(109)全方位対応 世界で認知度向上

三菱重工業グループ戦略推進室広報部長 小美野一氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 三菱重工業グループ戦略推進室広報部長  小美野一氏
新聞発行日 2019年12月20日(金)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
小美野一氏(おみの・はじめ)
 1986年学習院大法卒、三菱重工業入社。神戸造船所、本社勤労部、人事部を経て2001年米国三菱重工業。04年本社人事部。15年グループ戦略推進室広報部次長。18年から現職。ダイヤモンドF.C.パートナーズ代表取締役、浦和レッドダイヤモンズ取締役兼務。


─トップ交代がありました
 昨年4月、泉澤清次社長兼最高経営責任者(CEO)をトップとする新執行体制がスタートしました。その後、「地球上のすべての人々が安心して暮らせる社会」というコンセプトに基づく長期ビジョン「MHI FUTURE STREAM」の取り組みやグローバル・グループ経営体制への移行などを盛り込んだ「2018事業計画(2018~2020年度)」の推進状況、また国産ジェット旅客機「MRJ」の機種名を「Mitsubishi SpaceJet ファミリー」に変更、さらにカナダ・ボンバルディア社の小型機(CRJ)事業の買収など発表案件が続き、メディアにもさまざまな形で取り上げられ、新体制としての広報の良い機会となりました。


─広報の役割は
 2019年3月期の連結売上高は4兆783億円で、海外売上比率は54%でした。こうした中、三菱重工グループが各種の発電プラントなどのインフラ事業や航空機の開発、さらには宇宙ロケットの打上げなどの多様な事業に取り組んでいる企業体であることについてグローバル市場での認知度を高め、現地のマーケティング・セールス活動に寄与することが広報の使命だと思っています。またグループ従業員数約8万人のうち、海外人員比率は約36%です。グループ会社の事業活動とともに、ダイバーシティの取り組みなど当社グループの理解を深め、自分の会社を誇りに思ってもらえるようなインターナル広報にも注力していきたいと考えています。


─全グループ企業で合言葉を定めています
 三菱重工グループは、国内外の約400社から成る企業グループです。そこで、世界の顧客や地域社会とともに、持続可能な社会の発展に向けて、世界を着実に前に進めていくことを標榜(ひょうぼう)したタグライン・合言葉として「MOVE THE WORLD FORWARD」を制定。当社グループでは名刺や、「三菱重工グループ統合レポート」、グループ報「Global Arch」(和文・英文・中文合わせて約10万部発行)などの刊行物、企業広告に記載することを通じて、社内外のすべてのステークホルダーに向けた私たちの強い意志として表明しています。


─広報体制は
 本社広報部のメンバーは総勢42人(うち5人がグローバルスタッフ)です。広報、ブランド戦略、グローバルコミュニケーション、MRJプロジェクト、ブランド事業推進、CSRの6グループで構成しています。加えて、海外各地域統括会社に米国3人、欧州1人、シンガポールに1人を配置しています。ニュースリリースの作成においては、全てのステークホルダーに発信する情報が「正しく、簡潔、平易な文面」「適切な時期を以って」「公平公正」であることが基本です。しかし、企業活動のグローバル化に伴い、日本語のリリースの内容を機械的に各国語に訳したのでは各国のメディアやステークホルダーに正しく伝わりません。発信先メディアを意識した 個別作り込みが今後必要になってくると思います。


─危機管理について
 「BAD NEWS FIRST」を基本としています。私は社内で一番嫌われる部長でなくてはならないと思っています。聞きたくない悪評、ネガティブニュースなどを経営陣に届けるのが広報部長の役割だと思います。部下任せや迂回(うかい)して情報を届けることは避けるよう自戒しています。良いニュースは誰でも届けられます。日々起こりうる危機管理事項をどう選別し、本質を見分けるかが大切ですね。


─ネット時代、AI(人工知能)時代の広報とは
 ウェブ空間において、企業情報やクレームは同時性をもって全世界に拡散します。リアルタイムの動きへの対応を広報は担っていく必要があり、世界に拡散した情報の把握にAIの活用は欠かせません。既存メディアの対応に加え、有名/無名、既存/新興を問わず、すべてのステークホルダーの窓口として全方位的に広報・広聴活動がますます重要になってきます。



(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子  -随時掲載)