(70)日本酒ファン 国内外で拡大

白鶴酒造・広報室長 西田正裕氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 白鶴酒造・広報室長 西田正裕氏
新聞発行日 2018年5月24日(木)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
西田正裕(にしだ・まさひろ)
 1990年立命館大産業社会卒、白鶴酒造入社。営業部、マーケティング室、総務人事部などを経て、2014年から現職。


─日本酒の飲み方が変わってきました
 少子高齢化や健康志向によるアルコール離れ、低アルコール(RTD)飲料の台頭などにより、日本酒が飲まれる量は以前に比べると減っています。一方で料理や会話を楽しみながらお気に入りの日本酒を楽しむ女性や、若い世代の飲酒人口は増えているといわれています。そこで、スーパーなどでレシピカードを添えて食材と一緒に日本酒を販売するなど、売り方もいろいろ工夫しています。今年2月に新発売した「日本酒でマリアージュ」は、“料理の味わいとバランスのいい日本酒”として積極的に飲み方を提案し、売れ行きも上々です。


─海外でも人気が高まっています
 国内の清酒メーカーは1254社(2017年度)あり、当社は売り上げトップを維持しています。海外へは、1900年のパリ万国博覧会に瓶詰酒を出品して以来100年以上にわたって、グローバルに現地企業への営業活動を展開。現在、北米、アジア、欧州、豪州など50カ国以上に日本酒を輸出しており、輸出量は年々伸びています。「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたこともあり、和食にマッチする日本酒への関心が高まり、日本酒ファンが着実に増えています。このため、輸出先の国の嗜好に合った商品開発を行うとともに、英語や中国語などのブランドサイトやパンフレットを作成し、輸出の拡大を図っています。


─「白鶴酒造資料館」を訪れる外国人観光客も増えているようですね
 大正時代に建造された酒蔵を利用して1982年に開館した資料館は、神戸市東灘区の本社ビルに併設され、年間約14万人のお客さまが訪れます。そのうち約5万人が訪日外国人観光客です。等身大の人形で酒造りを再現した展示や、利き酒体験コーナーなどが人気です。昨年10月から、酒造会社の直売店での酒税免税制度が始まり、人気の高い6品で制度を適用しました。資料館では、パンフレットの多言語化や外国語対応ができるスタッフの配置、QRコードを使った15カ国語対応の館内案内システムの導入などを通じ、日本の文化、伝統を知っていただきたいと思っています。


─広報体制は
 広報室のメンバーは、私を含めて3人です。日々の情報発信は、地元の経済記者クラブやウェブメディアを通じて行っています。メディア各社とは、白鶴酒造資料館で月1回ベースで開催しているさまざまなイベントの取材を通じて、交流を深めています。4月は酒蔵を開放するとともに、親子向け発酵セミナー「親子で学ぼう~お米と水からできるものなぁに~」の開催、試飲会、工場見学などを行い、新聞、テレビなど多くのメディアで紹介されました。


─「白鶴ファーム」設立の際は高い関心を集めました
 2011年から酒米の自主栽培を行っていましたが、農業に携わる方々の高齢化により難しくなってきた良質な酒米の安定確保、水田の維持、酒造りをしない夏場の余剰労働力対策などを理由に、15年に「白鶴ファーム」を設立しました。社会貢献活動の一環でもあり、全国紙などにも大きく取り上げられ、白鶴酒造の姿勢を理解してもらう良い機会になりました。
 創業は1743年、江戸中期で、今年275年を迎えます。これからも日本酒と日本酒を通した豊かな食文化の情報を発信していくことで、国内外の多くの方が日本酒に興味を持ち、ファンになっていただきたいと思っています。



(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子 2018.6.8更新)