フジテレビ商品研究所

研究レポート・最新記事

パナソニック株式会社からの委託研究

男性の肌と
ヒゲ剃りトラブル

男性のヒゲ剃り方法に着目し、20代と50代の
電気シェーバー使用者と安全カミソリ使用者64人の
アンケート調査をしました。

これまでに、「男性の肌は、毎日のヒゲ剃りとその後のスキンケアの怠慢によって、肌老化が進む」ことをレポートしました(詳しくは、商品研究レポート「電気シェーバーと安全カミソリ使用者の肌は違う」)。今回は、その際に実施した「自分自身の肌状態」と「ヒゲ剃りトラブル」についてのアンケートから、男性のヒゲ剃りとスキンケアの意識についてまとめました。 多くの男性がヒゲ剃り後のかさつきやヒリツキ、出血などを認識しているにもかかわらず、実に半数がスキンケアを怠り、乳液やクリームを使用する人も全体の1/4程度に過ぎず、スキンケア意識が非常に低いことが分りました。

調査方法

調査は、ヒゲ剃り習慣がはじまって間もない20代男性と、30年以上ヒゲを剃っている50代男性のうち、電気シェーバーと安全カミソリのみを長期に使用している群(各群16名、合計64名)を抽出して、肌計測と同時に、アンケート調査を実施し、各々群で比較しました。

調査内容 ヒゲ剃りトラブルと肌意識の調査
リクルート
条件
○ 電気シェーバーか、安全カミソリのどちらかのみ週5日以上使用している。
○ 個人のヒゲの濃さ、ヒゲ剃りの用具のメーカーは想定しない。
調査実施日 2010年11月25日〜12月12日
質問項目 ヒゲの濃さ、肌の強さ、ヒゲ剃り時間、ヒゲ剃り場所、ヒゲ剃りトラブル(出血、切り傷、ヒリヒリ感、かゆみ、赤み、かぶれ、かさつき)、肌状態、スキンケア意識

調査結果

<調査内容>
1)肌とヒゲ属性図
2)ヒゲ剃りトラブル
3)肌状態の本人意識
4)スキンケアの意識

1)肌とヒゲ属性
① ヒゲの濃さ(図1)
今回調査した20代と50代男性のヒゲの濃さを弊社研究員が目視判定しました。電気シェーバー使用者(以下シェーバー使用者)でヒゲが濃い人は30%前後、安全カミソリ使用者(以下カミソリ使用者)では40%弱で、カミソリ使用者のほうが、ややヒゲが濃い傾向にありました。

② 肌の強さ(図2)
自分自身の肌の強さについて、モニターの意識を尋ねました。「肌が強い、弱い」というのは、ヒゲ剃り負け等、肌が敏感かどうかということです。肌の強さは、年代、ヒゲ剃り習慣に関係なく、自分の肌が強いと意識している人は非常に少なく、1/4程度が「肌が弱い」、残りの70〜80%が「ふつう」と回答しました。

③ ヒゲ剃り時間(図3)
ヒゲ剃りにかかる時間は、20代と50代で異なる傾向を示しました。
カミソリ使用者は、2分以内でヒゲ剃りをすませる人が20代の半数に及ぶのに対し、50代で2分以内にすませる人はわずか1名に過ぎず、10分以上ヒゲ剃りをする人も2名いて、50代のカミソリ使用者は、全体的に時間をかけて丁寧にヒゲ剃りをしている様子がうかがえました。カミソリ使用者では、20代と50代で、ヒゲ剃りにかける時間が大きく違いました。シェーバー使用者でも、50代のほうが20代よりヒゲ剃りに長い時間かけていることも分かりました。

④ ヒゲ剃りの場所(図4)
ヒゲ剃りをどこでするかは、ヒゲ剃り方法で分かれました。
シェーバーは洗面所と部屋が、それぞれで半数程度ですが、カミソリでは、洗面所と浴室に別れました。特に、20代では浴室派が60%を超え、ヒゲ剃り所要時間も短いことから、浴室で手早くヒゲ剃りをしてしまう人が多いと考えられます。浴室でシェーバーを使用する人は、2010年のこの調査時点ではまだ少数派と考えらます。

