(89)「日本発のグローバル企業」訴求

テルモ 広報室長 大曲昌夫氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 テルモ 広報室長 大曲昌夫氏
新聞発行日 2019年3月15日(金)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
大曲昌夫(おおまがり・あつお)
 1991年慶大/経卒、ソニーに入社し、渉外部、/広報部、米国ソニー製造販売会/社、米国ソニー・ピクチャーズエ/ンタテインメント、ソニー広報/部課長、IR部課長。2014年テル/モ広報室、15年から現職。


─中長期成長戦略が折り返し点を迎えます
 2017年に佐藤慎次郎が社長に就任し、21年度が最終年度の中長期成長戦略がスタート。19年度はその折り返し点となります。当社は「医療を通じて社会に貢献する」という企業理念のもと、心臓血管(2017年度売上高の55%)、ホスピタル(同27%)、血液システム(同18%)の3つのカンパニーを通じて、世界の医療現場に最適な製品やサービスを提供しています。近年は心臓血管カンパニーの一本足打法できましたが、他の2つのカンパニーもコスト削減、事業の効率化を徹底し、収益性を改善しつつあります。折り返し点を迎え、3つのカンパニーの一層の安定性を図っていきます。


─製品の出荷遅延がありました
 昨年7月初め、愛鷹(あしたか)/工場(静岡県富士宮市)で、カテー/テルなど心臓手術に使う医療機/器の一部に、製品の出荷の遅れ/が生じていることを発表しまし/た。製造工程の見直しの必要性/の有無を確認し、全面的な出荷/再開は10月に入ってからにな/りました。健康被害などが発生/したわけではありませんが、自/主的判断で出荷を停止しました。/今後、このような案件が発生し/た場合、愛鷹工場で生産した製/品を、他の工場でもサポートで/きる仕組みをつくるなど、事業/継続計画(BCP)の重要性を痛感/しました。


─決算発表前のタイミングで公表した
 医療現場をはじめ、多くのステークホルダーにご迷惑をおかけし、会社として状況をお伝えする必要があると考えたからです。また、8月上旬に第1四半期の決算発表を控えていたこともあり、タイムリーに現状を説明して透明性を図り、アソシエイト(社員)にも状況をきちんと伝えました。決算では、カテーテル関連の販売が想定を下回り、下方修正しましたが、その後、正常化し、第3四半期では売り上げ収益、営業利益とも過去最高を更新しました。


─広報体制は
 広報室のメンバーは、総勢13人です。PR、IR、社内報・ブランド広報、製品貸し出しなどを担当しています。テルモグループは現在、世界で30の工場を有し、海外売上比率は68%、海外生産比率は52%。今後もこの比率は増加する見通しです。また、アソシエイト数2万4508人のうち、海外アソシエイトの比率は約8割です。このような背景からも、各国との情報共有を密にしておくことが重要で、今年も米国から4人、欧州、インド、中国から各1人の広報担当者が東京本社に集まりミーティングを行いました。


─脳動脈瘤(りゅう)の新たな治療法が承認されました
 脳動脈瘤治療に用いる袋状の塞栓(そくせん)デバイス「ウェブ」が、米国で販売承認を取得しました。19年度の販売開始を予定しています。欧州では10年から販売され、世界で6000例以上の使用実績があります。このような新たな治療法の承認や買収案件など、ニュースリリースの配信は年平均約50件です。BtoB企業で医療事業の露出は難しく、一層の工夫が必要だと思っています。


─2年後、創業100周年を迎えます
 1921年の設立以来、医療の発/展とともに歩み続け、現在、世界/160以上の国で事業を展開して/います。100周年、さらにその/先も、あらゆる機会を通じて、テ/ルモが「日本発のグローバル企/業」を目指していることを訴求/していきたいと思っています。



(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子  -随時掲載)