フジテレビ商品研究所

今までの研究レポート

水出し冷茶

急須でいれるなら「水量控えめ・短時間」



 まろやかな冷茶を味わうには、氷だけを使い、溶け出す水でゆっくり抽出するとよいーなど、冷茶を入れる方法はさまざまです。グラスに入れた氷に熱い緑茶をかけて冷やす方法もありますが、湯を沸かしたり、氷を用意したりする手間を省き、冷蔵庫で冷やしておいた水でいれる方法を調べました。

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水量と抽出時間を変えて比較

 100g・約500円の比較的安価な茶葉と冷蔵庫で冷やしておいた7℃のミネラルウオーター(以下冷水)を用い、茶葉6g(小さじ約3杯)に対する冷水の量と抽出時間を変えて比較しました。
 少量を抽出する場合は急須を用い、冷水量を100〜300g、室温に置いて抽出する時間を1〜15分としました。多めの量を抽出する場合は麦茶用のサーバーを用い、冷水量を300、500g、冷蔵庫に入れて抽出する時間を2〜6時間としました。

飲み比べて点数で評価

 緑茶の旨味や渋味に対する好みは人によって大きく異なるため、旨味・甘味を味わいたい人、苦味・渋味をきちんと感じたい人を偏りなく選び、6名の研究員で飲み比べました。
 旨味・甘味、または苦味・渋味を感じない=0点、やや感じる=1点、感じる=2点、飲みたくないほど強く感じる=3点で評価して平均を求めました。また、冷茶として飲める許容範囲であるか否かを問い、許容範囲である場合は、その味がお菓子などと一緒に少量を楽しむ「少飲タイプ」か、喉の渇きをいやすためにゴクゴク飲む「多飲タイプ」にふさわしいか否かを評価しました。

甘・旨を感じやすいのは水量控えめ・短時間

 冷茶として飲める許容範囲内であると全員が回答したのは、冷水100g・3分〜5分、150g・5分〜10分、200g・10〜15分、300g・2時間、500g・2〜6時間(表1・2)でした。そのうち、苦味が強いため少飲タイプに限定と評価されたのは150g・10分、200g・15分でした。
 急須とサーバーのいずれも、水量が少なくて抽出時間が短い方が旨味・甘味を感じやすく、水量が多くて抽出時間が長くなるほど苦味・渋味を強く感じる傾向が見られました。

表1・2 水出し冷茶/水量と抽出時間を変えて比較/飲み比べて点数で評価

抽出液の成分比較

 評価の高かった水出し冷茶と、湯で入れた通常の緑茶、まろやかな味わいといわれている氷出し冷茶について、旨味と苦味成分を測定しました。
 抽出条件は、茶葉6gに対し、水出し冷茶は冷水100gを用いて3、5、10分、通常緑茶は95℃の湯250gを用いて30秒、氷出し冷茶は、水、茶葉の上に氷500gを加え、室温に2時間放置して抽出しました。氷が解けきってしまうと抽出温度が上がり、苦味が出やすいと推察されたので、氷が残っている状態で茶葉をこして試料としました。
 測定成分は、茶の甘味・旨味の指標となるテアニン、渋味・苦味の指標のエピガロカテキンガレートと無水カフェインとし、(一財)日本食品分析センターに分析を委託しました。

表3 水出し冷茶/茶に含まれる各成分の含有量

渋・苦は甘・旨よりも感じやすい

 茶に含まれる各成分の含有量(表3)を基に、評価の高かった冷水100g・3分の冷茶の各成分含有量を1としたときの他の茶の比率をグラフにまとめました。
 3種類の水出し冷茶は、どの成分も抽出時間が長くなるとともに増加し、時間が長くなるほど甘味・旨味よりも渋味・苦味の増加率が高まる傾向にありました。また、氷出し冷茶は、飲むと甘味・旨味と渋味・苦味の濃さが適度でおいしいと感じられ、成分の比率は水出し冷茶とほぼ同様でした。
 一方、抽出時間30秒の通常緑茶は、甘味・旨味が3分水出し冷茶の70%にとどまったのに対し、渋味・苦味成分は2.2〜2.6倍にもなり、他の条件とは著しく異なっていました。
 一般的な緑茶の場合、テアニンは低温でも出やすく、カテキンやカフェインは温度が高いほど出やすいといわれていますが、この「低温」は玉露などに適する50〜60℃の湯を指します。しかし、今回の冷茶は0〜15℃で抽出するため、テアニンも抽出時間がある程度長くなければ抽出されないことがわかりました。
 また、飲み比べの評価結果と、成分含有量とそれに適する比率の関係から、甘味・旨味成分が増加しても、渋味・苦味成分の濃度がある程度以上になると、甘味・旨味は渋味・苦味に隠されてしまうことが推察できました。

 おいしい冷茶には適度な甘味・旨味と渋味・苦味が必要で、そのバランスが大切とわかりました。さらに、旨味・甘味をしっかり感じたいのなら、苦味・渋味を適度な濃度に抑えることがポイントです。急須の水出し冷茶の場合、茶葉6gに対して100〜150gの少なめの冷水を用い、3〜5分で抽出する方法がおすすめです。多めの冷水で抽出する場合は、長時間おくと渋味・苦味だけが際立つので、茶葉を多めに使って2〜4時間で抽出するとよいでしょう。
 茶葉量・冷水量・抽出時間を同じにしても、茶葉の種類や製品によって冷茶の味は変わりました。お手持ちの茶葉を使い、お好みの味にいれる条件を探ってみてください。 

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(2018.1.22 食品料理研究室)

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