研究員オダの環境レポート
Vol.14 大きさからみた微生物の違い
<2014.07.14 更新>

 テレビや雑誌などの媒体では、さまざまな微生物、例えば「カビ」や「大腸菌」、「インフルエンザウイルス」などを、「菌」や「雑菌」などと一まとめにして、非常にあいまいに取り扱われることが多いようです。例として挙げた3種類の微生物は、「菌類」「細菌」「ウイルス」と、まったく異なる微生物です。これらの微生物はそれぞれどこが違うのでしょうか。一番わかりやすい大きさの違いから、比較してみましょう。

 下図に、3種類の微生物の中から、一般的に知られているアオカビ、大腸菌、インフルエンザウイルスの大きさを比べてみました。このように大きさだけに注目しても、微生物の種類によってまったく異なります。

微生物の種類と大きさ

① 菌類(真菌)
 ミカンに生えるアオカビや、お風呂の目地に生えるクロカビなどカビ類は菌類(真核生物;細胞内に核がある)に分類されます。他にもパンを作る際の酵母やキノコがこの菌類に含まれます。菌類の胞子の大きさは5〜12μm(マイクロメートル;1mmの1000分の1)ほどで、髪の毛の太さ(0.1mm前後)の100分の1です。カビ胞子自体は目に見えませんが、有色の胞子や菌糸の場合、繁殖した状態は目で見ることができます

②細菌
 大腸菌は細菌の一種で、菌類と大きく異なる原核生物(細胞内に核が無い)です。大腸菌のほかに納豆菌やサルモネラ菌も細菌の仲間です。また、台所やお風呂場のぬめりは細菌が原因です。菌糸やキノコなど菌類の多くは多細胞ですが、細菌は基本的に単細胞生物です。大体の細菌は0.5〜5μm前後の大きさで菌類よりも一桁程度小さなサイズです。

③ウイルス
 インフルエンザウイルスは細菌よりもさらに小さく、100nm(ナノメートル;1μmの1000分の1)程度の大きさで、最近話題に上がることが多くなったPM2.5よりも小さな粒子です。菌類と細菌は細胞を持っていますが、ウイルスは細胞を持っていないため、自己増殖ができません。そのためほかの生き物の細胞に侵入して、そこで増殖します。細胞を持たないことからウイルスを非生物と考える説もあります。

 いかがでしたでしょうか。
 一口に微生物と言っても、このようにまったく異なる生物が含まれています。一般の人が普段使う分には「雑菌」や「菌」と呼んだほうが、伝わりやすい場面も多いかと思います。しかし、テレビや雑誌などの媒体では、一緒くたにせずに異なる生物であることを正確に伝えていくことが、それぞれの微生物の正しい理解に繋がり、それぞれに適切な対策法を実践する際に役立ちます。このコラムでも、正確な情報をなるべく噛み砕いてわかりやすく伝えることを念頭にかいていきたいと思います。
 また、今回は各種類の概要を説明しただけでしたが、今後は各微生物種単体に絞って身の回りの微生物を紹介していきたいとも考えています。

 
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このコラムについて エフシージー総合研究所・IPM研究室の活動内容や、研究中の内容をスタッフ目線でレポートした記事です。一般のかた向けに分かりやすく解説しています。
IPM研究室とは エフシージー総合研究所・暮らしの科学部所属。室内環境の有害物質を調査・研究しています。特に「室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究」を主仕事としています。
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