vol.69 瞬間接着剤を使用する時は、軍手は使わずに!


 近ごろ話題のDIY。簡単な踏み台を作ったり、扉を補修したり、気候がよくなるこれからの時期は庭先などで日曜大工に励む方も多いのではないでしょうか。そんな、金づちやドライバーを握る作業の途中、軍手などをはめたまま金具の仮止めなどに瞬間接着剤を使っていませんか? 
 じつは、瞬間接着剤は軍手などに付くと急激に温度が上昇し、やけどをする危険があることはあまり知られていません。

 一般的な瞬間接着剤(硬質プラスティック・金属・合成ゴム接着用)の注意表示には、
「布・裏革につくと発熱する。やけどの恐れがある。」旨の表示がされています。
 これは、被着材表面の水分と反応して急速に重合・硬化をするという瞬間接着剤の仕組みにより、表面積が大きな布などの場合、瞬時に接着剤が広がって、必要以上の水分と反応することで、異常な温度上昇をするということです。

一般的な瞬間接着剤(硬質プラスティック・金属・合成ゴム接着用)の注意表示

 一体、どの程度まで温度が上昇するか、調べてみました。
 試験方法は、瞬間接着剤1〜2滴を生地に滴下し、温度の上昇をサーモビューアで確認し、最高温度、到達時間、冷却(35℃)までの時間を調べました。それぞれ2回繰り返し、高い温度のものを採用しました。

 試験に用いた瞬間接着剤はA〜D社の4品。いずれも主成分がシアノアクリレートで、A社は95%以上、B社は97%、C社は90%以上、D社は100%それぞれ含有しています。
 これら4つの接着剤について、一般的な軍手(ポリエステル/綿/その他)と、薄手の作業用白手袋(綿100%)で温度上昇を確認しました。結果は以下の通りです。

A〜D社の4品で温度上昇を確認しました。

 軍手では、4つの商品ともに100℃を超え、A社、B社のものは約180℃まで上昇しました。この180℃という温度はアイロンの「高」設定と同等の温度です。さらに、注目すべきことは、この温度に到達するまでの時間。どちらも10秒程度しかかかっていないのです。このことはつまり、軍手をしたままで作業を行い、不注意で接着剤をつけてしまうと、手袋を外す間もなくやけどをしかねない恐れがあることを示しています。作業用の薄手白手袋では、軍手ほどの温度上昇は確認されませんが、それでも高いものでは40℃近くまで上昇するものもありました。

 瞬間接着剤を使う時は、軍手など布製の保護手袋は避けましょう。手についた接着剤は乾いた後、割合、きれいに剥がせるので心配いりませんが、剥がしにくい時は、無理に剥がすことはせず、そのままにしておけば、2日程度で自然に剥がれていきます。


 また、瞬間接着剤を扱う時は、テーブルなどへの接着剤の付着や白化を防ぐために、新聞紙などを敷きますね。台ふきんや化学ぞうきんを使った場合、同じような発熱の心配がないのか、下に敷くものについても調べてみました。

台ふきんや化学ぞうきんを使った場合

 台ふきんはお茶碗などを拭く一般的な市販のふきん(綿/レーヨン)で、化学ぞうきん①はマイクロファイバー使用(ポリエステル/ナイロン)で厚さが1.5mm、化学ぞうきん②は同じくマイクロファイバー使用(ポリエステル/ナイロン)で厚さ5.9mmと厚手のぞうきんです。
 台ふきん、化学ぞうきん①で、100℃を超えるものがあり、また化学ぞうきん②では2社で186℃、166℃という、軍手なみに高い温度になるものもありました。


 このように、布製で繊維が起毛したり、細かい繊維でバルキー感があったりと、繊維表面に多くの空気を含みやすい生地の場合には、瞬間接着剤がついてしまうと、瞬間的に温度が上昇しかねません。新聞紙ではそういう危険性はありませんので、布類ではなく新聞紙やビニールシートを敷物にして作業を行うようにすると良いでしょう。

(2017.4.12)

生活科学研究室