(122) 豆腐の水きり


 淡泊でみずみずしい豆腐は、そのまま食べても加熱してもおいしく食べられる食材。水きり作業を行って水を抜くことで煮くずれしにくくなったり、味のしみ込みがよくなったりと調理性は変化しますが、どのような方法が適しているのか調べてみました。

   
豆腐の水きり
 

● 試験に用いた豆腐
 コンビニとスーパーで購入した2種類の木綿豆腐を使用しました。いずれも1丁300g・厚さ4cmのもので、コンビニ商品は100円、スーパー商品は290円でした。


● 水きり方法
 水きり方法は次の9種類。ザルにのせる(A)、まな板に置いて傾ける(B)、パック上面フィルムの2力所に切り込みを入れて傾ける(C)、厚手のキッチンペーパーに包んで600Wの電子レンジで2分加熱する(D)、豆腐がゆらゆらと動く程度の火加減で5分間ゆでる(E)、厚手のキッチンペーパーに包んで豆腐重量の2倍の重石をのせる(F)、同様に4倍の重石をのせる(G)、パックごと1日冷凍して流水解凍する(H)。放置時間は、A・B・Cは30分、D・Eは加熱後に皿に置いて30分、F・Gは30分・1時間・2時間、Hは解凍後にキッチンペーパーに包んで押しました。


● 水きりの目安
 水きり加減の目安を調べるため、重量変化を測定しました。測定は豆腐の表面の水気をふいて行い、各3回計6回の平均をグラフにまとめました。
 放置するだけで自然に水をきる場合(A・B・C)は約5%、約大さじ1の水が抜けました。電子レンジやゆでるなど加熱処理(D・E)をすると、加熱直後は5%ほどですが、冷めるまで30分間放置すると10~15%、大さじ2~3の水が抜けました。重石をする場合(F,G)は重さと時間に比例して水が抜け、4倍量の重石で2時間かけると約30%、1/2カップほどの水が抜けました。冷凍24時間(H)は手で挟んで水を押し絞ると約50%、3/4カップほどの水が抜けましたが、冷凍3時間のものはあまり水が抜けませんでした。


豆腐重量残存率


● 水きり豆腐と料理
 放置するだけ(A,B,C)では水を抜くことは難しく、水気を軽くきる程度ですので、冷や奴や鍋物などなめらかな食感を楽しむ料理に向いています。
 豆腐を煮物に使う場合、適度に水を抜いておくと煮汁が豆腐の水分で薄まってしまうことがなく、味のしみ込みがよくなり、煮くずれも防げます。加熱処理(D・E)をし、冷ましてから使ってください。また、切り分けてから加熱処理をすると、効率がよくなります。
 豆腐ステーキや揚げだし豆腐を作るなら、重石をして(F,G)水を抜くとよいでしょう。片栗粉などを付けやすくなりますし、裏返しやすくなります。30%ほど水きりをした豆腐をそのまま食べるとややボソボソとした食感ですが、火を通すとなめらかな食感が戻ります。水きり加減を重さと時間で調節して、用途やお好みに合わせてください。また、長い時間をかける場合、暑い時期は冷蔵庫に入れると安心です。
 冷凍すると(H)、豆腐の滑らかな食感がなくなり、高野豆腐のようにモロモロとくずれてしまいます。炒り豆腐など、豆腐をそぼろ状にする料理の時短に適しています。


● まとめ
 水きりのひと手間をかけることで、扱いやすさや味のしみ込み具合などの調理性と味わいが変わってきます。製品によって水の抜け加減に差はありますが、水きりの目安を参考にして、いつもの豆腐料理と食べ比べてみてください。

(2016.06.17)


産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

 

食品料理研究室