フジテレビ商品研究所

商品研究レポート


食品保存用真空パック器の評価

 お手軽な価格の食品保存用真空パック器(以下、真空パック器と称す)を店頭でよく見かけるようになりました。真空パック器を使う利点はパウチ袋や専用容器の内部を減圧して、食材の酸化や湿気を嫌う乾物などの乾燥状態を維持することにより保存性を高められることです。また食材によっては調理後、真空パックして冷蔵・冷凍し、食べる前にそのまま湯煎して利用することも可能です。

 本稿では、真空パック器を使用する利点として挙げられる、「減圧による浸透効果が働いて調味液を食材へ短時間で浸透させられること」が機種によって違いがあるかどうか調べてみました。
 対象としたのは市販されている7機種。一般に販売されている商品から価格帯により、手動パック方式2機種、電池方式1機種、100V電源方式4機種を選び、試験対象としました。

 専用容器が付属する商品はB・Gの2機種。専用袋やパウチ袋、またはロールが付属する商品はA・C・D・E・F・Gの6機種で、Gは専用容器とロールが付属します。
 A(手動)とC(電池式)は専用パウチ袋表面に器具を当てて脱気できるように脱気バルブが加工されています。


表1:使用した7種類と付属品

大根の浅漬けを想定して試験

 試験は、厚さ30㎜の輪切りにした大根を材料として、食塩濃度1%液に食紅で着色した調味液が大根に染み込む度合いを観察することにしました。輪切りにした大根1個を各商品に入れて、75㎖の調味液を加えて密封・脱気した後、直ぐに冷蔵庫へ入れて、6時間保存後に大根を中央から切断して写真を撮影しました。なお、真空パックを行わない大根を試験対照としました。また、保存に使用したパウチ袋、ロール(使用前に加工が必要)と専用容器(樹脂製キャニスター)は真空パック器を購入時、本体に付属していた物又はメーカー別売り品を使用しました。


表3-1:漬け込みパック

各パック器の試験結果は…

 水分が多い材料は減圧しても変形しない樹脂製キャニスターが有利でした。パック器によっては水分が多い材料はパック袋やロールを使用しないよう取扱説明書に書かれています。理由は、シール部分に水分が残ると減圧後のシールが不完全になり袋内部に空気が侵入して減圧状態が保てなくなることと、真空パック器本体に水分が入り故障の原因になるためです。パック袋(ロール含む)は真空操作時、本体内部へ水分が引き込まれることがないよう注意して作りました。

 6時間冷蔵保存した後に切断した写真を比べてみると、試験対照とした大根とパック袋やロールを使用して保存した大根では僅かに調味液が染みていました。専用容器(樹脂製キャニスター)で保存した大根では、調味液が内部まで充分に浸透している様子が確認できました。内部圧力が高い順に並べてみると、内部圧力が低いほど、良く浸透している傾向がみられました。

 

減圧状態を測定

 各パック器によって専用袋や容器内はどの程度の減圧状態であるか測定しました(各付属品を使用した場合の減圧状態を測定)。測定は各袋やキャニスターに圧力計が接続するように加工して、何も入れない状態で真空パックした時の内部圧力を測定しました。

 手動パック器の商品には、電動パック器に負けない減圧性能を有する商品もありました。実際に水分を含んだ食品を真空パックする際に、袋やロールは水分を本体内部に吸引しやすく、本体に水分が入る前に動作を終了させています。表3−2の内部圧力に関しては「※マークを付記したデータ」はこれよりも高い値であるはずです。その前提で見ても基本的には内部の圧力が低い真空パック器の方が、より調味液が短時間で内部に浸透している傾向が見られました。


表3-2:漬け込み後の切断面

表4:圧力計測写真


嫌気性食中毒原因菌の増殖抑制効果はなし

 真空パックは減圧することによって食品の保存性を高める利点がありますが、注意しなければならないこともあります。食材に食中毒の原因菌が付着していた場合、今回試験した真空パック器を使ったとしても保存食品中で増殖する可能性があることを注意喚起しておきます。極めて少ない空気濃度で繁殖する偏性嫌気性細菌(ウエルシュ菌、ボツリヌス菌)や通性嫌気性菌(リステリア菌)が存在します。このため、水分を含む食材を保存する際には、パックした袋や容器に保存した日付を書いておくことが賢明です。
 冷蔵保存の場合で、おおむね1週間位を目安に消費すると良いでしょう。

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(2019.7.10 生活科学研究室)

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