(6)部屋干しによる洗濯物のニオイ

 天気が悪く洗濯物が乾かないこの時期、部屋干しする方も多いと思います。その際、気になるのが嫌なニオイ。いったい何が原因となっているのでしょうか? 第7回は“ニオイの発生と予防”を考えたいと思います。

●ニオイの原因「脂肪酸」
 衣類についた皮脂やタンパク質などの汚れは洗ってもわずかに残ってしまいます。その残った汚れが蓄積し、酸化や皮膚の常在菌による分解によって不快なニオイが発生します。このとき発生するのが脂肪酸とよばれるもので、部屋干しによるニオイの主たる原因とされています。

図1 洗濯物のにおい発生

 脂肪酸とは脂質を構成する成分で、炭素、酸素、水素が鎖状につながった構造です。お風呂場で床や鏡など白く汚れた経験はありませんか? これは石けん成分の脂肪酸が関係しています。脂肪酸はつながっている炭素の数によって①短鎖脂肪酸②中鎖脂肪酸③長鎖脂肪酸の3つに分類できます。

図2 脂肪酸の分類


●ニオイのキーマン「中鎖脂肪酸」
 一概にニオイといっても「酸っぱいニオイ」や「生臭いニオイ」などさまざまで、脂肪酸の種類によって違います。例えば、気温が高くなるこれからの時期、靴下や靴が蒸れて不快な経験をされた方も多いかと思います。これは同じ脂肪酸でも炭素数が少ない短鎖脂肪酸の一種である「イソ吉草酸」によることが広く知られています。部屋干しのニオイ成分は、これら複数の脂肪酸が混合したもので、特に中鎖脂肪酸が大きく関与していることが近年の研究で明らかとなっています。

●部屋干し用洗剤の特徴とは
 脂肪酸の発生を抑制し、ニオイを少なくするため各洗剤メーカーからは部屋干し用の洗剤が販売されています。主流は粉末と液体の2種類で、最近ではジェル状の新しい洗剤もみられます。一般的な洗剤と比べると酸素系漂白剤などの成分が補助剤として多く配合されているのが特徴です。


●乾かし方に工夫を
 洗剤の性能がいくら良くても洗濯後の扱い方によってはニオイの原因となります。清潔に保つためにも風通しを良くし、湿度を下げて乾かしやすくすることが大切です。例えば、湿度の高い空気が滞留しないよう扇風機などで室内の空気の流れをかえることや、干す際に洗濯物を重ねないような工夫も有効な手段の一つと考えられます。さらに脱衣場など狭い部屋なら除湿器を用いて強制的に部屋の湿度を下げれば、ニオイの抑制だけでなく乾燥時間の短縮にもつながります。

 嫌なニオイを防ぐためには、洗剤だけでなく、洗剤の機能を十分に活かせるよう洗濯後の処理に気を配ることも大切です。

図3  洗濯物の取り扱い

 

(2017.06.30)

生活科学研究室