(95)10年の経験生かし情報発信強化

J-POWER 秘書広報部長兼広報室長 中谷博氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 J-POWER 秘書広報部長兼広報室長 中谷博氏
新聞発行日 2019年6月13日(木)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
中谷博(なかたに・ひろし)
 1989年東大経卒、住友銀行(現三井住友銀行)入行。93年電源開発(J-POWER)入社。2007年広報室課長、12年広報室長代理、15年営業部長代理、16年エネルギー取引部部長、17年秘書広報部部長兼広報室長。19年から現職。


─国内約100カ所に発電所を保有しています
 当社は65年以上にわたり、水力、火力、地熱、風力などの発電所で電気をつくり、亘長約2400キロメートルの送電線を通じて電気を送っています。現在、日本の3割、世界の4割の電力は石炭火力でつくられており、当社は半世紀以上にわたり石炭火力のリーディングカンパニーとして技術を磨いてきました。神奈川県横浜市では世界最高効率の発電所を運営、広島県の大崎上島では石炭をガス化することで、排出する二酸化炭素(CO2)を削減・回収・有効利用しゼロミッションを目指す技術開発にも取り組んでいます。


─再生可能エネルギーの導入拡大にも積極的です
 大規模水力発電所を皮切りに、再生可能エネルギーの開発にも積極的に取り組んできました。地熱発電は1975年から取り組んでおり、今年は宮城県で既存設備のリプレース工事を開始、秋田県では国内第4位の大型地熱発電所が運転開始しました。風力発電事業は2000年にスタート。現在、国内20地点以上で陸上風力発電所を営業運転しており、国内第2位の規模を誇っています。福岡県北九州市では洋上風力発電の事業化調査も行っています。またバイオマス燃料の製造や研究も進めています。


─英国での洋上風力発電事業に参画しました
 昨年夏、英国トライトン・ノール社が英国東部の北海で進めている90基の洋上風力発電事業に、建設段階から参画することを発表しました。運転開始は21年を予定しています。欧州は世界の洋上風力設備容量の90%以上を占めており、なかでも英国の北海海域は恵まれた風況資源などを背景に、最も洋上風力発電の導入が進んでいる地域です。今回の発表は、国内外のメディア、エネルギー関係者から注目を集めました。


─海外の発電事業が注目されています
 90年代後半から、海外で発電所を建設、または買収し、その国で電力を供給する海外発電事業に取り組んでいます。電力需要の伸びが見込まれるタイでは、全発電設備の約1割は当社が支えています。電力市場の自由化が進んでいる米国でも、昨年末に当社11番目となるペンシルバニア州のウェストモアランド発電所が営業運転を開始しました。しかし、こうした取り組みは一部の方にしか知られていないのが実態です。今後はさまざまな機会を通じて発信を強化していきたいと思っています。


─具体的には
 広報を10年担当しているとその手法も変化してきます。今は、ネットメディアやSNSを通じての情報発信、そして生活者の視点からメディアを4つに分類した「PESO(ペソ)」が注目されています。「P」とはペイドメディア(支払うメディア、広告)、「E」はアーンドメディア(獲得するメディア、PRや広報など)、「S」はシェアードメディア(共有するメディア、SNSやブログなど)、「O」はオウンドメディア(所有するメディア、企業ウェブサイトなど)で、それぞれのメディアに対応したコミュニケーション戦略を立てて発信していくことが重要だと思っています


─広報体制は
 秘書広報部は広報室と秘書室から成り、広報室は総勢21人です。メディア対応を中心とした報道、原子力発電の理解促進を図る原子力広報、グループ内広報誌「J-POWERs」(月刊)、オピニオン誌「GLOBAL EDGE」(季刊)の発行、CM制作などを手掛ける企画制作、社会貢献活動のチームから構成しています。部長としての私の役割は、10年に亘る広報経験を活かしつつ、「外の視点」「社内野党」の姿勢で対応するよう心掛けていきたいと思っています。



(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子  -随時掲載)