環境レポート・美容・健康コラム
Vol.9 食品の発酵について
<2019.1.11 更新>

 発酵に関わる微生物は大きく分けて、細菌、真菌である酵母とカビ(糸状菌)の3つです。
それぞれの微生物が食材の成分に作用すると、さまざまな発酵が起こり、多種類の発酵食品が作られます。今回は、発酵食品を作るときに起こる「発酵」についてお話しします。


 一つ目は細菌が関わる発酵です。乳酸菌、酪酸菌、酢酸菌などが発酵に関与しており、名称の通り、乳酸菌は乳酸を、酪酸菌は酪酸を、酢酸菌は酢酸を作り出す細菌です。ここでは、一般に馴染みのある乳酸菌による発酵についてお伝えします。

 乳酸を作る細菌を、ひとくくりに「乳酸菌」と呼んでいます。ヨーグルトやチーズ、漬物、しょうゆなど、多くの発酵食品が作られるときに活躍する細菌で、動物由来の動物性乳酸菌と植物由来の植物性乳酸菌があります。食材に含まれる糖類(ブドウ糖や乳糖など)を分解して、乳酸を大量に作り出す「乳酸発酵」を行います。

 乳酸発酵で作られた乳酸は、酸味を作り出し、大腸菌やエンテロバクターなどの一般の食品細菌の増殖を抑えて食品の保存性を高める働きをします。乳酸発酵は、食材を保存するために世界各地で利用されており、発酵乳製品や漬物だけではなく、茶葉を発酵させて作る阿波晩茶や生の豚肉を発酵、乾燥、熟成させてつくる発酵ソーセージなどにも使われています。

 ヨーグルトは牛乳を発酵させて作られます。それは、発酵で出来た乳酸によって牛乳のタンパク質(カゼイン)が固まるためです。発酵で作られた成分は、風味だけではなく、形にも関わっています。


乳酸発酵の図


 二つ目は酵母による発酵です。酵母は、アルコール飲料を作るときやパン生地を膨らませるときに使用される、アルコールを作る力が強い微生物です。

 ビールの素となる麦芽や小麦粉を捏ねたパン生地に酵母が作用すると、食材に含まれる糖類を分解して、アルコールと炭酸ガス(二酸化炭素)を作り出します。これを「アルコール発酵」と呼びます。 発酵によって作られたアルコールで、ビールやワイン、日本酒といったアルコール飲料が作られ、炭酸ガスで、アルコール飲料に発泡性が与えられてビールやスパークリングワインなどが出来ます。また、パン生地で酵母が働けば、炭酸ガスによってパン生地が膨らみます。パン生地を発酵させすぎるとアルコール臭がしてくるのは、炭酸ガスと一緒にアルコールも作られているからです。

 食品で利用されている酵母のほとんどは、Saccharomyces属(サッカロマイセス)の酵母です。ビールを作るためにはビール製造に最適な「ビール酵母」が使われ、パン作りには、炭酸ガスをより多く作ってパン生地を膨らませるのに適した「パン酵母」が使われています。例えば、パンを作るときに入れる市販のドライイーストは、炭酸ガスを効率良く作り、パンを均一に膨らますことが出来るパン作りのための酵母です。


アルコール発酵の図


 次回はカビを利用した発酵について、お伝えしたいと思います。


(コマツ)


 乳酸発酵した漬物は、肉と炒めると風味が増します。
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ラム肉と高菜漬けの炒め物(産経新聞2018年2月28日掲載)


暮らしの科学部 美容・健康・料理研究室に入りましたコマツと申します
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