(102)グローバル化する事業に対応

旭化成 広報室長 楠神輝美氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 旭化成 広報室長 楠神輝美氏
新聞発行日 2019年10月3日(木)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
楠神輝美(くすかみ・てるみ)
 1987年関西大文卒、旭化成工業(現旭化成)入社。人事部に配属。繊維本部を経てサランラップ販売(現旭化成ホームプロダクツ)では「サランラップ」、ドイツ生まれの食器用洗剤「フロッシュ」シリーズのマーケティングや営業などを担当。2017年から現職。


─事業のグローバル化が進んでいます
 旭化成グループは1922年の創業以来、世界の人々の“いのち”と“くらし”に貢献してきました。現在、持ち株会社の旭化成と傘下の6つの事業会社を中核に、マテリアル、住宅、ヘルスケアの3領域で事業を展開、人員も約4割が海外です。住宅は、戸建て住宅「へーベルハウス」の販売など国内が中心ですが、環境に優しく付加価値の高い素材、製品を開発しているマテリアルと、“人びとのいのちを救う”ヘルスケアは海外売上の比率が5割を超えています。海外企業などとのM&A(企業の合併・買収)によりさらなるグローバル展開に取り組んでいます。


─今年度、新中期経営計画を発表しました
 2021年を最終年度とする新中期経営計画「Cs+(シーズプラス) for Tomorrow 2021」(2019~2021)では、「環境・エネルギー」「モビリティ」「ライフマテリアル」「ホーム&リビング」「ヘルスケア」の5つを重点分野に掲げ、サステナブルな社会の実現に向け、事業を通じ貢献することを目指しています。「モビリティ」では、未来のモビリティ社会で、環境負荷や快適な車室空間に貢献できる製品やサービスの開発・販売を強化しています。昨年買収した米国の自動車内装材メーカー「Sage(セージ)社」の商流やデザイン力を活用するほか、全社横断のマーケティング組織がハブとなって、自動車メーカーや部品メーカーに当社のソリューションを提案しています。こうした取り組みを、人物にフォーカスしたり、ストーリー仕立てにしたりして、SNSや社内報で発信するなど、実際にその事業に関わっている人たちだけでなく他事業の従業員にも内容が伝わるような工夫をし、当社グループで働くことが誇りに思える発信を心掛けています。


─欧州でも積極的に事業展開しています
 16年にドイツ・デュッセルドルフに旭化成ヨーロッパを開所しました。欧州は自動車分野と環境ビジネスに関するグローバルな情報発信基地として重要な拠点となっており、本社広報室からベテランスタッフが駐在しています。まだ知名度の低い欧州では記者会見やニュースリリースの際に、まず旭化成がどういう会社なのかを説明しています。昨年あたりからその成果が現れ始め、「クルマ社会の将来」をテーマに開催したシンポジウムには多くのメディアに参加いただきました。


─広報体制は
 広報室の国内メンバーは私を含めて総勢14人です。報道(6人)、ブランドコミュニケーション(7人)の2グループで構成しています。海外の広報担当は、ニューヨークに1人、上海に1人、北京に1人、デュッセルドルフに3人いますが、年1回東京本社に集まり、「旭化成の広報は何を目指していくか。そのためにどんな活動をしていくか」をテーマに情報交換しています。


─22年に100周年を迎えます
 ブランディングの歴史を振り返ると、1960~90年代はテレビ番組「スター千一夜」や「なるほど!ザ・ワールド」の番組提供を通じて旭化成を知っていただきました。97年からの「イヒ!」(イとヒが社名の真ん中「化」)キャンペーンでは、ヒラメキをキーワードに「おもしろそうな会社」と認知してもらいました。2007年に「昨日まで世界になかったものを。」の企業広告シリーズをスタートし、「世の中のさまざまな問題を技術で解決する会社」を打ち出しました。今後も、「新しいことにチャレンジしながら持続可能な社会に貢献し、持続的に企業価値を高めていく企業集団でありたい」という旭化成の姿をグローバルにアピールしていきたいと思います。



(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子  -随時掲載)