(104)顧客に情報を“伝える”努力を

東京ガス 広報部長 柴田陽一氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 東京ガス 広報部長 柴田陽一氏
新聞発行日 2019年11月1日(金)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
柴田陽一(しばた・よういち)
 1986年慶大経卒、東京ガス入社。98年広報部報道グループ。2003年川崎支店総務広報部長。その後、東京ガス都市開発出向、秘書部、財務部、エネルギー企画部を経て、14年秘書部長。16年地域企画部長。18年から現職。


─天然ガスを輸入して50年になります
 11月4日に、LNG(液化天然ガス)の導入から50周年を迎えます。根岸LNG基地への導入開始以来、袖ケ浦、扇島、日立でのLNG基地建設、首都圏をつなぐ天然ガスの輸送幹線の建設、お客さまが使うガス機器の熱量変更作業など、LNG導入に膨大な年月と作業量を費やしてきました。今、当たり前のように使っていただいている都市ガスの97%は天然ガスです。導入が拡大している再生可能エネルギーと天然ガスの組み合わせは、環境性と経済性にすぐれ、低炭素社会を実現していくうえでベストパートナーといえます。50年の経験をもとに天然ガスのさらなる高度利用や再生可能エネルギーの取り組みなどさまざまな変革にチャレンジしていきます。


─電力契約件数が200万件を突破しました
 2016年の電力全面自由化以降、家庭向けなど「低圧」の電力販売で着実に契約件数(供給中件数)を伸ばし8月に200万件に到達し、19年度中に240万件を目指しています。電力販売量増加を見込み、10月にはコベルコパワー真岡の、栃木県の真岡発電所からの電力受け入れを開始しました。天然ガス火力発電設備として国内初となる内陸型の大規模発電所です。こうした当社のさまざまな事業展開は、ホームページ、フェイスブック、ツイッター、ラインなどで情報発信し、各メディアには関連施設の見学、レクチャー、取材を通じて紹介していただいています。


─SDGs(国連の持続可能な開発目標)の考え方は
 創業時から、創業者の渋沢栄一が説いた「公益追求の経営」を大切にし、事業活動を通じて社会活動の解決に取り組んできました。「東京に青い空を取り戻そう」と、環境負荷の少ない天然ガスを日本で初めて導入したこともその一例です。ガス・電力の安定供給、保安では、ガス導管事業者として約6万キロメートルの供給網を持ちながら重大供給支障事故0件(18年度実績)を達成し、18年の大阪北部地震の復旧応援では当社グループから約1200人を派遣しました。近年は、東南アジアなど途上国のエネルギーインフラ構築にも注力し、LNG基地の建設やガス供給事業への参画を通じて、各国の経済成長を支えるべく事業を拡大しています。


─広報体制は
 広報部のメンバーは総勢25人。広報(11人)、広告(4人)、報道(10人)の3グループで構成しています。またショールーム2カ所(新宿、横浜)、業務用ショールーム2カ所(「厨BO!」汐留、横浜)、企業PR館2カ所(「がすてなーに」「GAS MUSEUM」)を運営しています。10月に「がすてなーに ガスの科学館」をリニューアルオープンしました。デジタル技術を活用し、「エネルギー」「暮らし・社会」「環境・食」「防災」の4つのゾーンごとに体験しながら考え、学べる展示内容に一新しました。06年のオープン以来、340万人の方にご来館いただいています。


─「復旧マイマップ」を開発しました
 インフラを担う企業として、有事の広報対応が重要だと考えています。大規模地震発生時などにはホームページやSNSを通じてお客さまに情報を発信します。昨年は、地図上にガスの供給状況や復旧状況を色分けでお知らせする「復旧マイマップ」を開発し、運用を開始しました。ガスの供給停止を伴う大規模な地震が発生した際は、災害用ホームページや公式SNSでご案内します。また、首都圏のラジオ局7社とライフライン各社で構成するラジオライフラインネットワークに参加し、ラジオを活用した被害情報の発信も行います。


─広報で心掛けていることは
 「伝える」と「伝わる」は違います。発信した情報が伝わっていなければ意味がありません。分かりやすく関心を持ってもらえるよう伝えることが大切です。聴く力も重要で、この両方を兼ね備えることを心掛けています。



(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子  -随時掲載)