(30)網戸を通り抜ける昆虫

 暦の上で立秋が過ぎたとはいえ、まだまだ暑いこの季節、朝晩の換気は欠かせません。窓のサッシには必ず網戸が付いていますが、網戸をしていても小さな虫が部屋の中に侵入して困るのも晩夏から初秋です。老朽化したサッシの隙間や緩くなった網戸の隙間から室内へ侵入することもありますが、実は網戸の小さな網目を通り抜けている可能性もあります。



 多くの住宅で利用されている網戸は、開口が約1mm四方ですが、この網目よりも体幅(体の最大横幅)が小さい昆虫は網戸を通過してしまいます。
 網戸を通り抜けて室内へ侵入する昆虫の筆頭として「ユスリカ」が挙げられます。ユスリカは川や池、湖など水辺に特に多く生息していますが、排水用の水路などでも繁殖する種類がいるため多くの住宅で見かけられます。次いで「クロバネキノコバエ」、「タマバエ」などです。この3種類の昆虫はハエ目(双翅目)に分類される昆虫で、飛ぶことができます。体長2mm前後、体幅1mm以下の種類が多いため、網戸を通り抜けることができます。肉眼でなんとか見える大きさですので、普段「小バエ」と呼んでいる虫はこれら3種類のどれかであることが多いです。


 家庭菜園や花などが庭に植えてあるお宅では、植物を吸汁する「アブラムシ」や「アザミウマ」といった極小昆虫も見られます。この2種類は翅を持ち、体長1mm程で網目よりも小さいため簡単に網戸を通り抜けて、住宅内に侵入します。しかし、非常に小さいため家の中に入ってきていることに気づかないことも多いでしょう。アブラムシは、家庭菜園の植物の茎や新芽に群生し、針状の口を植物に刺して吸汁しているのが印象的ですが、成長すると翅を持ち飛ぶことができます。アザミウマは植物の表面をかじり取った傷口から吸汁するため、被害跡が大きくなります。農作物以外に観葉植物の害虫でもあります。


 これらの網戸を通り抜けられる小さな昆虫は吸血せず、直接人に危害を加えることはありませんがユスリカの大量発生する地域では、窓際にたまったユスリカの死がいが風化して粉々になり、それを吸引したことでアレルギー発症に繋がることがあります。サッシに溜まった小さな昆虫の死骸はこまめに除去しましょう。


 網戸の目を極限まで細かくしたり、網目に毒性の低いピレスロイド系殺虫剤を練り込んで、忌避効果を高めたりした新しいタイプの網戸ネットが売られるようになりましたので、気になる方は利用してみると良いでしょう。また、夜間に飛来する昆虫の多くは紫外線に向かって飛ぶ習性があります。蛍光灯の光には紫外線が含まれているため、虫が寄ってくるのです。玄関やリビングの明かりをLEDに替えることで、紫外線に集まる昆虫を減らすことができます。


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(2016.8.19更新 エフシージー総合研究所 IPM研究室)



産経新聞掲載記事『微に入り細に入り』

次回の更新は9月2日(金)を予定しています。

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室内環境の有害物質を調査し、対策を研究・ご提案します。特に「室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究」を主たる仕事としています。研究や調査のご依頼がある場合は、お気軽にお問い合わせください。【IPM研究室はこちら】