(17)室内でのスギ花粉除去も大切

 今年もスギ花粉が飛散する季節になりました。花粉症の4大症状である「くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみ」は、植物の花粉に対して体内の免疫機構が過剰反応して起こるアレルギー症状です。近年はスギ花粉だけでなく、ヒノキ、ブタクサ、イネ科の植物、シラカバ類など多種の花粉に対して花粉症を併発する方が増えているようです。


 2008年に獨協医科大学が報告した疫学調査の結果では、国内平均で約30%の方が何らかの花粉症を患っているとされ、これは3人に1人の計算になります。街でマスクをしている方を一年中見かけるようになったのも花粉症患者の増加と無関係ではないように思います。花粉症対策として、屋外で極力花粉を吸い込まないことが望まれますが、「室内に持ち込まないこと」、「侵入した花粉を貯留させないこと」も必要です。エフシージー総合研究所が昨年のスギ花粉飛散時期に調べた結果、顔面や頭髪にも花粉は付着することが明らかになりました。花粉症の方は、帰宅時にコートやアウターの表面に付着した花粉を粘着ローラーで取り除く習慣をつけましょう。また、顔面や頭髪に付着した花粉を除去するために、帰宅したら直ぐに入浴することをお勧めします。


 スギの花粉の直径は約30マイクロメートル(髪の毛の約4分の一:写真)であり、細菌、カビ胞子、PM2.5粒子(約1〜10マイクロメートル)よりも大きいため、長時間空気中に浮遊することはありません。風などの影響がなければスギ花粉の1分間の落下速度は、男性の身長とほぼ同じ168〜180センチメートルであり、天井まで舞い上がった花粉も数分後には床に落下します。


 玄関や壁際、窓際は花粉が貯留しやすいポイントです。また室内に入り込んだスギ花粉の約55%が床やカーペットに落下するとのデータも知られています。貯留した花粉を取り除くためには電気掃除機で吸引するのが一番です。紙パック式の掃除機は、排気口から再び排出されて舞い上がる危険性があります。排気口から微粒子が排出されないことが表示されたサイクロン式掃除機を使うことをお勧めします。スギ花粉症患者の30〜40%はハウスダストに含まれているチリダニ類によるアレルギーも併発することが知られています。「花粉とダニの両アレルゲンを同時に除去すること」を意識してチリダニの温床になりやすい寝具に掃除機をかけることも効果的です。


 また、24時間自動換気システムが組み込まれた住宅では完全に窓を閉め切っていたとしても、自動換気と共に花粉が室内に入ってくることが懸念されています。ウェットタイプの不織布シートを使い、小まめに床を拭き掃除するのもいいでしょう。



【関連キーワード】 
花粉症,くしゃみ,鼻水,鼻詰まり,目のかゆみ,アレルギー症状,スギ花粉,ヒノキ,ブタクサ,イネ科の植物,シラカバ類

【関連記事】
vol.18 家の中に侵入してくる花粉の撃退方法〜事前にやっておきたい花粉症対策〜
(研究所コラム「暮らしのLABO博士」より)
:家の中に侵入してくる花粉の撃退方法をご紹介します。実は、花粉も人が出入りする玄関から入ってきます。

スギ花粉の身体への付着に関する調査( 美容・健康科学研究室 研究レポートより)
:花粉症の予防策を検討するため、頭部と顔面に花粉が実際に付着しているのか、スギ花粉数をカウントして、部位による違いがあるかを調査してみました。


(2016.2.19更新 エフシージー総合研究所 IPM研究室)



産経新聞掲載記事『微に入り細に入り』

次回の更新は3月4日(金)を予定しています。

IPM研究室

IPM研究室
室内環境の有害物質を調査し、対策を研究・ご提案します。特に「室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究」を主たる仕事としています。研究や調査のご依頼がある場合は、お気軽にお問い合わせください。【IPM研究室はこちら】