研究員オダの環境レポート
Vol.3 サクラの開花条件から見た地球環境
<2014.04.21 更新>

 皆さん、今年はお花見に行かれたでしょうか。関東一円では天候不順と重なったため、満開のサクラを見ることなく今に至る方も多いと思います。ちなみに、私も遠目でサクラを見た程度ですので、残念です。ニュースでご存知の方も多いと思いますが、今年初のサクラの開花は、3月19日に高知県で確認されました。今年は平年よりも4日早く、昨年よりも3日遅い開花であったようです。今回はサクラがなぜ春に咲くのかについてお話していきたいと思います。

■ 前年から行われるつぼみの準備
 サクラの花は、前年の夏につぼみの前段階である花芽が出来上がります。そこから、秋〜冬と気温が低下するにつれて休眠(植物における冬眠のようなもの)に入ります。休眠している花芽がつぼみへ成長して開花するためには以下の2つの条件が必要となります。

 ① 一定期間以上の低温
 ② 一定低温期間以後の気温上昇

 つまり、暖かい冬であったり寒い春であったりした年は、サクラの開花時期が乱れます。平年と大きなずれがない今年は、サクラにとって平年と同じ温度条件だったようです。また、条件の中でも特に①の低温が重要です。この期間に花芽がつぼみへの成長に向けて準備するため、短すぎた場合は花のつきが悪くなるようです。また、これらの条件に加えて、②の気温上昇の速度によって、開花までの時間が決まります。気温の上昇スピードが速い場合は開花のスピードも速くなり、開花時期がそろうようです。

■ 日本の四季に合った条件
 簡単な説明ですが、サクラの開花条件である温度変化が日本の四季をたくみに利用したものであることがお分かりいただけたかと思います。サクラのように春になると開花する植物は数多く存在しています。たとえば、サクラよりも早い時期に咲くウメは、開花に必要な気温上昇がサクラよりも少ないため、まだ肌寒い時期である早春に開花します。
 今回は春に開花する花に焦点を当ててお話をしましたが、多くの植物で温度が開花条件の一つとなっています。そのため、近年の気候変動が原因となる暖冬や異常な夏季の高温がこれ以上増えると、季節に依存した開花が乱れがちになるでしょう。これからも季節感を花で感じるためにも、地球全体の気候変動(異常気象を含む)について考えていきたいと思います。

 
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このコラムについて エフシージー総合研究所・IPM研究室の活動内容や、研究中の内容をスタッフ目線でレポートした記事です。一般のかた向けに分かりやすく解説しています。
IPM研究室とは エフシージー総合研究所・暮らしの科学部所属。室内環境の有害物質を調査・研究しています。特に「室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究」を主仕事としています。
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