研究員オダの環境レポート
Vol.43 住浴室に潜むカビ
<2015.03.16 更新>

■ 浴室でよく見るカビ
 前回お話した室内環境中の3大カビは、特に普段生活しているリビングや寝室でよく見つかるカビでした。お風呂場や洗濯槽はほかの室内環境よりも平均湿度が高く、水分も多いため、寝室やリビングルームとは異なるカビが見つかります。私たちが実施した一般住宅の浴室調査では、浴槽の蓋からはCladosporium属のカビが見つかりましたが、浴室の天井やドア、シャンプーボトルからはPhoma(フォーマ;写真)が分離されました。これらのカビは目地などに使われているシリコン内部に入り込み黒く汚染することが知られています。他にはExophila属、Cladophialophora>属、Scolecobasidium属などの黒色のカビが浴室で見つかります。

Phoma sp.の写真(左:コロニー、右:胞子・被子器)

 排水溝やシャンプーボトルの底などに発生するピンク色の「ヌメリ」、これは増殖したRhodotorula(赤色酵母の仲間)です。Rhodotorulaは浴室に限らず、常に水分が豊富な水まわり全般で発生します。冬場、水が入ったままになった冷蔵庫内の浄水器内に発生した例もあります。Rhodotorulaが発生しやすい環境は他のカビも生えやすいので注意が必要です。

■ 浴室カビの防除
 好湿性のカビも、浴室の表面に生息している場合は塩素系殺菌剤や消毒用エタノールで殺菌することができます。しかしながら、シリコンの内部まで繁殖してしまった場合、殺菌剤がカビに届くまで時間がかかり厄介です。中でも、シリコンの深くまで入り込んでしまったPhomaは、次亜塩素酸ナトリウムに10分間処理しても完全に殺菌できなかった、との事例もあります。
 汚染を防ぐために、カビの繁殖しやすい環境である浴室は日ごろから小まめな掃除と換気を心がけましょう。花粉症のために室内干しをしている方は、浴室で除湿機やオイルヒーターを使うと洗濯物を手早く乾かしながら、浴室の乾燥が同時に行えます。しかし、乾かしすぎて排水溝トラップの水量が無くなってしまうと、下水から悪臭が浴室内に入ってしまいますので、乾燥時間が長くなるようなら、排水溝に簡単な蓋をしてトラップの水量がなくならないよう注意してください。

 
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このコラムについて エフシージー総合研究所・IPM研究室の活動内容や、研究中の内容をスタッフ目線でレポートした記事です。一般のかた向けに分かりやすく解説しています。
IPM研究室とは エフシージー総合研究所・暮らしの科学部所属。室内環境の有害物質を調査・研究しています。特に「室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究」を主仕事としています。
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