(93)社会との丁寧な対話で共感を

クボタ コーポレート・コミュニケーション部長 細谷祥久氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 クボタ コーポレート・コミュニケーション部長 細谷祥久氏
新聞発行日 2019年5月16日(木)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
細谷祥久(ほそたに・よしひさ)
 1988年関西学院大社会卒、久保田鉄工(現クボタ)入社。広報室、東京本社総務部、人事労政部を経て、2003年人事部人事第一グループ長、04年秘書広報部広報室長。10年から現職。


─クボタグループが目指す方向は
 「グローバル・メジャー・ブランド(GMB)」の実現です。それは、単に売り上げや利益で世界のトップになることではなく、「最も多くのお客さまから信頼されることにより、最も多くの社会貢献をなしうる企業(ブランド)」になることです。現在の事業領域は、「食料・水・環境」です。人類の生存に欠かせない分野ですが、世界人口の増加などを背景に多くの課題を抱えています。農業の効率化やインフラの整備により、食料の増産、水の供給・再生、生活環境の創造に貢献することで社会の課題を解決し、地球と人の未来を支え続けることが当社の使命です。


─TVドラマ「下町ロケット」放映を機にクボタファンが急増しています
 昨年10月から放映されたドラマは、「農業」を題材にした池井戸潤氏の小説が原作で、当社のトラクターやコンバインなど自動運転農機の提供や技術指導を行う得難い機会に恵まれました。木股昌俊社長の「全社挙げて協力しよう」という掛け声のもと、都内のオフィスや工場の生産ラインなどをロケ地として提供し、延べ1400人の社員がエキストラとして出演協力。社員一人一人の士気が上がり、社外の多くの方から「見てますよ」と言われ元気をいただきました。


─「PESOメディア」で相乗効果が生まれました
 放映に合わせて、P(Paid=広告を買う/ドラマと連動した自動運転農機のCM・新聞広告、イベント実施)、E(Earned=記事を獲得する/報道機関向けの自動運転農機の実演会)、S(Shared=共有する/フェイスブック、ユーチューブでの拡散)、O(Owned=自社所有/ウェブコンテンツ・グループ報・イントラネットでの社内外発信)などのメディアを複合的に組み合わせた情報発信を展開しました。それにより、日本農業の現状や未来を理解していただき、活性化に貢献できたとすれば、こんなにうれしいことはありません。


─コーポレート・コミュニケーション部の体制は
 当部は2010年に、広報、広告、社会貢献の機能を統合して発足しました。大阪と東京の両本社に拠点を置き、報道対応や社内広報などを管轄する広報室(8人)、東京広報室(5人)、ウェブサイトやコーポレートブランディングなどを管轄するブランド推進室(7人)から構成。私を含めてメンバーは総勢21人です。食や農業への関心が高まる中、欧州や北米など広大な畑作穀物市場の成長戦略や、ロボット技術、情報通信技術(ICT)、モノのインターネット(IoT)を活用したスマート農業へのアプローチをテーマとした広報に注力しています。


─危機管理に対する考え方は
 広報室長に就任した04年、社会問題化したアスベスト問題への広報対応に直面しました。その経験から、客観的に自社を見つめ、社会の公器としての説明責任を誠実に果たすという姿勢こそが、ダメージの最小化の基軸と考えています。「社会に開かれた窓」としての機動的な広報対応も大切な心構えです。


─20年に創業130周年を迎えます
 周年を機に、社員全員が創業者の思いに心を寄せ、グローバルでの一体感を強めながら元気な企業メッセージを発信したいと考えています。情報発信手段の多様化などメディアを取り巻く環境が大きく変化していますが、いつの時代も変わらないのは言葉の大切さ。社会との丁寧な対話を積み重ね、クボタの存在意義に共感いただけるコミュニケーションを一層強化していきます。



(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子  -随時掲載)