エフシージー総合研究所・フジテレビ商品研究所

2015年研究発表

【平成27年室内環境学会学術大会】

大学構内における室内浮遊真菌およびAspergillus fumigatusの季節推移に関する調査

日時・場所:2015年12月4日 沖縄コンベンションセンター
○小田尚幸1)(会員)、橋本一浩1) (会員)、槇村浩一2)(非会員)、川上裕司1)(会員)
1)(株)エフシージー総合研究所 IPM研究室
2)帝京大学大学院宇宙環境医学研究室

Abstract: In order to clarify the transition of airborne fungi concentration in the university, we have investigated a number of airborne fungi once cafeteria and office a week from January 2015.Airborne fungi of cafeteria, and remained the 30 CFU/m3 or less, increased to 60CFU/m3 more than in the summer. On the other hand, in the office, it does not increase during the summer months, it had remained in 20 CFU/m3 or less, with the exception of April 19. Aspergillus fumigatus were isolated 6 strains by the sum of the outdoor and indoor until the end of July. Among them the five strains were concentrated in January and February.

キーワード:浮遊真菌(Airborne Fungi),アスペルギルス フミガータス(Aspergillus fumigatus),季節推移(Seasonal Transition)

1.緒言

 日常の中で、室内空気中に浮遊している真菌を吸入しながら生活していることは周知の事実である。そのため、浮遊真菌の濃度やその種類は様々な研究の対象となっており、一般住宅内における浮遊真菌数の年間推移や、真菌叢は明らかにされている1)。住宅屋内や屋外における浮遊微粒子の推移や、浮遊真菌数をモニタリングした事例はあるものの、大学内の浮遊真菌を長期間定点的に調査した事例は少なく、真菌数の季節推移など推測の域を出ない点も多い。大学内の教室や研究室は学生や教職員が、また、事務室は職員が多くの時間を過ごす場所である。飲食を行う食堂は多数の人が出入りしており、真菌胞子の流入機会が多いと予想される。演者らは、こうした環境の浮遊真菌濃度や菌叢を把握しておく必要があると考え、東京都内の大学構内にて浮遊真菌叢の調査を実施した。真菌叢は、その日の天候や湿度、部屋内にいる人などをはじめとした環境中の様々な影響を受けやすいことから、長期的な定点調査が必要である。本調査では、2015年1月から週に1回、大学の学生食堂および事務室における浮遊真菌数および浮遊微粒子数をモニタリングした。特に、肺アスペルギルス症の主要原因であるAspergillus fumigatusに焦点を置いた。
 本講演では、約一年間の調査における真菌数・種類、微粒子数の推移と、A. fumigatusの分離状況について報告する。

2.方法

[調査日時]
 2015年1月9日から調査を開始し、現在継続中である。毎週金曜もしくは土曜日の午後14時〜15時の間で実施した。7月18日までに合計112回のサンプリングを実施した。
[調査場所]
 帝京大学板橋キャンパス(東京都板橋区加賀2-11-1)1階の学生食堂および2階事務室。比較として大学外の空気も併せて調査した。
[浮遊真菌の調査]
 浮遊真菌は、エアーサンプラーSAS SUPER 100(Pbi International -Italy-)を用いて、CP加DG-18寒天平板培地2枚に100L/回ずつサンプリングした。サンプリング後の培地は1枚は27℃、もう1枚は37℃、1週間培養した。同様に、空中カビサンプラーIDC-500(アイデック)を用いて、CP加DG-18寒天平板培地1枚に100L/回吸引し27℃、1週間培養した。
 培養後、コロニーや分生子の形態的特徴から属や種の同定を行った。
 A. fumigatus様の真菌が分離された場合、純粋培養を48℃で1週間行い、A. fumigatusと近縁種との識別を行った。

3.結果および考察

3-1. 食堂および事務室の浮遊真菌数
 7月末までに分離された浮遊真菌の平均値は、食堂で28CFU/m3,事務室で17CFU/m3であった。どちらの真菌数の推移も外気の真菌数との連動は見られず、外気の影響を受けにくいことが伺えた(図1)。食堂の浮遊真菌数は、1月から6月の間では1月17日を除き30CFU/m3以下で推移しており、7月から60CFU/m3以上に増加した。一方、事務室では全体的に20 CFU/m3以下で推移し、4月18日に45 CFU/m3に増加が見られた。
 菌種のうちCladosporium spp. が最も多く分離され、食堂で分離されたうちの約3割、事務所では4割であった。食堂では次いで酵母様真菌、酵母や事務所では、Aspergillus spp. が多く分離された。

3-2. A. fumigatusの分離状況
 屋外と室内の結果を合わせて、7月末までに計6株分離されており、1・2月に5株が集中した(図1 矢印)。37℃の培養区でのA. fumigatusの分離頻度は1株だけであり、残りの5株は通常の培養で分離された。分離場所は、屋外で3株、食堂で1株、事務室で2株分離された。また、A. fumigatusの近縁種については、分離されていない。分離されたA. fumigatusはマイコトキシン産生性分析をはじめとした詳細な解析を行い、人体に対する影響を調べる予定である。

引用文献
1)一般住宅における室内浮遊真菌の年間変動 橋本一浩・川上裕司 2015 防菌防黴 43(6); 269-273

環境科学研究室では、「ダニ」「カビ」「微小昆虫類」「抗菌性評価」など
室内環境の有害生物の研究・調査に対応いたします。

【室内環境生物分野の試験および研究】
  • 室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究
  • 喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルゲンとなる生物の研究
  • 大学や国公立の研究機関との共同研究
  • 空気清浄機の除菌性能評価、抗菌素材の性能評価などの商品実用試験
  • 異物混入検査

▲PageTop