vol.71 ビール系酒類(ビール、発泡酒、新ジャンル)の動向



のどごしを楽しめるビール

 のどごしを楽しむビールは、暑くなるこれから季節には欠かせないアルコール飲料です。日常的に親しまれている印象の強いビールですが、その消費量は、平成17年以降、12年連続で前年比マイナスで、決して成長分野とは言えないのが実情です。現在、ビール系酒類は大別すると、ビール、発泡酒、新ジャンル(第3のビール)の3つに分けられ、それぞれ大手メーカー5社のH26〜28年の出荷動向は図に示す通りです。


大手メーカー5社のH26〜28年の出荷動向

 ビールと発泡酒、新ジャンルは、酒税法で規定されています。まず、ビールと発泡酒の違いは、①麦芽使用量と②使用原料で区別され、ビールに分類されるものは、①が3分の2以上で、②副原料は政令で使用できるもの(麦、ホップ、米、とうもろこし、でんぷん等)に限られています。発泡酒は①が3分の2以下で、②はビールとして使用できる原料以外を使用している場合で、麦芽や麦を原料の一部とした発泡性のある酒類をいいます。これに対して、新ジャンルは「その他の醸造酒」あるいは「リキュール」に分類される酒類です。麦芽、麦以外を主材料に使ったものは「その他の醸造酒」に、従来の発泡酒に麦由来のスピリッツや蒸留酒を加えたものは、「リキュール」に分類されます。酒税は、350ml一缶につき、ビールが77円、発泡酒が47円、新ジャンルが28円ですから、ビール類の購入金額は当然のことながら、ビール>発泡酒>新ジャンルの順に安くなっていきます。

 表に示したように、ビール類の課税数量は、年次を追うごとに少なくなる傾向にあり、これは、ビール、発泡酒、新ジャンルのいずれの種類についても同様な傾向です。数量的にはダントツにビールの数量が多いですが、これは、居酒屋やレストランなど外飲みを含むからで、発泡酒と新ジャンルは実質、内飲みの量に相当すると考えると、金額的にお安い新ジャンルの分野に消費者の食指が伸ばされていると考えられます。ただし、平成32年10月から3段階で、最終的に平成38年10月からはビール類の税率は一律同じとなり、350ml一缶につき54.25円になります。そうすると、金額的に高かったビールの開発が、各メーカーで活性化され、ビール類の市場規模はひょっとして、税制改正で、大きく変化する可能性を秘めているとも言えます。

 ここで、平成28年の分野別主要ブランドの販売数量を表に示します。


平成28年の分野別主要ブランドの販売数量

 ビールはアサヒの「スーパードライ」、発泡酒はキリンの「淡麗」、新ジャンルはキリンの「のどごし」がそれぞれの分野のトップブランドです。サントリーは新ジャンルの「金麦」が、サッポロはビールの「黒ラベル」がそれぞれ自社のトップブランドになっています。それぞれ、各社の特徴と私たちがCMを目にする頻度を反映していますね。


 ちなみに、アルコール分0.00%のビール味のノンアルコールビールは、4社合計の販売総数は、平成27年は前年比1.8%増。ビール類とは違い、平成21年に初めて登場して以来、毎年連続で前年を上回る伸びを見せています。
 ノンアルコール飲料のアルコール分について、うんちくを書き加えると、日本ではアルコール分が0.05%以下なら、「Alc. 0.00%」あるいは「ノンアルコール」と表示できます。上限0.05%という根拠は、この程度のアルコール分は通常、果物の天然果汁の中にごく普通に含まれる微量のアルコール量とほぼ同等だからです。また法的には、アメリカでは0.5%まで、日本では1%まで、EUは1.2%(ただし、イギリスは0.05%)のアルコール分は認められています。日本では通常、0.05%以上1.00%以下の飲料は、低アルコール飲料と呼ばれ、ノンアルコール飲料と区別されています。「Alc. 0.00%」と表示している場合は、限りなく0.00%に近づけるように細心の努力がなされているということです。


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(2017.5.26)

食品料理研究室