フジテレビ商品研究所

今までの研究レポート

すし飯を作る

混ぜる容器(飯台、ボウル、フライパン)を比較



 春は何かと行事の多い季節。ちらしずしや巻きずしを作る機会も増えます。すし飯を作るには木製の「飯台」を使いますが、最近は持っていない家庭も多いようです。そこで、飯台に代わる身近な道具「ボウル」と「フッ素樹脂加工フライパン」について調べてみました。

すし飯


おいしいすし飯とは

 今回の実験では次の3項目を“おいしいすし飯”の基準としました。
① ひと肌程度の温度=程良いすし酢の風味がある。
② 適度な酸っぱさ=適度な酸っぱさが具材の味を生かす。酢のとがりはマイナス要因。
③ 食感の良さ=団子状の塊が少ないほうがぱらっとほぐれて他の具材と混ぜやすく、食感、味ムラが少ない。

すし飯を作る

 容器はそれぞれ直径約28㎝の飯台、ボウル、フライパンの3種類(表1)。飯台はあらかじめ10分間、水で浸して用いました。
 米は生産量が多い「コシヒカリ」で、再現性を高めるため無洗米を使用。水は「南アルプスの天然水」、すし酢は「ミツカンすし酢」を用いました。
 米300g(2合)に水390gを加え、タイガーIH炊飯ジャーで炊いた直後に飯を容器にあけ、すし酢60gを上から直接回しかけて、しゃもじで30回切り混ぜました。

表1:すし飯を作る容器

おいしさ① ひと肌程度の温度~すし飯の内部温度測定~

 ひと肌の温度を36±1℃と設定し(以下、ひと肌)、すし飯の温度変化を調べてみました。
 すし酢を加えて切り混ぜた後、5分ごとに10回ずつ混ぜる作業を繰り返したところ、ひと肌になるまでにかかった時間はフライパン15分、飯台20分、ボウルでは30分という結果になりました(図1)。

図1:すし飯温度の変化

おいしさ② 適度な酸っぱさ~酢酸ガス濃度と重量を測定~

 酢が“とがる”とは、食べたときに酸っぱさが真っ先に感じられることを意味し、好ましくはありません。今回は酸っぱさの指標として、空気中の酢酸ガス(以下、酢酸ガス)で示しました。
 ひと肌のすし飯を入れた容器を透明なプラスチック箱で覆い、1分後に箱内の気体を酢酸検知管(GASTEC,No.81L)で吸引し、酢酸ガスの濃度(ppm)を測定しました(図2)。濃度が高いほうが、より“とがっている”ことを示します。酢酸ガス濃度はフライパンが最も高く、飯台の約1·8倍でした(図3)。
 次に、すし飯の重量を測定してみると(図4)、重量が最も軽かったのは、容器が水分を吸う飯台。ボウルはひと肌になるまでに時間がかかり、その間に水分が蒸発したと考えられます。一方、最も重かったフライパンは、他の容器よりも速くひと肌になるため、飯に酢が残ったものと思われます。
 これらの結果から、フライパンを使うほうが、すし飯に酢の香りや酸味が残りやすいと考えられます。

図2~4:すし酢添加直後およびすし飯重量

おいしさ③ 食感の良さ~作業性と飯粒の状態~

 飯は混ぜ過ぎたり、冷めたりすると飯粒同士が接着し団子状になりますが、すし飯の場合は酢が潤滑油の役目を果たし、飯粒同士の摩擦や接着を少なくすると考えられます。そしてもう一つポイントとなるのが容器の素材と形状です。
 今回用いた飯台とフライパンは飯粒が容器に付着しにくく、底面が広い形状で混ぜやすいため団子状になりにくくなっていました。一方、ボウルは側面に飯粒が付いてつぶれ、粘りが出やすく、また底面が狭く深さもあるため混ぜにくく、団子状になりやすい傾向がありました。

食味の比較

 研究員4名で食味を比較したところ、飯台は飯粒感がしっかりとして味のバランスも良いという評価になりました。
 それに対し、ボウルは飯粒同士が接着して粘りが出る印象です。フライパンは飯台同様、団子状にはなりにくいものの、飯粒の表面に残った酢がとがり、さらに水っぽくべチャッとした食感も感じられました。

まとめ

 飯台は混ぜやすく、適度に水分が抜けて飯粒感があり、まろやかな酢の味を感じられ、おいしいという評価になりました。
 ボウルは、切り混ぜにくく、飯がひと肌になるまでに時間がかかり、飯粒の食感が悪くなる傾向にありました。フライパンは底面が広いため切り混ぜやすく、ひと肌になるのが速いことから飯台に近い食感になりますが、飯台のように容器にすし酢が染み込まないため酢が飯に残り、酸味を強く感じました。
 飯台がない場合は、ボウルよりもフッ素樹脂加工フライパンがおすすめですが、酸味が残りやすいので、すし酢は控え目にすると良いでしょう。

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(2019.5.24 食品料理部門)

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