(106)「営業」「危機管理」を基本に発信

西武ホールディングス広報部長・川上清人氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 西武ホールディングス広報部長・川上清人氏
新聞発行日 2019年11月29日(金)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
川上清人(かわかみ・きよと)
 1994年慶大商卒、西武鉄道入社。飯能乗務所(車掌を経験)、経理部、ハワイ事業所、グループ統括室、総合企画部などを経て、2014年国際企画部長。17年から現職。西武鉄道執行役員広報部長を兼務。


─東証1部に再上場して3年後、広報部長に就任しました
 2004年の西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載による上場廃止や、米投資ファンドのサーベラスから敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けられるなど世間をお騒がせし、当社にとっては大変な時期が続きました。
 しかし、14年4月に再上場を果たし、「東京ガーデンテラス紀尾井町」の開業やインバウンド(訪日客)の増加などで業績を成長軌道へと乗せることができたのを機に、攻めの経営にシフトしました。19年3月期の連結決算は、営業収益は前期比353億円増の5659億円、営業利益は同90億円増の733億円となり、過去最高を記録しました。


─就任と同時に「西武ラボ」が発足しました
 「自由な発想で新規事業分野を創設するための専門部署として、経営企画本部に新設しました。これまで積極的に取り組んできたホテルのバリューアップ投資などの効果をさらに発展させ、収益を拡大していくためには、都市交通・沿線、ホテル・レジャー、不動産の3本柱の事業領域に加え、第4の柱を打ち立てて、チャレンジターゲットを達成していく必要があります。この第4の柱になりうる事業を見いだすことを期待して発足したのが「西武ラボ」です。
 M&Aや提携などの検討、事業の開拓、事業エリアの拡大など、従来の枠組みにとらわれずに挑戦を続けていきます。


─「ほほえみFactory」とは
 グループのビション浸透と挑戦しやすい風土づくり、グループ内の横断的な連携の促進を目的に08年から実施しています。毎年、グループ各社から社員約30人が集まり、4日間を共に過ごして、グループが取り組むべき施策やアイデアをディスカッションし、グループ各社経営層に提案しています。参加者は延べ370人を超え、実際の施策として実現したものもあります。


─こうした取り組みの情報発信は
 広報部が、営業広報と危機管理広報を基本に日々の情報発信を行っています。理念・宣言・スローガンから成るグループビジョンの浸透、推進も広報部の担当です。
 全役職員へのビジョンブックの配布、毎年4月のグループビジョン推進月間の活動強化、グループビジョンに基づいた優れた取り組みを評価する「Good Jobカード」や、同じく優れた取り組みを表彰する「西武グループ チームほほえみ大賞」の選定などを実施。スローガン「でかける人を、ほほえむ人へ。」は、さまざまな機会を通じて発信しています。


─広報体制は
 広報部のメンバーは総勢14人です。報道、ウェブ・ブランディング、社内報・グループビジョン、西武グループの多様な事業を活用し小学生に年間を通じて体験学習の場を提供する「西武塾」の運営の4グループで構成されています。
 グループインフォメーションマガジン「ism(イズム)」(隔月刊)の発行に当たっては、毎号、後藤高志社長の「Message」を通じて、社長の考え方や経営方針を分かりやすくまとめているほか、グループ各社の情報も掲載しており、社員の間で好評です。毎月1回、西武鉄道やプリンスホテルなどグループ16社の広報担当が参加し、広報戦略会議を開催しています。


─今後の課題は
 「西武ラボ」の活動がスタートして今年、3年目に入りました。さまざまな新規事業の開拓が進行しており、タイムリーに分かりやすく発信していきたいと思っています。
 また、今、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営が、優れた企業経営の評価の一つになっていますが、当社では「サステナビリティアクション」と呼び、特に取り組むべき4領域(安全・環境・社会・会社文化)、12の重要テーマ(沿線・周辺自治体活性化など)を設定し、取り組みを積極的に行っています。今後、具体的に分かりやすく発信していきます。



(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子  -随時掲載)