(68)グローバルなリスク管理広報体制を

中外製薬・参与 広報IR部長 内田誠彦氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 中外製薬・参与 広報IR部長 内田誠彦氏
新聞発行日 2018年4月26日(木)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
内田誠彦(うちだ・まさひこ)
 1984年成蹊大経卒。商社勤務を経て86年中外製薬入社。国際業務部、ロンドン駐在、経営企画部、米国子会社出向などを経て、2004年広報IR部IRグループマネジャー。12年から現職。この間、フランス・インシアード経営大学院でMBA(経営学)取得。


─ロシュとの提携から15年がたちました
 世界有数の製薬会社であるスイスのロシュと戦略的アライアンスをスタートしたのが2002年。ロシュ・グループの一員でありながら、上場企業として自主経営を続けるという、非常にユニークなビジネスモデルが誕生しました。前例のないアライアンスに不安の声も耳にしましたが、今では売上収益、営業利益はいずれも3倍以上になるなど、確たる成長を遂げています。


─今月、薬価((公定価格)が改定されました
 ジェネリック医薬品(後発品)が普及している医薬品は大幅な引き下げの対象になるので、こうした製品への依存度が高い企業には厳しい局面が続きます。幸い、当社はロシュ・グループ全体で年間約1兆円の研究開発費の成果が新薬として継続的に製品ポートフォリオに入ってきます。
 この安定的な収益基盤を背景に、自社の研究開発活動では、よりチェレンジングなプロジェクトに資源を集中投入できます。こうした中外製薬のビジネスモデル、イノベーションを全力で追及する姿勢を発信することが広報IR部の使命です。


─テレビCMではそんな姿勢を表現しています
 今年から放映している「未来人からのバイオメッセージ」森篇では、当社が強みを持つ創薬技術のうち、バイオテクノロジーをテーマとしました。未来から来た女性が、バイオで実現する“ワクワクする未来”を語ります。オーダーメードの薬や病気の事前予測などに触れ、「バイオでしか、行けない未来がある。」と結んでいます。当社の強みを広く一般の方に伝えるとともに、医療や人々の健康に大きく貢献しうるバイオの力でより良い未来を実現したいという思いを込めました。視聴者には大きなインパクトを与えたようです。


─中期経営計画「IBI 18」の最終年度となります
 IBIは、「INNOVATION BEYOND IMAGINATION(創造で、想像を超える)」の頭文字で、イノベーションを原動力とし、人々の想像を超えた革新的な製品やサービスの提供を通じて世界の医療に貢献したいという思いを表しています。今年は薬価改定の影響や主力製品の競争激化などのマイナス面がある一方、国内外での当社創製の新製品、主力製品の成長を見込んでいます。これにより、当初掲げていた「IBI 18」の定量目標は大きく上回る見込みです。当社では「すべての革新は患者さんのために」という事業哲学のもと、10年代後半の実現を目指す「トップ製薬企業像」を設けており、「IBI 18」の完遂はこの実現の必須条件と考えています。


─広報体制は
 広報IR部のメンバーは総勢17人です。メディアリレーションズ、インベスターリレーションズ、広報&e-Comsグルーブで構成しています。海外では欧米、シンガポール、台湾に広報担当がおり、現地メディア対応や有事の危機管理対応を担当します。事業に及ぼすリスクについては、年1回、経営者を対象にメディアトレーニングも行っています。大切なのは初期対応です。現場で情報が止まれば、企業としての対応は後手に回ります。情報が即時に国境を越えて拡散する時代にあって、これは許されません。その意味でも、グローバルなリスク管理広報体制の強化を今後も徹底していきます。


(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子 2018.5.11更新)