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加湿器内の微生物増殖に注意

  家庭用加湿器(以下、加湿器)は室内空気の乾燥を防ぐため広く利用されています。職場のデスクで小型のものを使用している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 加湿器の内部で有害な微生物が繁殖したまま使い続けてしまうと、「加湿器肺炎」を発症する危険性があります。特に気化式や超音波式の加湿器は微生物が繁殖しやすいと指摘されています。
 湿度の高い夏季には、加湿器を使用せず保管していることが一般的と思われます。今回は保管中の加湿器にどの程度カビが死滅せずに潜んでいるのかを調査しました。加湿器の状況を広く把握するため、使用状況や加湿方式を制限せず、様々な加湿器を集めてカビを採取、同定しました。

調査加湿器の詳細

 調査した加湿器は前年冬季以前から一般住宅で使用されていた計12台で、メーカーは7社、すべて異なるモデルでした。加湿方式は空気清浄機能を有する気化式が7台、気化式+温風気化式のハイブリッド式が2台、超音波式が3台でした。加湿器の清掃の状況も聞き取り、表1に詳細を示しました。また、タンク内に前年の水が残っていた場合、微生物で汚染されていることが明らかなため、排水してある加湿器を検査しました。

表1 調査加湿器の詳細

加湿器の清掃状況

 今回の調査では、取扱説明書に準じた清掃をしている加湿器は2台だけでした。また、説明書に準じている・いないにかかわらず、清掃をしている加湿器は空気清浄機能付きに多く集まりました。
 超音波式の加湿器の中には使用毎に超音波パネル周囲の清掃が推奨されている機種もありましたが、「使用期間中はしていない」か「シーズンに数回程度」のみでした。超音波式加湿器は手軽であるがゆえ、清掃を忘れがちになってしまうのかもしれません。

カビの採取方法

 カビの採取箇所は加湿器の①吹き出し口、②加湿フィルターもしくは超音波パネル付近、③水タンク用キャップ内側の3箇所(図1)としました。②の検査箇所は加湿方式の違いによって、気化式は加湿フィルターから、超音波式は超音波パネル付近から採取しました。カビの採取は、滅菌綿棒を用いて各採取箇所の約100cm2を拭き取りました。採取後の綿棒はリン酸緩衝生理食塩水でよく洗い、その懸濁液をPDA培地(湿性カビ用)に塗布しました。塗布後の培地は25℃で1週間培養した後、発生した集落(コロニー)を計数同定しました。

 図1 調査箇所の例

加湿器内の微生物

 図2に加湿方式ごとのカビ分離数を示しました。
 ①吹き出し口は、8台が検出下限以下でしたが、超音波式と気化式でカビが分離されました。超音波式の加湿器からは最大で約10万cfu/100cm2分離されました。
 ②加湿フィルター/超音波パネル付近は、全ての空気清浄機能無しの加湿器から1,000cfu/100cm2以上のカビが分離されました。多くの空気清浄機能付き気化式加湿器の加湿フィルターではカビの分離数が少数でしたが、周囲に目視で判断可能なカビ汚染が目立つ加湿器もありました(図3)。このような加湿器では、空気清浄フィルターが空気を提供していたとしても、最終的に出てくる空気にはカビの胞子が含まれていたと考えられます。
 微生物の分離数が最も多かったのは③キャップ内側で、100万cfu/100cm2以上の菌数が分離された加湿器もありました。また、他の2箇所よりも分離数のバラつきが大きくなりました。
 分離菌数が多い加湿器からは、Rhodotorula属菌に代表される赤色酵母が多数分離されました。加湿フィルター/超音波パネル付近ではCladosporium属菌(クロカビ)も多く分離されました。分離数が少ない加湿器ではPnenicillium属菌(アオカビ)やAspergillus属菌(コウジカビ)などが多くを占めていて、赤色酵母は少数でした。本調査では加湿器肺炎の主要原因とされる種類のカビは分離されませんでしたが、アレルギー性喘息の原因になるコウジカビやクロカビが分離されました。

 図2 加湿方式ごとのカビ分離数

 図3 多数のカビが見られた加湿フィルター周辺

使い始めは十分な清掃を

 今回の調査結果からは、清掃の有無や頻度とカビ分離数との間に関係性は見られませんでした。使用者自身ではしっかりと清掃をしていると思っていても、不十分なこともあるようです。加湿器を再度使い始める際に、取扱説明書をよく読んで、しっかりと掃除をしましょう。
 掃除を怠ると、水の入れ換え5日後には加湿器内に残存した微生物が増殖し、入れ換え前の汚染状況と同等もしくはそれ以上の汚染状況になるとの研究報告もあります。使用中も、最低週に1度は水路やタンクの清掃を心掛けるとよいでしょう。
 今年は新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの対策として、使い始める方も多いと思われます。しかしながら、室内の湿度が70%を超えるとハウスダスト内に生息する一部のカビが成長し始めてしまいます。このカビは呼吸器アレルギーの原因にもなりますので、湿度計を併用して極端な過湿状態にならないように注意しつつ、適切なお手入れを行い清潔な加湿器を利用しましょう。

加湿器内の微生物増殖に注意

(2021.4.1 IPM研究室)

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