フジテレビ商品研究所

今までの研究レポート

鍋

鍋の選び方

素材が使い分けのポイント

ひと口に鍋といっても、サイズや素材も違えば、値段にもかなりの幅がある。料理好きなら作る料理に合わせて使い分けたいところだが、キッチンのスペースには限りがあるため、実際は多様に取り揃えるのは難しい。
素材と熱効率、保温性の観点から、鍋と料理について調べた。

研究目的

湯が沸く速度と湯が冷める速度を計測し、鍋の素材と適する料理の関係を考察する。

鍋は、蓋付きの直径20~24cm、容量2~3Lの7種(写真)を選んだ。 素材は、アルミニウム合金の「アルミ」と「フライパン」、「鉄」、「ステンレス」、「鉄鋳物」、耐熱「ガラス」、陶器の「土鍋」である(表)。

表:試験に用いた鍋

湯が沸く速度

一般的に、熱伝導がよい素材は銅とアルミニウム、その逆は耐熱ガラスや陶器、ステンレスといわれている。
鍋に20℃の水2Lを入れて強火のガスコンロにかけ、100℃に達するまでの時間を計測した。

《結果》
最も早かったのは「アルミ」で7分40秒、同じアルミニウム合金製でも「フライパン」は「鉄」とほぼ同じ8分であった。
最も遅かった「土鍋」は「アルミ」の約2倍の14分、「ガラス」は10分30秒だった(図1)。
湯を沸かす速度は、鍋の直径や厚さ、樹脂加工など表面の加工の有無、蓋と鍋本体とのかみ合わせの状態、鍋底の形状などさまざまな要因が影響するが、やはり熱伝導がよい素材の鍋ほど、湯を早く沸かすことができた。

図1:湯が沸くまでの時間

湯が冷める速度

鍋に20℃の水2Lを入れて100℃まで加熱し、沸騰状態を1分保った後、火を止めて冷める速度を計測した。
計測終了温度は、調理後、再加熱しないでも食べられる温度の下限と想定される60℃とした。

《結果》
図2の計測結果に示すように、最も早かった「アルミ」は1時間15分、最も遅かった「ステンレス」は2時間6分と、その差は約1時間だった。
湯が沸くのが最も遅かった「土鍋」は1時間30分と、「アルミ」と「ステンレス」のほぼ中間となり、湯が沸く速度の順位と異なった。
鍋の保温性は、表面の加工や形状、蓋の状態などに影響されやすいと思われる。

図2:保温性

鍋と料理の相性

鍋の厚さや鍋底の形状、蓋のかみ合わせなどの影響は受けるものの、湯が早く沸く鍋ほど保温性は低く、その逆に沸くのが遅い鍋ほど保温性がよいという結果になった。やはり、料理によって鍋を使い分ける際は、まずは素材を目安にするとよいことがわかった。

パスタや葉野菜などをゆでるなら、熱伝導のよいアルミニウム合金の鍋が最適だといえる。表面に塗装が施されていないものは無機質で昭和レトロなデザインだが、その性能はとても優れている。加熱時間が短いと省エネになり、かつ、重量と価格ともに軽めという点も魅力である。

「アルミ」とは逆に、「ステンレス」や「ガラス」、「鉄鋳物」、「土鍋」は、熱の伝わりが遅い反面、保温性に優れている。食材に熱がゆっくり伝わると味のしみ込みがよい、味は冷めるときによくしみ込む、といわれていることから、これらの鍋は、じっくり加熱し、火をとめてからしばらくおいて味をなじませるカレーやシチューなどの煮込み料理に向いている。ただし、火を止めた後、余熱で火を通す保温調理をする場合は、鍋の素材だけでなく、蓋と本体のかみ合わせがよいもの、密着性の高いものを選ぶとよい。

(2014.04.11 食品料理部門)

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