(116)心動かす「物語」として情報発信

サッポロビール広報部長・小林勇立氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 サッポロビール広報部長・小林勇立氏
新聞発行日 2020年6月4日(木)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
小林勇立氏(こばやし・ゆうる)
1989年同志社大文卒、サッポロビール入社。支社営業、宣伝部、ブランド戦略部、首都圏流通営業部、サプライチェーンマネジメント部などを経て、2015年サッポロホールディングス広報室長。18年同コーポレートコミュニケーション部長。20年3月から現職。


─新ジャンルの新商品CMが話題になっています
 サッポロの2大ブランド「サッポロ生ビール黒ラベル」と「ヱビスビール」の素材・技術をつぎ込んだ「サッポロGOLD STAR」の新発売に伴い、NHK連続テレビ小説「エール」で主演を務める俳優の窪田正孝さんをCMキャラクターに起用しました。「すべてのうまさを過去にする」という力強いメッセージも話題になり、2月の発売から約3カ月で年間販売計画360万ケースの半分となる180万ケースを突破し、好調に推移しています。


─4月に大きな組織改正がありました
 創業150周年の2026年をゴールとするサッポログループ長期経営ビジョン「SPEED150」のもと、20年を期初とする5カ年計画「グループ経営計画2024」を発表しました。変化が激しく混沌(こんとん)とした時代こそチャンスととらえ、お客さまに即応できる組織に大きくかじを切り、事業会社に軸足を置き、機動力を発揮できるシンプルでコンパクトな組織構造としました。


─各事業会社の取り組みは
 酒類事業では、10月の酒税法改正でビールは減税となり、それを機に国内ビールの一層の強化とともに北米やベトナムでのプレゼンス向上を図っていきます。食品飲料事業は、次世代に向けた植物性素材の新カテゴリーを創出し、大豆チルド、スープ、レモン事業を強化していきます。不動産事業は、恵比寿・札幌・銀座という当社にゆかりのある地域でのまちづくりを進め、新たな投資戦略に挑戦していきます。


─グループの広報組織も変わりました
 従来はサッポロホールディングスのコーポレートコミュニケーション部が、持ち株会社としての広報と事業会社サッポロビールの広報活動を行っていました。新体制では、当社の屋台骨であるビール事業に重きを置き、広報活動もサッポロビール広報部としてよりお客さまに近い立場で、これまで以上にスピーディーに情報発信していきます。サッポロホールディングスの広報機能も兼務として継続していきます。


─広報部の体制は
 社内外への情報発信を担う広報室(8人)と、各工場やサッポロビール博物館(北海道札幌市)、ヱビスビール記念館(東京都渋谷区)などの見学施設運営や日本ビール検定・社史を担うビール文化コミュニケーション室(4人)の2室から構成されています。情報発信で心掛けていることは、「物語」として伝えていくこと。新商品一つとっても、どんな社員の発想の下、商品化までの苦労や、工場など現場スタッフがどんな思いで製造に取り組んできたのか、営業現場ではどのような努力があったのかを広報としても、心を動かす「物語」としてきっちりお客さまに発信したいと思っています。


─グローバル広報に注力しています
 06年にカナダ国内ビール生産量第3位のスリーマン社を傘下に。売り上げも順調に推移しています。ベトナムでは、11年に工場を設立しました。ホーチミン市内で行っている調査ではターゲット層ユーザーの認知率が昨年、約97%に達しました。専任の広報担当者も置いています。今後は国内、海外の情報共有をより密に行い、社内広報を充実することでグローバルな人材育成も強化していきます。


─サステナビリティーの取り組みは
 昨年末、サステナビリティー方針「大地と、ともに、原点から、笑顔づくりを。」を策定。地球環境や社会課題に向き合い、大地の恵みに感謝し、社会とともに歩み、開拓者の自負を持って持続的な事業活動を行っていこうという思いを込めています。


─改めて広報への思いを
 情報が氾濫し、瞬時に情報が流れる時代、広報として伝えたいことは、ヒトがモノを作り、そこには必ずストーリーがあるということ。サッポロビールに行けばいい話が聞けるよ、記者さんからそう思ってもらえるような日ごろからの信頼関係を築いていきたいと思っています。



(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子  -随時掲載)