フジテレビ商品研究所

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電子レンジの調理時間を設定するコツ

電子レンジは、ご飯の温めや野菜の下ごしらえなどで一日に何度もお世話になる便利な調理器具である。しかし、冷凍食品やお弁当の表示、ネットや雑誌の料理レシピに従って加熱しても、加熱不足だったり、逆に加熱しすぎだったりと、上手にできないことがよくある。どこに原因があるのだろうか。

研究目的

複数台の電子レンジを用いて機種間のバラツキ、重量と加熱時間の関係を調べ、電子レンジの調理時間を設定するコツを探る。

各機種の出力率

電子レンジは1000W、700W、600W、500W、200W、150Wなど、加熱する際の出力数を指定できる。どの機種でも、出力数の設定が同じであれば加熱結果も一定なのだろうか。
日本工業規格(JIS)の「家庭用電子レンジの性能測定方法」を模した試験を2回繰り返して行い、確認した。

《電子レンジ》
試験は、容量17Lのシングル向け(A、B)と容量約30Lのファミリー向け(C~E)の5メーカーの5機種の電子レンジを用いた(表1)。ターンテーブルはBだけであった。

表1 試験に用いた電子レンジ

メーカー A B C D E
タイプ 単機能電子レンジ 単機能電子レンジ スチームオーブンレンジ オーブンレンジ スチームオーブンレンジ
年式 2008 2013 2013 2008 2008
容量(L) 17 17 30 31 31
テーブル フラット ターン フラット フラット フラット

《試験方法》
直径16cm、深さ7cmの耐熱ガラス容器に10℃の水1000gを入れ、500Wで1分40秒加熱した後の水温を測定し、計算により出力率を求めた。

(計算式) P={ 4.187×mw×(T2-T1)+0.55×mc×(T2-T0)}/t
                      p:高周波出力(W)
                      mw:水の質量(g)
                      mc:容器の質量(g)
                      T0:周囲温度(℃)
                      T1:初期水温(℃)
                      T2:終了水温(℃)

《結果》
設定した出力数500Wに対するp値の割合を「出力率(%)」とし、試験結果を表2にまとめた。
容量の小さいシングル向け(A、B)に比べ、容量の大きいファミリー向け(C~E)の方が、出力率が高い傾向にあった。

表2 電子レンジの性能試験結果

メーカー A B C D E
p 430 395 441 481 440
mw 1000.0 1000.0 1000.0 1000.0 1000.0
mc 200.6 200.6 200.6 200.6 200.6
T0 21.9 21.8 21.4 21.8 21.9
T1 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0
T2 20.3 19.5 20.6 21.5 20.6
t 100 100 100 100 100
出力率 86 79 88 96 88

機種ごとのバラツキ

機種間に性能差があることが明らかになったため、より高い温度まで加熱したときのバラツキを調べた。

《方法》
直径16cm、深さ7cmの耐熱ガラス容器に10℃の水200gを入れ、500Wで2分40秒加熱した。これを3回繰り返し、平均値を求めた。

《結果》
図にまとめたように、ファミリー向け3機種(C~E)は80℃以上になったが、容量の小さい2機種は75℃以下だった。最高のDは83℃、最低のBは72℃と、その差は10℃以上もあった。
この結果から、商品やレシピの指定通りに加熱しても、加熱状態に差が生じるのは当然のことであることがわかった。指定された時間は、あくまでも“目安”なのだ。

図:水200gを500W160秒加熱したときの水温

半量加熱と倍量加熱

電子レンジ調理をする際、4人分のレシピを半量にして調理したり、弁当2個を同時に温めることがある。このとき、加熱時間を単純に半分や倍にすると失敗する可能性がある。
量を半分にしたときに加熱時間を半分にすると加熱不足になったり、逆に、量を2倍にしたときに加熱時間を2倍にすると加熱し過ぎてしまう傾向があるといわれている。
この半量加熱、倍量加熱について調べた。

《方法》
電子レンジDを用いて、牛ひき肉100gの塊を使い、4個と2個で加熱時間を比べた。4個でちょうどよい加熱条件は500Wで4分20秒であったため、2個はその半分の2分10秒で加熱した。

《結果》
4個でちょうどよい時間を半分にして2個を調理した結果、加熱は不十分だった(写真)。
試験を繰り返したところ、量を半分にしたときは指定時間の0.6倍、つまり半分より少し長めに設定するとよく、量が倍なら1.6~1.8倍にするとよいことがわかった。

牛ひき肉の加熱の様子

調理時間を設定するコツ

同じ加熱時間でも、電子レンジごとに加熱の差が生じるのは避けられないことである。指定された加熱時間は間違ってはいないが “目安”でしかない、ということを忘れないようにしたい。
最初は時間を短めに設定し、その後は数十秒ずつプラスすれば、加熱しすぎを防ぐことができる。面倒がらずに途中で位置をかえたり、かき混ぜたりといった気配りがあると、失敗はずっと少なくなる。

(2014.05.28 食品料理部門)

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