フジテレビ商品研究所

今までの研究レポート

大根の煮物

冷凍大根で時短調理

冬大根を厚めの輪切りにし、肉や魚の旨み、だし汁をじっくり煮含める。箸を入れると汁がほとばしり、ほお張れば大根の甘味と煮汁の旨みが解け合って広がる。寒い季節のごちそうだ。
しかし、そこまで味を煮含めるには時間がかかる。ところが、大根を冷凍するだけで味のしみ込みが驚くほど早くなるというのだ。

研究目的

冷凍した大根と生の大根で煮物を作り、味の込み状態を比較する。

実験材料

《材料》
大根     : 3本の中央を3cm厚さの輪切りにし、皮を厚くむく。
顆粒昆布だし : 「ほんだし®こんぶだし」味の素(株)
しょうゆ   : 「ヤマサ特選有機丸大豆の吟醸しょうゆ」ヤマサ醤油(株)
みりん    : 「家醸本みりん」養命酒製造(株)
酒      : 「白鶴マル」白鶴酒造(株)

《冷凍方法》
冷凍用のジッパー付きポリ袋に大根を入れ、冷凍庫に1日(24時間)置き、凍らせる。

《調理方法》
① 鍋に水3カップと顆粒昆布だし4g、凍ったままの冷凍大根と生の大根各3切れを一緒に入れる。
② 強火でひと煮立ちさせた後、弱火で20分煮る。
③ しょうゆ大さじ21/4、みりんと酒各大さじ11/2を加え、さらに5分煮る。
④ 火からおろし、煮汁の中に10分放置する。

《比較方法》
調理した大根の表面と断面の外観評価、試食による官能評価に加え、しょうゆの指標となるナトリウムと昆布だしのうまみ成分の遊離グルタミン酸の含有量を測定し、味のしみ込み程度を比較した。

実験結果

大根の調理による重量変化と成分含有量の測定結果は表1の通りである。

表1:調理による重量変化と成分含有量

《外観評価と官能評価》
表面の色は、冷凍大根は生大根よりも明らかに濃かった(写真1)。
また、厚みを半分に切った断面を見ると、生大根の中心部分は生状態の白さが残り、煮汁の色に染まった幅が3mmほどだった。一方、冷凍大根は中心まで火が入って透明感が出ており、煮汁の色の幅も6mmほどだった。(写真2)。
食べ比べてみても、生は中心部分がまだかたく、味が薄いのに対し、冷凍品は味も食感も煮物として十分にでき上がっていた。

写真1:表面 写真2:断面

《成分含有量》
冷凍大根は生大根よりもナトリウム量が1.6倍、遊離グルタミン酸量は1.2倍多く含み、官能評価による冷凍大根の味のしみ込みのよさを確認できた(図1)。

写真1:表面 写真2:断面

まとめ

大根を冷凍すると水分が凍って膨張し、大根の細胞組織を壊す。そのため、煮汁の味はしみ込みやすくなり、熱の通りも早くなる。厚みのある大根を下ゆでせずに調味料を入れた煮汁で煮始めると、塩分の影響でなかなかやわらかく煮えないが、組織が壊れた冷凍大根なら最初から煮汁で煮ることができることが明らかになった。
ただし、予備実験により、長く冷凍してしまうと組織の破壊が進んで大根がスカスカになり、食味が損なわれることがわかった。3cmほどの厚さの大根であれば24時間が最適だったが、切り分ける大きさによって冷凍時間を加減するとよいだろう。

(2014.12.01 食品料理部門)

▲PageTop