2)ヒゲ剃りトラブル
ヒゲ剃りの肌トラブルについて調査しました。回答は、頻度の高いほうから「よくある」「ときどきある」「ほとんどない」「全くない」としました。
20代はヒゲ剃り経験が浅く、トラブルも多い可能性がある一方、50代ではヒゲ剃りに慣れていることから、よりヒゲ剃り方法による差が明らかになるのではと考えられました。

表1 : ヒゲ剃りトラブル調査項目

  調査項目
出血する
切り傷ができる
ヒリヒリする
赤くなる
かゆくなる
かぶれる、腫れる
カサカサする

① 出血する(図5)
出血とは、ヒゲ剃りで肌が傷ついて点出血することです。出血が多いのは、50代のカミソリ使用者で、3/4以上が「よくある」「時々ある」と回答しました。一方、最も少ないのは同じ50代のシェーバー使用者で、「時々ある」と答えた人がわずか1名でした。20代では、ややカミソリ使用者の出血が多いもののシェーバー使用者にも出血は多く、50代でのヒゲ剃り方法による違いが際立っています。

② 切り傷ができる(図6)
「切り傷」は「出血」と同じ傾向になりました。「時々ある」人は50代の安全カミソリ使用者が最も多く、逆に最も少ないのは50代の電気シェーバー使用者で、20代ではヒゲ剃り方法による差はありませんでした。

③ ヒリヒリする(図7)
約半数がヒリヒリすることが「よくある」「時々ある」と回答しましたが、①,②と同様、50代のカミソリ使用者に最も「ヒリヒリする」が多く、最も少ないのは50代のシェーバー使用者でした。

④ 赤くなる(図8)
「赤くなる」ヒゲ剃りトラブルは全般的に少なく、もっとも多かった50代のカミソリ使用者でも「よくある」「時々ある」を含めて4名にすぎませんでした。しかし、①〜③の回答や、前回の肌計測の結果から考えると、「赤くなっているのに気がつていない」というのが本当ではないかと考えられます。

⑤ かゆくなる(図9)
⑥ かぶれる・腫れる(図10)
「かゆくなる」「かぶれる・腫れる」については、いずれの群も「時々ある」のは、2名以下でほとんど意識されていないことが分かりました。

⑦ カサカサする(図11)
「カサカサする」、すなわち「肌のかさつき」は、20代のカミソリ使用者が最も感じていました。20代のカミソリ使用者では、「よくある」「時々ある」の意識は過半数を超え、逆に50代のカミソリ使用者が最も少ない結果となりました。
ところが、この「肌のかさつき」について、ヒゲ剃り部位の鼻下、アゴ、アゴ下の3箇所のマイクロスコープ写真(×40)を弊社研究員が判定したところ、50代の安全カミソリ使用者が最もかさつきがひどく、「肌状態全般」も最も悪い状態でした(詳細は、商品研究レポート「電気シェーバーと安全カミソリ使用者の肌は違う」)。これは④ 「赤くなる」の意識がないのと同様に、「かさつきを感じていない」と考えられます。
男性は、出血や傷等の見た目でわかりやすい肌トラブルは認識しますが、「かさつき」「赤み」などはトラブルとして意識しない傾向にあることが分かりました。

3)肌状態の本人意識(図12〜15)
64名のモニター全員に、自分の肌の状態について、7段階の自己判定をしてもらいました。
20代の肌をシェーバー使用者と、カミソリ使用者で比較すると、シェーバー使用者は、カミソリ使用者より有意に「ニキビ・吹き出物」があることがわかりました。すなわち、20代でニキビや吹き出物がある人は、電気シェーバーを使用していると考えられます(図12)。
50代の肌状態の意識は、シェーバー、カミソリ使用者で有意差は認められませんでしたが、カミソリ使用者は、やや「赤み」を感じていると思われました(図13)。
次に、シェーバー使用者の20代と50代、カミソリ使用者の20代と50代というように、年代での肌状態を比較すると、「毛穴の目立ち」、「しみ・そばかす」、「顔のシワ」、「たるみ」の4項目で20代は有意に50代より良い状態でした。この4項目は、肌の老化を示す項目で、加齢による明らかな差であり、当然の結果です。しかし、「赤み」については、安全カミソリ使用者のみで20代と50代で有意差が認められました(図14,15)。男性の肌色は加齢と共に赤黒くなるといわれます。安全カミソリの長期使用により「肌の赤み」がより悪化することを示しています。

