(98)会社の等身大の姿を迷わず発信

明治ホールディングス取締役常務執行役員IR広報部長・古田純氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 明治ホールディングス取締役常務執行役員IR広報部長・古田純氏
新聞発行日 2019年8月9日(金)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
古田純(ふるた・じゅん)
 1981年早大商卒、明治製菓入社。経理部、米国子会社、経営企画部などを経て、2012年明治広報部。14年から現職。


─乳児用液体ミルクが好調です
 液体ミルクは、海外では既に一般的な商品ですが、国内では厚生労働省が定める省令に液体ミルクというカテゴリーがなく、販売できませんでした。そのような状況下、2011年に東日本大震災が発生。支援物資として海外から液体ミルクが届き、液体ミルクへの関心が急速に高まりました。そして昨年8月、省令が改正され、国内での製造販売が可能になりました。今年3月の、乳児用液体ミルク「明治ほほえみ らくらくミルク」新発売の記者会見にはメディア関係者が約250人集まりました。当初、災害備蓄用商品として注目を集めましたが、今では働くお母さんたちの間で「便利」という評価もいただいています。


─プロテイン「ザバス」シリーズに注目が集まっています
 明治がスポーツ用プロテイン「ザバス」シリーズを発売したのは1980年。スポーツ栄養学に基づいて開発され、トップアスリートから部活生、ジュニアに至るまで支持されているナンバー1プロテインブランドです。近年、健康志向の高まりや、スポーツ愛好家が拡大、理想の体を目指して運動する一般層の間でも、手軽にプロテインを摂取したいというニーズが高まっています。従来のパウダーに加え、手軽に飲めるミルクプロテインも大幅に伸長しています。先日は大容量タイプを発売しました。朝食やお風呂上がりなど、飲用シーンのさらなる拡大を図っていくつもりです。


─商品のPR展開は
 食品事業会社の、明治広報部が担当しています。商品PRをはじめとした広報機能のほか、栄養士による食育活動、全国の工場見学対応、コーポレートブランド管理などを担当しており、総勢45人と大所帯です。一方、医薬品事業会社「Meiji Seikaファルマ」の広報部は、主に医薬専門紙の対応を3人で担当しています。明治ホールディングスのIR広報部は、IR、広報、インナーコミュニケーション(ホームページの制作や社内報発行)に加えCSR(企業の社会的責任)も担当。メンバーは総勢13人です。3社の広報部門は日々連携しながら、情報共有を徹底しており、明治グループ全体の広報活動を非常にうまくコントロールしています。年間のニュースリリースの配信は、明治グループで150~200本ですが、やはり食品の新商品情報が圧倒的に多いですね。


─メディア対応で注力していることは
 新商品広報では、おいしさなど商品の特長とともに業界の動きや開発担当者の声など、記者が記事をまとめやすいプラスアルファの情報を交えて発信していくことが重要です。大切にしていることは、日ごろからのコミュニケーション。それに尽きます。担当記者が交代した時は何度でもレクチャーします。コミュニケーションの深さは記事に表れるものです。多少、耳の痛い話を聞くことがあっても的は外れていません。今、ESG(環境・社会・ガバナンス)、SDGs(持続可能な開発目標)が企業評価の一つになっていますが、こうした取り組みも積極的に発信することによって明治グループの考え方を理解していただきたいと思います。


─改めて広報のポイントは
 会社の等身大の姿を発信していくことです。会社のトピックスや話題とともに、新商品の紹介を車の両輪を回しているように発信していくことで、会社の軌跡が残るのだと思います。広報は良い時ばかりではありません。製品回収など危機対応もあります。どんなことに直面しても迷っていては駄目。守るより攻めの姿勢で臨んでいく方が道は開けることが多いのではないでしょうか。



(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子  -随時掲載)