研究員オダの環境レポート
Vol.32 「抗菌・除菌・殺菌」の違い
<2014.12.08 更新>

 「抗菌・除菌・殺菌」皆さんは、これらの言葉を正確に理解していますか?私は入社するまでは、「何か違う」とわかっていても、「どのように違うのか」説明できませんでした。今日はこれらの用語の要点を簡単に解説します。

■細菌に効果がある「抗菌」と「除菌」
 1999年に経済産業省から発表された「抗菌加工製品ガイドライン」では、「(抗菌加工した)製品の表面における細菌の増殖を抑制すること」としています。一般社団法人 抗菌製品技術協議会によると、「細菌の増殖を抑制する緩やかな効果」としています。抗菌効果はISOに準拠した試験に合格した製品には「SIAAマーク」がつけられています。抗菌試験には大腸菌や黄色ブドウ球菌などいくつかの決められた細菌が利用されます。
 「除菌」は「洗剤・石けん公正取引協議会」が定義しています。これによると「物理的、化学的または生物学的作用などにより、対象物から増殖可能な細菌の数(生菌数)を有効数減少させること」としています。同協会が定めた規格試験に合格することで、除菌効果をうたうことができます。具体的には、大腸菌と黄色ブドウ球菌を1/100以下に減少させる能力のことを言います。試験は細菌に対して行われるため、カビや酵母などの真菌類に対する効果についてはうたっていません。
 これら2つの効果はどちらも細菌を対象としているもので、カビを対象としている場合には「防カビ」と表記されますのでご注意ください。

■消毒・殺菌・滅菌
 これらの用語も非常に似た印象を受けますが、大きく意味の異なる用語です。
 「消毒」は目的とする場所から病原微生物の数を減らして無害にすることです。微生物を殺さなくとも、除去や有害な能力を減らすことで、無害化させることも消毒に含まれます。そのため「消毒殺菌」のように、消毒のために殺菌を行うといった表現もあります。
 一方の「殺菌」と「滅菌」は、カビ・細菌・ウイルスなどの微生物を死滅させることです。「滅菌」は100%微生物を死滅させることを目的としており、ISOで規格化されています。日本医療機器学会の「医療現場における滅菌保証のガイドライン」では、滅菌対象によって加熱、電磁波、ガスなど様々な滅菌方法が規定されています。「殺菌」は、微生物を死滅させる点は滅菌と同じですが、規格化されておらず具体的な種類や程度が規定されていません。そのため、厳密にはその有効性は保証されておらず、言い換えれば100%の効果が得られなくとも「殺菌」の表示をすることができます。また、「殺菌」と「消毒」は、医薬品や医薬部外品での利用のみが認められているもので、洗剤や消臭スプレーなどでは使うことができません。

 「抗菌」「除菌」「消毒」「殺菌」これらの言葉を使った商品は様々な分野で数多く出回っています。これらの言葉を正しく理解して、それぞれの製品を有効的に利用しましょう。

 
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このコラムについて エフシージー総合研究所・IPM研究室の活動内容や、研究中の内容をスタッフ目線でレポートした記事です。一般のかた向けに分かりやすく解説しています。
IPM研究室とは エフシージー総合研究所・暮らしの科学部所属。室内環境の有害物質を調査・研究しています。特に「室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究」を主仕事としています。
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