(9)蛍光増白剤の効果

 洗剤だけでは落ちにくい黄ばみ汚れに漂白剤を使う人も多いと思います。市販の洗剤には衣類を白く見せるため蛍光増白剤が配合されるものもありますが、漂白剤と何が違うのでしょうか? 第9回は“衣類を白く見せる働き”について科学的な視点で解説します。

●なぜ衣類が黄ばんでみえるのか“光と色の関係”
 光は電磁波の一種で、波長の長さによって目に見える可視光線と、そうでない紫外線や赤外線などがあります。テレビやパソコンモニターなど光を発するものを除き、私たちが日常生活でモノの色が分かるのは、太陽光などからの可視光線がモノにあたり、吸収されずに反射された波長の光が目に入るためです。可視光線は波長の長さにより複数の色に分かれます。

図1 光の種類と範囲
図2 光と色の見え方

 “光の三原色”という言葉を聞いたことはあるでしょうか? 人が感じとる光は赤、青、緑に分けられ、この三色の度合いの変化でさまざまな色に見えます。例えば白色は赤、青、緑の光が合わさることで白く見えますが、このうち青色の光が抜けると黄色く見えます。衣類の黄ばみもその一つ。洗濯や着用による繊維の劣化や皮脂などの汚れ成分によって青色の光が吸収され、赤、青、緑の光に偏りが出るため黄ばんで見えるのです。このように色の見えかたの違いは、吸収されずに反射される波長の光が異なるために起こります。


図3 光の三原色と色の見え方


●漂白剤と蛍光増白剤の違い

  蛍光増白剤、漂白剤とも衣類を白く見せますが、黄ばみ回復の原理は大きく違います。漂白剤は黄ばみ汚れの色素を変化させて白くするのに対し、蛍光増白剤による効果は色素に作用するのではなく、紫外線を吸収して青色の蛍光を発する特殊な染料によるもので目に見えない紫外線から目に見える青色の光を作り出すことで白くみせます。

図4 漂白剤と蛍光増白剤の違い


●「生成り」、「パステルカラー」の衣類は要注意

 蛍光増白剤には白物から色柄物まで幅広く利用できる特徴がありますが、なかには例外もあります。種類によって相性が悪いものもあります。例えば“生成り”。市販されている白物衣類には、製造段階で蛍光増白剤が加えられていますが、生成りは蛍光処理がされていません。そのため、蛍光増白剤を使うことで青白く染まり“生成り”でなくなってしまいます。また、ポリエステルや濃色の衣類への影響は少ないですが、ベージュ、ピンク、グレーなどのパステルカラーの綿、麻、レーヨンでは白っぽく色あせてしまうことがあります。

 大事な衣類を守るためにも、洗剤の成分表示と衣類の種類に注意し、使う際には洗剤のかたまりが一部にとどまらないようにすることが大切です。

LED照明と蛍光効果

 近年ではLEDが普及し、市販されているLEDの多くが紫外線を発しません。そのため、紫色の蛍光を発するような特殊なものを除き、家庭用として汎用されているLED環境下では蛍光増白剤による効果が薄れるといった研究結果も報告されています。

 

(2017.08.18)

生活科学研究室