(29)虫刺されにご用心! 虫よけ剤を効果的に

 一昨年のデング熱発生やリオデジャネイロでのジカ熱感染が懸念される中、身近に生息するヒトスジシマカ(写真)に刺されないことが一番です。しかしながら、蚊以外にも、アブ、ブユ、マダニなど人の血を餌にする吸血性の昆虫やダニが多くいます。吸血性の動物は種類によって刺されたことによる痒みの度合いが異なりますが、様々な病原体を媒介することがあります。キャンプや海水浴に出かける際には虫よけ剤を使うのが賢明です。



 虫よけ剤は、コンビニなどでも手軽に買うことができるようになりましたが、虫よけ剤の成分として厚生労働省が有効成分として認めているのは「ディート」と「イカリジン(ピカリジン)」です。この2種類の成分は科学的な効果検証がなされており、米環境保護庁にも認可されています。


 「ディート」は国内で初めて虫よけ成分として認可された薬剤でもあり、古くから使われているので、効果や使用濃度など様々な情報が蓄積されています。ディートは、蚊、ブユ、サシバエ、アブ、トコジラミ、ノミなどの昆虫や、イエダニ、ツツガムシ、マダニなどのダニ類といった幅広い吸血性昆虫類に対して忌避効果があることが認められています。虫よけ剤として利用できる成分の中でも効果が高く、比較的安価なため、虫よけ剤の多くがディートを有効成分としています。ただし、独特のにおいがあり、ごくまれに皮膚に炎症を起こすことが知られています。

 「イカリジン」は、国内では2015年に医薬部外品への使用が認められた忌避成分です。イカリジンの忌避効果は蚊、ブユ、アブ、マダニであり、ディートよりもその効果は限定的です。5%イカリジン製剤は10%ディート製剤と同程度の効果が確認されています。ディートとイカリジンは蚊が嫌らう臭いの発生が、忌避効果の要因であることがわかっています。


 一般的に薬剤の濃度と有効時間は比例します。庭先などで短い時間の蚊の忌避効果で十分な場合には、低濃度の虫よけ剤を使用してください。4.75%のディートは約1時間半、6.65%では約2時間、蚊に対する忌避性が発揮するとの実験データもあります。
 両成分ともに、使用上の注意に則って使えば健康や環境に対する悪影響が殆どありません。肌に直接塗るものですので使用方法は必ず守るようにしましょう。日焼け止めと併用する際は、日焼け止めを先に塗り、次に虫よけ剤を使用してください。また、缶スプレータイプの薬剤よりも液体状の薬剤を塗る方が、忌避効果を発揮しやすい傾向にあります。


 公園、遊歩道、森林など吸血昆虫類が生息していそうな場所に行く際には、できる限り長袖長ズボンを着用した方が賢明です。また、虫よけ剤は衣服に使用しても効果がありますので、ズボンやシャツのすそ付近に虫よけ剤をスプレーしておくと、衣服にたかることを防止する効果が期待できます。


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(2016.8.5更新 エフシージー総合研究所 IPM研究室)



産経新聞掲載記事『微に入り細に入り』

次回の更新は8月19日(金)を予定しています。

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