フジテレビ商品研究所

商品研究レポート

災害用保温シートの効果調査
軽くてコンパクト!

災害用保温シートの
効果調査

 3種類の災害用保温シートと代替品で、体の保温効果と使いやすさを調査しました。

試験の概要

 最近、災害用の保温シートとして注目されているのが、ポリエステルフィルムにアルミを蒸着したシートです。今年(2013年)の7月、野外コンサート中のゲリラ豪雨の後、気分が悪くなるなどして41人が救急搬送されました。原因の多くは「低体温症」と言われています。救急搬送の際、体を包んでいたのが、このアルミ蒸着シートでした。「低体温症」は冬場や登山時などに限られると思われがちですが、今回のように一年中どこでも起こる可能性があります。そのため、このような保温シートを持っていると安心です。
 そこで、この災害用の保温シートが実際にどのくらいの保温効果があるのか、サーモカメラを使い検証しました。

試験対象品

 市販の保温シート3点とゴミ袋、新聞紙2枚重ねの計5点で試験を行いました。(表1)

【表1】 試験品
  商品名(メーカー等) 試験品のタイプ 大きさ・厚さ・重さ
レスキューシート
(株式会社ボウエキ)
アルミ蒸着
ポリエチレンシート
大きさ: 213 × 137 cm
厚  さ: 0.012 mm
重  さ: 49 g
アルミ4層ブランケット ポリエチレン+アルミ+ポリエチレン
+ポリプロピレン不織布の4層構造
大きさ 180 × 105 cm
厚  さ: 0.17 mm
重  さ: 152 g
アルミ暖暖シート アルミ蒸着ポリエステル
+ポリプロピレン不織布
大きさ 180 × 105 cm
厚  さ: 0.1 mm
重  さ: 125 g
ゴミ袋 ゴミ収集用ポリエチレン袋に
頭を出す穴を開けたもの
大きさ 89 × 98 cm
厚  さ: 0.02 mm
重  さ: 41 g
新聞紙2枚重ね 新聞紙(80×54 cm)を
縦横2枚ずつつなぎ合わせ、
これを2枚重ねにした(計4×2枚)
大きさ 160 × 108 cm
厚  さ: 0.12 mm
重  さ: 159 g

試験条件

【試験内容】 災害用シートの保温効果試験
【計測実施日】 2013年7月29日、30日
【計測条件】 室温20℃ 湿度50% の恒温恒湿室で座位安静にして計測
【計測項目】 着衣表面温度(サーモビュア:ニコン製)

 3種類の災害用保温シート(①〜③)と2つの代替品(④、⑤)で、サーモビュアで着衣表面温度の変化を計測し、保温効果と「温かさ」の体感を比較した。

 実験は、20 ℃ 50 %の恒温恒湿室に、長袖Tシャツ1枚だけで20分間安静にした後、さらに試験品のシートに包まって20分安静にし、20分後の着衣の表面温度をサーモビュアで撮影、着衣の表面温度を計測した。

試験結果

 室温20 ℃で20分程過ごすと、長袖Tシャツ1枚では肌寒く感じます。サーモビュアの画像は胸の辺りが低温を示す黒色で、画面中央(みぞおち付近)の実測値は24.9から26.9 ℃(表2:左側の列)でした。

 ①のアルミ蒸着シートに包まると、すぐに温かくなってくるのを感じ、ぽかぽかとして肌寒さがなくなりました。20分後のサーモビュアの画像は、胸が青から緑、一部赤い部分まで出てきて、着衣の表面温度が上昇したことが分かりました。このとき、着衣中心部の表面温度は、25.7 ℃から31.0 ℃に、実に5.3 ℃上昇しました。厚さ0.012 mmの極薄いフィルムシートですが、高い保温効果が確認できました。包まっている20分間のサーモビュア画像を見ると、包まっている体部分は真っ黒のままで、熱が外に出ていないことが分かりました。

