フジテレビ商品研究所

今までの研究レポート

泡もちの良さは泡立て器にあり?

~ 5種類の泡立て器でメレンゲを比較~



 泡立て器は材料を混ぜ合わせるときや生クリームや卵白を泡立てるときに使用する道具です。
多くの場面で使用するため、混ぜ合わせることに適した隙間の大きいものや泡立てに特化したもの、電動タイプもあり、さまざまな形の泡立て器が市販されています。今回は5種類の泡立て器を使用して、卵白の泡立てについて比較・検討しました。

泡もちの良さは泡立て器にあり?~ 5種類の泡立て器でメレンゲを比較~

メレンゲの泡立ちと泡もち

 卵白を激しく混ぜると卵白が空気を抱え込んで泡立ち、ふわふわとした綿のようなメレンゲ状になります。主に菓子に使われ、生地を膨らませたり、食感に滑らかさを出したりする役割を担っています。メレンゲの泡立ち(起泡性)や泡もち(安定性)は卵白温度や新鮮さ、砂糖添加の有無以外にも、撹拌する道具によっても変わると考えました。
 今回の実験では、表1に示した泡立て器を使用し、①卵白のみのメレンゲ、②砂糖を加えたメレンゲを作り、それぞれの状態を比較しました。①卵白70±0.2gを15±1℃に冷やして、直径約23.5cmのガラスボウル(Bamixは500mLビーカー)に入れ、4分間撹拌しました。②砂糖(28g)添加メレンゲは卵白のみと同様の方法で調製し、砂糖は撹拌開始1分後から少しずつ添加して5分間撹拌。①②ともに撹拌後、直径6cm、高さ5cmのセルクル型にメレンゲを詰めて重量を測定し、型から抜いて30分間静置し分離液量を量りました。
 メレンゲ重量は軽いほど空気を含んで起泡性が高く、フワフワとした状態を示し(図1)、分離液量が多いほど時間の経過とともにメレンゲの泡がつぶれ、形が崩れやすく安定性が悪いことを示しています。また、一般的に、砂糖を添加すると分離液量が減り、メレンゲの安定性が増すことが分かっています。分離液量を図2に、メレンゲの状態を図3に示しました。

図1重量 図2分離液量

表1使用泡立て器

 重量は卵白のみ、砂糖添加ともにBamixが最も重くなり、スピード泡立が最も軽い結果となりました。重量が重いほど、空気量が少ないため分離液量が相対的に多くなります。分離液量もBamixが多く、スピード泡立が少ない結果となりましたが、ハンドミキサーとシルバー泡立では砂糖を加えると分離液量がより減って安定性が増し、シルバー泡立ではその変化が顕著でした。
 分離液の少ない4種の道具のメレンゲはスプーンですくって裏返してもスプーンから離れませんでしたが、Bamixのメレンゲはスプーンを裏返すと落ちてしまい、他のメレンゲよりも緩く、サラっとした形態でした。しかし、最も滑らかでつやのあるメレンゲができあがりました。
 結果からスピード泡立のメレンゲは最も安定性が高く、Bamixでは気泡がつぶれやすく不安定なメレンゲになりました。また、Braunは卵白のみの場合、ハンドミキサーや手動と遜色のない仕上がりとなり、ハンドミキサーとシルバー泡立では砂糖添加でより安定したメレンゲを作ることができました。
 手動の道具は泡立て時に腕が疲れてしまいますが、空気を取り込むように大きく撹拌することができ、電動のBraunやハンドミキサーは手動のような大きな撹拌は難しいですが、労力少なく、卵白を高速でかき混ぜて空気をとり入れることができます。Bamixは楽に使用できますが、幅の狭い容器の中で、水平に回転するアタッチメントが卵白を切るように撹拌するため、空気を取り込んで抱え込ませることが難しく、不安定なメレンゲになったと考えられます。

膨らみと形、食感にちがい

 次に、メレンゲの安定性が異なるBamixとスピード泡立で作ったメレンゲを使用して、ベーキングパウダー添加有無の2種シフォンケーキを作り、でき上がりを比較しました。材料は、卵黄48g、卵白175g、グラニュー糖70g、牛乳41.2g、サラダ油46g、薄力粉70g、ベーキングパウダー2gです。メレンゲ作りは、Bamixは1.2Lのポリ容器を、スピード泡立はガラスボウルを使用して砂糖を3回に分けて加えながら5分間撹拌。生地は180℃のオーブンで30分間、焼き上げました。
 焼き上がりの結果を図4に示します。スピード泡立を使用したケーキの高さはベーキングパウダー使用の有無に関わらずBamixよりも高く、底面に空洞ができる“底上げ”(写真ではケーキ上面の白い部分)はあまり見られませんでした。Bamixはベーキングパウダーなしでも膨らみますが、冷ます間に生地が縮み、かつ、底上げが顕著に起きていました。しかし、ベーキングパウダー添加で縮みや底上げは少なくなる傾向が見られました。メレンゲの起泡性と安定性は生地の膨張と縮み、底上げに関わり、メレンゲが不安定な場合でもベーキングパウダーの添加で、これらの現象が抑えられることが示唆されました。また、スピード泡立のケーキはフワフワの食感で少しパサつきがありましたが、Bamixは適度な水分があり、しっとりとした食感になりました。
 膨らみが必要なケーキなどはより空気を多く抱えた、安定性の高いメレンゲが求められますが、膨らみがあまり求められないロールケーキ生地などでは空気が少ないメレンゲを使用するとしっとりした生地になりますし、アイスやムースなどでは滑らかで濃厚な食感になります。
 作りたいお菓子や求める食感によって泡立て器を選んだり、泡立て具合を調整すると思い通りの仕上がりが得られるかもしれません。お試しください。

図3メレンゲの状態 図4シフォンケーキの形

野菜の短期間保存に洗浄は有効?~ レタスとミズナで検証 ~/pdfレポートをダウンロードする

(2021.3.19 食品料理部門)

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