(69)グローバル化、統一感への対応を

クラレ 経営企画室 IR・広報部長 植垣文雄氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 クラレ 経営企画室 IR・広報部長 植垣文雄氏
新聞発行日 2018年5月10日(木)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
植垣文雄(うえがき・ふみお)
 1992年明大法卒、クラレに入社し、エバール事業部、可樂麗国際貿易(クラレ上海)副総経理、エバール事業部課長、2015年同事業部部長。17年から現職。


─中期経営計画をスタートしました
 2026年に創立100周年を迎えます。そのときのありたい姿「独自の技術に新たな要素を取り込み、持続的に成長するスペシャリティ化学企業」を長期ビジョンとして掲げ、その実現に向けた18年~20年度の3カ年実行計画として中期計画「PROUD 2020」をスタートしました。
 課題は、将来の安定した事業ポートフォリオ構築への道筋を立てること。具体的には、液晶ディスプレイに使用される光学用ポバールフィルムや食品包装材に使われる樹脂エバールなどの製品群を持ち、現在、売上高の約5割、営業利益の約8割を占めるビ二ルアセテート事業に次ぐ柱をつくることです。強い事業をより強くしていく一方で、成長が期待できる事業は、新しい技術による規模拡大などにより一層の収益拡大を図っていきます。


─3月に、米カルゴン・カーボン社を子会社化しました
 同社は、世界7カ国に生産拠点、16カ国に販売拠点を持つ活性炭の世界最大手で、さまざまな用途や産業において最先端のソリューションを提供しています。4月1日付けで、カルゴン・カーボン事業部を新設して同社を編入しました。当社の炭素材料事業部と一体となり、当社が重点領域としている「水・環境」「エネルギー」の分野でシナジー効果を発揮し、炭素材料事業を将来のコア事業の1つにしたいと考えています。


─事業の発展に、創業家である大原家のDNAが生きています
 大原孫三郎・總一郎は、事業を拡大させるとともに、大原美術館や倉敷中央病院の運営など、地域に根ざした社会貢献活動にも積極的に取り組んできました。「企業が得るべき利潤は『技術革新による利潤、社会的、国民経済的貢献に対する対価としての利潤』に限る」など、大原語録といわれる経営のエッセンスを書き残し、社員の間ではこの精神が脈々と引き継がれています。ホームページや会社案内には大原のコーナーがあり、動画や英文でも紹介、多くの海外の方にもご覧いただいています。


─IR・広報部の体制は
 メンバーは総勢9人。IR、社外広報、広告宣伝・社内広報チームで構成しています。米ヒューストンと独フランクフルトにも現地の専任の広報担当がおり、メディア対応などを行っています。クラレグループの海外売上高比率は17年末現在64%。社員約8600人のうち約3割が外国人でしたが、3月に子会社化したカルゴン・カーボン社から約1000人が加わり、現在、4割近くが外国人です。今後、グローバル広報をどう展開していくかが当面の課題です。


─具体的には
 手始めとしてブランディングの統一を図ることです。日本ではコーポレートロゴ「kuraray」をホームページや印刷媒体に使用していますが、国により微妙に、ロゴの使い方や配置などのデザインが異なります。社内報も、日本では「クラレタイムス」、米国現地法人クラレアメリカでは「KAIZEN」、同ヨーロッパでは「numberOne」を発行。誌名、内容ともにまちまちです。グローバル化が進む中、統一感のあるコミュニケーション活動を強化していきたいと思います。


─今後の課題は
 07年にスタートしたテレビCM「ミラバケッソ(未来に化ける新素材)」は、造語ミラパケッソのTシャツを着た男性陣を見て当社のCMキャラクターが疑問を感じるというシーンなどが一時話題になりました。しかし、10年経ってそろそろ変革の時だと思っています。クラレがどういう事業を展開し、社会にどう役立っているのかを分かりやすく伝えていきたいです。


(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子 2018.5.18更新)