4)スキンケアの意識
日頃のスキンケアに関する調査を実施しました(表2)。調査項目は、8項目で、回答は、「はい」「いいえ」の2択としました。

表2 : スキンケア意識の調査

まず、① 肌への気遣いとして日常していることがあると回答したのは、カミソリ使用者は80%を超え、シェーバー使用者も、20代約70%、50代56%でした。かなりの男性が、肌への気遣いをしていることになります。しかし、具体的に ② スキンケア化粧品をつけているかと尋ねると、いずれの群もほぼ半数で大差なく、男性の半数は全くスキンケア化粧品を使用していないという結果となりました。さらに、③ 乳液やクリームまで使用している人は、全体の1/4に過ぎませんでした。乳液やクリームは、皮膚を保護し水分蒸散を防ぎ肌のバリア機能を高める効果があり、毎日のヒゲ剃りダメージから肌を保護するのに有効です。ところが実際にはわずか1/4の男性しか乳液やクリームを使用していませんでした。男性の肌が、同年代の女性に比べてキメが粗く乾燥が激しいのは、このように適切なスキンケアが行なわれていないことも原因の一つだと思われます。
洗顔の際に強くゴシゴシこすらないこともスキンケアの基本です。④ 男性でゴシゴシこすらないと答えた人は、20代の約40%に対し、50代はシェーバー使用者13%、カミソリ使用者19%と非常に少なくなっていました。正しい洗顔をしているのは若い人に多く、ほとんどの年配者は肌に良くないゴシゴシ洗顔をしていたことが分かりました。
ヒゲ剃りにおいて、肌を傷めないで深剃するということは、これまでなかなか難しい問題で、無理な深剃りは肌を傷める原因になっていました。今回調査した男性で ⑤ あまり深剃りをしないようにしているという人の割合は、20代で19%、50代13%で、ヒゲ剃り方法による差はありません。20代のほうがやや深剃りにこだわらないようですが、「深剃り」派が多数であることには変わりませんでした。
他に、紫外線防御の意識として、⑥ 日焼け止めの使用、⑦ 外出時の帽子服装等、⑧ 屋外での活動を控える、といった質問をしました。この結果、男性の紫外線防御意識のなさがあらためて浮き彫りになりました。日焼け止めを使用している人の割合が最も高い20代のシェーバー使用者でさえわずか13%でした。50代のカミソリ使用者にいたっては今回の調査では0%でした。男性は、女性に比べて紫外線に対する感受性が高く、女性に比べて少ない紫外線量で日焼けし炎症を起こしやすいことが知られています。にもかかわず、肌への対応を全く行っていない実態が浮き彫りになる結果でした。

まとめ

〜スキンケアをしている人と、していない人の肌〜
今回の調査の結果、あらためて男性のスキンケア意識が非常に低いことがわかりました。

そこで、調査したモニターの中から、乳液またはクリームまでのスキンケアを実施している人と、全くスキンケアをせず、ヒゲ剃り後は水洗のみのというモニターについて、紫外線の影響の少ないアゴ下のマイクロスコープ写真で肌の状態を比較しました(図16)。
シェーバー使用者は、20代では、スキンケアをしていなくても肌状態が比較的良いのですが、50代になるとスキンケアをしている人の肌状態が良いのに対し、していない人はかさつきが目立ち、キメも乱れがちでした。一方、カミソリ使用者は、スキンケアをしていない人は、20代でもひどいかさつきが見られ、さらに50代では乾燥に加えて、肌の赤黒さやごわつき感が目立ちました。カミソリ使用者は、化粧水だけではなく、乳液やクリームを使って、肌をしっかりケアする必要があります。

男性は、スキンケアや紫外線防御についての意識が非常に低く、毎日のヒゲ剃りによる肌ダメージをそのままの状態にしていることが分かりました。また、男性は、出血や傷等の見た目で分かりやすい肌トラブルは認識しても、「かさつき」などあまり傷みを伴わないものはトラブルとして意識せず、このためスキンケアを怠り、肌老化を助長していると考えられます。少数派ながら、肌に合ったヒゲ剃り方法を選び、適切なスキンケアしている人の肌状態は良く保たれていました(図16)。
毎日のヒゲ剃りとスキンケアに心を配り、男性も若々しい肌を長く保てるように努力していただきたいと思います。

(2012.09.24 美容・健康科学研究室)

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