エフシージー総合研究所・フジテレビ商品研究所

2015年研究発表

都市有害生物管理学会 第36回年次大会

住宅で保管した小麦粉製品へのコナヒョウヒダニの混入実験

日時・場所:2015年7月5日 東京農業大学 世田谷キャンパス
発表者:○小田 尚幸1)、川上 裕司1)、橋本 一浩1)、福冨 友馬2)
1)(株)エフシージー総合研究所 IPM研究室
2) 国立病院機構相模原病院臨床研究センター

緒言

 小麦粉製品に混入したコナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)を経口摂取したことによる即時型アレルギー(アナフィラキシーショック)の報告事例が2013年〜2014年に相次いで報告された1),2) 。過去の事例を見ると,製品ではお好み焼粉やホットケーキミックスなどの報告事例が多い。臨床報告や原因となった食品中のダニ数とダニの種類について報告されているが,開封後の期間とダニの混入時期,小麦粉製品の種類と増殖スピードの関係などについては推定の域を出ていない。そこで,演者らは3種の小麦粉製品を5軒の住宅で常温保管し,ダニの発生時期などを調査したので報告する。

方法

 調査は,東京都,埼玉県,千葉県の木造一戸建3軒(A・B・C宅)と集合住宅2軒(D・E宅)を対象として,2013年12月〜2015年3月に渡って実施した.小麦粉製品は,①小麦粉・②お好み焼粉・③ホットケーキミックスの3種類を使用した.各製品の袋を開封し,輪ゴムで口を縛った上でタッパーウエアに入れて台所で保存した。保管開始から3,6,9,12,15カ月後の計5回,50mL容量の滅菌チューブに保存粉を移し取ってダニの有無を検査した。ダニの分析は,ダーリング液遠心浮遊法により行った。そして,ダニの計数と同定検査を行った。また,ELISA法によりダニ抗原Der f1とDer p1の濃度も分析した。

結果および考察

 12カ月後の調査でC宅からコナヒョウヒダニが分離された。ホットケーキミックスから2頭/g,お好み焼粉から24頭/gが分離され,いずれも幼ダニであった。この住宅のホットケーキミックスについては,15カ月後には1304頭/gになり,極めて高い密度に増殖することが明らかになった。3〜9ヵ月後の調査ではダニの発生が認められないことから,1~3月の間に混入したことが示唆された。
 A宅からも,15カ月後の調査でお好み焼粉からコナヒョウヒダニの幼ダニが2頭/g見つかった。また,他の住宅においてはダニの増殖は認められなかった。 C宅のダニ数は小麦粉製品の種類によって増殖数に大きな差があった。既知の報告と併せ,小麦以外の素材が混ざったお好み焼粉やホットケーキミックスにはダニが増殖しやすいことが本調査から証明されたとものと考える。ELISA法による分析の結果,A,C宅のダニが分離されたお好み焼粉とホットケーキミックスからは,ダニ抗原Der f1が検出され,Der p1は不検出であった。また,コナヒョウヒダニが分離されたお好み焼粉とホットケーキミックス以外の小麦粉製品からはダニ抗原は検出されなかった。

【参考文献】
1)Hashizume H., Umayahara T. and Kawakami Y. : Pancake syndrome induced by ingestion of tempura. British Journal of Dermatology, 170, 213-214., 2014.
2)小俣優子,下条直樹,數川久恵,小倉成美子,鈴木裕子,齋藤明美,西岡謙二,福冨友馬,川上裕司,河野陽一: 食品のダニによりアナフィラキシーを起こした症例.日本小児科学会雑誌118(1),30-34,2014.

環境科学研究室では、「ダニ」「カビ」「微小昆虫類」「抗菌性評価」など
室内環境の有害生物の研究・調査に対応いたします。

【室内環境生物分野の試験および研究】
  • 室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究
  • 喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルゲンとなる生物の研究
  • 大学や国公立の研究機関との共同研究
  • 空気清浄機の除菌性能評価、抗菌素材の性能評価などの商品実用試験
  • 異物混入検査

▲PageTop