vol.29 傘の撥水性を戻す方法
〜傘の防水が弱くなった時、防水効果を戻す方法〜

 「防水加工」と書かれていた傘を購入して、始めのうちは雨水をすごく弾いていたのに、最近では雨がべたっとしみ込んでいる...ということはありませんか? 再び水を弾くようにするには、防水スプレーをかければいいのでしょうか?

傘の撥水性を戻す方法

撥水性が落ちる理由は、撥水加工がなくなったのではない

 現在販売されている撥水傘は「フッ素樹脂」を使った撥水加工のされた傘です。このフッ素樹脂加工の場合は、水を弾かなくなったと言っても別に撥水加工がなくなった訳ではありません。
 傘は差したり閉じたりするときに傘の生地同士が擦れます。また、傘をまとめるときも、手で傘の生地の表面を触ります。このように傘の生地同士や手による摩擦は、実は生地の表面のフッ素樹脂のフッ素の鎖を寝かせてしまうことになるのです。これが撥水性が落ちる理由です。傘生地の「フッ素樹脂」は、購入時は非常に小さいフッ素の鎖がタテに並んでいる状態です。


「フッ素樹脂の鎖」が倒れると撥水性が落ちる

 使い始めのうちは、降ってきた雨が傘の生地表面に落ちると、水滴はたくさんの「フッ素樹脂」の先端(フッ素)に支えられて、生地の繊維の中にはしみ込まずに弾かれます。ところが生地同士が擦れると、このフッ素の鎖が倒れたり、乱れてしまって、水はフッ素に支えられることなしに、生地に残って繊維の中にしみ込んで広がってしまいます。なので、水を弾かなくなるのは擦れやすい生地の折り目や、手がよく触れる生地の端の部分が多くなります。
 撥水性が低下すると、傘をたたむときに手が濡れてしまうし、生地に水がしみ込んで傘が重くなります。防水スプレーをかければ水を弾くようになりますが、生地によってはシミになる可能性もあるし、防水スプレーの価格はかなり高価です。


ドライヤーで温風をかけるだけで撥水性が復活する

 実は、防水スプレーを使わなくても、撥水性を復活させる方法があります。摩擦によって倒れてしまった「フッ素樹脂」は、熱をかけると元の状態に戻ることが分かっています。傘にフッ素樹脂が残っていれば、ドライヤーで温風をかけるだけで撥水性が復活します。具体的には、以下の方法で戻します。

(1)使い終わった傘は開いた状態で陰干しをして、生地を完全に乾かす
(2)傘生地から2〜10cmくらい離してドライヤーで温風をかける(長時間近づけすぎないように注意)
(3)骨と骨の間の折り目部分、骨の先端や生地の端の部分は、ドライヤーをゆっくり動かして念入りに温風をかける

 ただし、フッ素樹脂も長く使うと取れてくるので、古い傘の場合は購入時のようには戻りません。また、古い傘ではフッ素樹脂を使っていないものもあるので注意をしてください。フッ素樹脂を使っていないものにはドライヤーをかけても効果はありません。
 まずは、部分的に試してみて、撥水性が復活するようなら、傘全体に温風をかけて復活させてください。

 詳しくは以下の映像を参考にしてください。


(2013.6.25)

生活科学研究室