 ②、③は、アルミ蒸着ポリエステルフィルムにさらにポリプロピレンの不織布を重ねた多層構造のシートです。いずれも、包まると温かくなり、高い保温効果がありました。ただし、多層構造で厚みがあるためか、体を包む際の.密着感が①ほどなく、シートの暖かさは①よりやや少なく感じました。計測値も、② +4.9 ℃、③ +4.1 ℃でした。③より②の方がシートは少し柔らかく、体を包みやすい分、保温効果がやや高くなりました。これは、シートで包まる際に生じる隙間のためと考えられます。

 また、ゴミ袋と新聞紙でも同様の計測をしました。④ゴミ袋は、ゴワゴワして体に添うことがなく、隙間だらけで肌寒く、何もしないのとほとんど体感が変わりませんでした。 ⑤新聞紙の二枚重ねは、ある程度、温かくなりました(+3.2 ℃)が、蒸着シートのようなポカポカ感は感じられませんでした。何より、体に添わず、体を包むのに向いていませんでした。

【表2】 シートの保温効果実験 
(サーモビュア画像: 20℃ 50 %恒温恒湿室)

【表2】 シートの保温効果実験 (サーモビュア画像: 20℃ 50 %恒温恒湿室)

図1:シートの使用による着衣の表面温度の変化

【表3】 保温シートの特徴のまとめ
  商品名(メーカー) 保温効果 商品特徴
レスキューシート
(株式会社ボウエキ)
体に密着してすぐに温まる。
一番温かい。
非常に薄いシートだが、体を包み易い。
12 cm角に収まり、かさばらない。
携帯に便利。
アルミ4層
ブランケット
温かい。 体を包んでも良いし、毛布のように
かけて使うのも良い。
適度な厚みと柔らかさがあり扱いやすい。
シーツとしても使用出来る。
アルミ暖暖シート 温かい。 ややゴワゴワして扱いにくい。
毛布のようにかけて使うか、シーツと
して使うほうが向いている。
ゴミ袋 保温効果はほとんどなく、
肌寒い。
かぶるには丁度良い大きさ。
雨風を防ぐだけ。
新聞紙2枚重ね ある程度の保温効果はあり、
温かいが、隙間風が入る。
ある程度の保温効果はある。
しかし、雨風は防ぐことができない。
あくまで代替品。

熱を逃がさない「アルミ蒸着シート」の保温の原理

  なぜ、アルミ蒸着シートで体を包むと温かいのでしょう。
 人体の熱は、体表面から出る赤外線で逃げていきます。この赤外線は、金属にあたると反射する性質があります。特に鏡のように光を反射しやすいアルミ蒸着シートは、非常に効率よく体の熱を反射することができます。このため、自身の体温を逃がさず、保温効果が高くなるのです。たった12μmのごく薄いシートでありながら、①のアルミ蒸着シートは、最も高い保温性があるわけです。

保温シートの特徴

 今回試験したシートの特徴をまとめました(表3)。
 災害用保温シートとして作られた3品(①、②、③)は、それぞれ保温効果にすぐれていました。ただし、用途に応じて使い分けることをおすすめします。

 ①のようなアルミ蒸着シートは保温性が非常に高く重宝です。体を包んですぐに温かく感じます。非常に軽くて、かさ張らず、リュックやバッグに入れてもじゃまになりません。防災用品としてだけではなく、突然の豪雨やスポーツ観戦などの保温対策に、持ち歩いてはいかがでしょうか。選ぶ際は、シートの向こうが透けないアルミの蒸着のしっかりしたもの、体をしっかり包める大き目サイズを選びましょう。また、同素材で、ポンチョタイプなどもあり、災害時に避難する際は非常に便利です。

 一方、②、③のような多層構造のシートは、毛布やシーツの代わりになります。毛布に比べるとかなりコンパクトで、汚れた場合も簡単に拭くことができます。アウトドアや災害用に常備しておきたいものです。

 今回、代替品として比較したものですが、大きめゴミ袋は雨風をしのぐことはできても保温性がなく、また新聞紙では、多少保温性があっても雨風をしのげないというように、何もないときの代替品にしかなり得ません。防災グッツとして保温シートを携帯、あるいは常備すると良いでしょう。

 いろいろなタイプの防災用シートを賢く使い分けていただきたいと思います。

(2013.08.15 生活科学研究室)

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