フジテレビ商品研究所

今までの研究レポート

容量で食材を量ったときのバラツキ

容量で食材を
量ったときのバラツキ

同じ容量を量る道具なのに、形状も材質も多様な計量スプーンや計量カップが売られている。よく知られたメーカーのものもあれば、100円均一ショップのものもあり、価格もさまざまである。これらのスプーンやカップを使い、液体や固体を容量で量ったときの計量差について調べた。

研究目的

調理の際、塩やしょうゆ、油などの計量は15ml容量、または5ml容量の計量スプーンを用い、水や小麦粉など量を多く使う食材は200ml容量の計量カップを用いる。これらの商品には、実験器具に対するJIS規格のようなものはない。
そこで、数種の計量スプーンと計量カップを用いて調味料などを量り、その重量から計量の正確性を比較した。

計量スプーン、計量カップ

計量スプーンは、大さじが15ml容量、小さじが5ml容量の各10種で、いずれもすり切って計量するタイプであった。計量カップ9種のうち200ml容量のすり切りタイプは3種であった。その商品名とメーカー、購入価格、素材などを表1と表2にまとめた。

表1 : 商品一覧(計量スプーン)
表1:商品一覧(計量スプーン)

 

表2 : 商品一覧(計量カップ)表2:計量カップ一覧

測定食材

料理レシピに分量を容量で表記されることが多い液体食材の代表として水とサラダ油、固体食材の代表として食塩(サラサラタイプ)、薄力粉を選んだ。

測定食材

測定方法

1.計量スプーン(大さじ、小さじ)
測定食材4種を用い、測定者4名が各5回(計20回)測定した。水やサラダ油は盛り上がるくらい、食塩や薄力粉はすり切って量った。

2.計量カップ
測定食材は水と薄力粉の2種とした。カップ上部が200mlのすり切りタイプは、水の場合は盛り上がるくらい、薄力粉の場合はすり切って量った。それ以外は200ml表示の線を目安に量った。

測定結果

2.計量スプーン(大さじ、小さじ)
1-1. 商品による測定差

水、食塩、薄力粉、サラダ油の測定重量の20回平均は、表3の通りである。
また、塩小さじ1=6g、サラダ油大さじ1=12gなど、栄養計算の際に一般的に用いる重量を基準重量とし、測定重量との差を図1にまとめた。

表3 : 食材の測定平均(計量スプーン)
表3:食材の測定平均(計量スプーン)

 

図1:基準重量との差
図1 : 基準重量との差

平均値が最も少なかった「最少量スプーン」、あるいは最も多かった「最多量スプーン」の平均と、基準重量との差を表4にまとめた。
測定結果から、大さじで水15gを量ったつもりでも、実際は12.3~16.1gの幅があったことがわかった。つまり2割近く少なかったり、1割近く多かったりしたことになる。
食塩については、調理の際に塩の計量によく使う小さじでは、4.7g(-2割)~6.7g(+1割)の幅があった。
薄力粉は、大さじと小さじの最少量スプーンは、いずれも約3割も少なかった。さらに、各最多量スプーンでも基準重量より1割前後少なく、基準重量の設定時に用いた薄力粉と今回の実験に用いたものに違いがある可能性、あるいは基準重量の設定値に問題がある可能性が示唆された。
サラダ油は、大さじ、小さじともに±1割の差があった。

表4 : 最少量スプーンと最多量スプーンの平均と基準重量の差
表4:最少量スプーンと最多量スプーンの平均と基準重量の差

1-2. 測定者による測定差
測定者4名のうち最も差が大きかった者の最大値と最小値の差、および商品を表5にまとめた。
同じ測定者でも量り取る量は毎回、変動し、2割以上の差が生じたスプーンもあった。液体食材である水やサラダ油の方が、すり切りで量る固体食材の食塩や薄力粉よりも差が大きくなる傾向がみられた。
サラダ油の場合、同じ測定者でも大さじ1あたり3.9gも差が出た。油はカロリーが高いため、これは36kcalの差になる。

表5 : 測定差の大きい商品とその差
表5:測定差の大きい商品とその差

2.計量カップ
2-1. 商品による測定差

水、薄力粉を用いて200ml容量を測定した値の20回平均は、表6の通りである。また、基準重量との差との差を図2にまとめた 。

表6 : 食材の測定平均(計量カップ)
表6:食材の測定平均(計量カップ)

 

図2:基準重量との差
図2 : 基準重量との差

平均値が最も少なかった「最少量カップ」、あるいは最も多かった「最多量カップ」の平均と、基準重量との差は表7の通りである。「基準重量」は、計量スプーンと同様、栄養計算の際に一般的に用いる重量である。
計量スプーンに比べ、基準重量との差は小さい傾向にあった。
薄力粉は、計量スプーンと同様、少なめにしか量り取れなかった。

表7 : 最少量カップと最多量カップの平均と基準重量の差
表7:最少量カップと最多量カップの平均と基準重量の差

2-2. 測定者による測定差
測定者4名のうち、最も差が大きかった者の最大と最小の差、および商品は表8の通りである。
同じ測定者でも量り取る量は毎回、変動したが、計量スプーンに比べ、その差は小さい傾向にあった。

表8 : 測定差の大きい商品とその差
表8:測定差の大きい商品とその差

まとめ

初心者向けの料理教室では、「計量スプーンを使ってキチンと量りましょう」と指導される。
しかし、今回の実験で、計量スプーンで量り取る量は、スプーンやカップ、量る人によって、あるいは同じ人でも量る都度、差が生じることがわかった。つまり、容量で量る限り、キチンと計量しているつもりでも差は生じてしまうのである。

そして、その差は想像以上の大きさであった。
水であれば料理への影響はあまりないが、レシピに「しょうゆ大さじ4を加える」と書かれていた場合は、大さじ1近くの差が生じる計算になる。しょうゆの使用量が大さじ1も違えば、当然、レシピ制作者の意図した味つけから、かけ離れた味に仕上がってしまう。
「ハカリを使わずに作れるお菓子」といったレシピ本では、薄力粉や強力粉は計量カップで量るように指定される。しかし、レシピ制作者が重量で計量し、基準重量を基にカップ表記に換算していたりすると、読者が作ったお菓子はレシピに掲載されている写真と異なるものになる可能性が高い。

料理レシピに書かれている食材の分量が容量であった場合、それは「目安量」であると割り切ることが、失敗を防ぐコツのひとつといえるだろう。調味料であれば、まずは控えめに調味して最後に調節すると、どんな計量スプーンを使っていても、自分好みの味に仕上げられる。

「味見をしながら仕上げる」ことは、「計量スプーンを使ってキチンと量る」ことよりも優先すべき調理の基本であるといえる。

(2013.10.28 食品料理部門)

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