実施したが、浮遊菌の調査は環境由来の菌叢を色濃く反映することが演者らの調査から示唆されている2)。このことから、調査を実施した老舗の泡盛製造所の泡盛が環境中から mycotoxin 汚染する可能性は極めて低いと考える。

(文献)
1) K. Yokoyama et al., Mycotoxins, 58(2), 143-149 (2008).
2) Y. Kawakami et al., Indoor Environment, 155-162 (2007).

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