(114)環境問題解決への取り組み発信

YKK経営企画室広報グループ長 井深 緑氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 YKK経営企画室広報グループ長 井深 緑氏
新聞発行日 2020年4月3日(金)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
井深 緑氏(いぶか・みどり)
1991年大学卒業後、都市銀行入行。秘書室に配属、副頭取秘書となる。2004年YKKに取締役副社長の秘書として入社。05年~07年大学院で経営学を学ぶ。08年経営企画室広報グループ。09年から現職。


─経営方針説明会を動画配信で行いました
 YKKグループでは毎年3月、その年度の連結業績と次年度の経営方針を説明する「YKKグループ経営方針説明会」を東京都千代田区秋葉原の本社で開催。全国紙、製造・開発拠点がある富山県の地元紙、テレビ、雑誌など、60~70人の記者の方に集まっていただいています。今年も3月5日に開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、録画による動画配信で対応しました。配信時間は午後1時から3時まで。多くの記者の方にご覧いただき、記事にもしていただきました。


─メディアの評価は
 当社は非上場会社ですが、現取締役の吉田忠裕が社長の時から、「上場企業並みの情報開示」に取り組んでおり、今回も開催方法は変えましたが、「きちんと説明させていただきたい」という姿勢はご理解いただけたようです。また同じ動画を社内ウェブでも公開しました。社員には、例年、社内報などで、この説明会の内容を伝えていますが、今回はトップの考え、方針を動画を通して伝えることができ、社内広報という面でも効果がありました。


─「2020年度事業方針」は
 YKKグループの経営体制は、ファスナーやスナップ・ボタンを扱うファスニング事業と、窓やドア、ビルのファサードなど建築用プロダクツを扱うAP(建材)事業、両事業を技術面で支える工機技術本部、この3者によるグローバル事業経営と、世界6極(北中米、南米、EMEA=ヨーロッパ、中東、アフリカをカバーするエリア=、中国、アジア、日本)による地域経営を基本としています。ファスニング事業では20年度も「Standardでの競争力強化」を事業方針に、「より良いものを、より安く、より速く」お客さまに提供することを目指していきます。


─具体的には
 事業方針に基づいて、Standard を最重要カテゴリーと位置付ける一方で、Value Conscious、Standard、BOPそれぞれのカテゴリーにおいて更なる開発体制の強化、バリエーション拡充、納期対応、コスト競争力強化を軸に、それぞれの顧客ニーズに応じた商品とものづくりの施策を進めていきます。環境配慮型商品の継続的な投入にも取り組んで行きます。


─サステナビリティー(持続可能性)への取組みも積極的です
 昨年、「YKKグループ環境ビジョン2050『人と自然の未来をひらく』」を策定し、気候変動への対応、自然との共生、水の持続的利用、資源の活用など、環境経営の実現に取り組んでいます。環境配慮型商品として、今年中に、スリランカの海岸線から50キロメートル以内で収集された海洋プラスチックごみを主材料とした樹脂製のファスナー「NATULON® Ocean SourcedTM」を開発、販売の予定です。今後も持続可能な社会への貢献を目指し、環境問題解決につながる商品開発と取り組み姿勢を積極的に発信していきます。


─広報体制は
 本社の広報グループは、社外広報、社内広報、広告・協賛、広報ツール制作、経営理念浸透の各チームから成り、メンバーは8人で、事業の広報メンバーと連携して活動しています。黒部事務所では広報メンバー4人が地元メディア対応などを行っています。世界72カ国・地域で約4万6000人(うち約2万8000人が海外)の従業員が活動しています。各国、各地域の特性に合わせた広報展開と、広報担当者間の連携を深めていくため2017年から「Global Communication Meeting」を年1回開催。世界各極から約30人が東京本社に集まり情報交換。今後、さらに強化していきます。


─SDGs(持続可能な開発目標)についての考え方は
 創業者・吉田忠雄の企業精神「善の巡環」、つまり「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」という考えのもと事業展開しています。企業は社会の重要な構成員であり、共存してこそ存続でき、その利点を分かち合うことにより社会からその存在価値が認められます。SDGsとも親和性のあるこの理念を今後一層、社員一人一人に浸透させるとともに、社会にも伝えていきたいと考えています。



(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子  -随時掲載)