(24)アロマオイルで感染症予防!

アロマオイル(精油、エッセンシャルオイル)に制菌効果があることは紀元前より知られています。古代エジプトをはじめ多くの国々で、アロマオイルのルーツとなる植物香料が防腐剤や感染症対策に利用されてきました。最近では、室内空間噴霧用のアロマオイルディフューザーが多種類市販されており、「香り」を心身の健康に利用することが手軽になってきています。そこで、制菌効果があるといわれているタイムオイルなど20種類の制菌効果を検証してみました。試験した細菌は3種、カビは54種です。

【ハロー(阻止円)試験】
アロマオイル50マイクロリットルを抗生物質検定用ペーパーディスクに吸収・固着させ、一定濃度に調整した細菌懸濁液とカビ懸濁液をそれぞれ均一に塗抹した寒天平板培地の中央に置いて培養しました。培養後に、ペーパーディスクの周囲に形成されたハローの幅を計測し、幅が広いアロマオイルは、制菌効果が高いと判定します。この結果、ハローの平均値が大きかった上位5種は、細菌に対しては順に①タイムオイル、②シナモンバークオイル、③ティーツリーオイル、④ラベンダーオイル、⑤ユーカリラディアタオイルで、一方、カビ対しては、上位3種は同じで、④スイートフェンネルオイル、⑤ラベンダーオイルでした。

シナモンバークレーオイルのクロコウジカビに対する制菌効果(ハロー;阻止円)

【空間噴霧法による試験】
このうち、ティーツリーオイルの空間噴霧による制菌効果を調べてみました。黄色ブドウ球菌を付着させたガラス板を2枚用意し、1枚を小形チャンバー(約160立方センチ)に入れて密閉し、アロマオイルディフューザーを使ってティーツリーオイルを充満させました。もう1枚のガラス板は小形チャンバーの外に置きました。20分間放置後、それぞれのガラス板の表面に生存している黄色ブドウ球菌数を培養検査によって調べました。この結果、図に示すように、ティーツリーオイルに触れた黄色ブドウ球菌に明らかな減少が見られました。


ティーツリーを噴霧したガラス板の黄色ブドウ球菌数

アロマオイルを噴霧する場合、対象とする場所や物品を考慮しながら使い分ける方が効果的です。アロマオイルの多くは毒性が低く芳香性が高いだけでなく、気体状態の方が溶液よりも制菌活性が高いといわれています。アロマオイルディフューザーを使って精油の微粒子を室内空間に拡散させることによって、空気中に浮遊しているカビ胞子や細菌の芽胞に吸着し、発芽を阻害する効果が期待できると考えられています。

(2013.10.11)

産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

 

環境科学研究室