(120)誠実さと熱意を持つ人材を育成

キリンホールディングス 執行役員コーポレート コミュニケーション部長・堀伸彦氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 キリンホールディングス 執行役員コーポレート コミュニケーション部長・堀伸彦氏
新聞発行日 2020年9月15日(火)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
堀伸彦氏(ほり・のぶひこ)
1987年一橋大商卒、キリンビール入社。大阪支社、広報部、東北地区本部営業企画部担当部長、山形支社長、仙台支社長などを経て、キリンホールディングスコーポレートコミュニケーション部主幹、2019年同部長。20年から現職。


─「働きがい」改革がスタートしました
 キリングループは7月から、国内のグループ社員約2万人を対象に、働き方のみならず、仕事を見直して一人一人の「働きがい」の実感を目指す「『働きがい』改革 KIRIN Work Style 3.0」をスタートしました。新型コロナウイルスによるさまざまな環境変化を“機会”と捉え、仕事の意義、目的を確認しながら、仕事そのものの継続的な見直しに社員一人一人が取り組み、「加速すること」「変革すること」「やめること」「縮小すること」を明確にし、仕事への意欲や達成感を高めることで働きがいにつなげていきたいと思っています。


─昨年、2027年に向けた長期経営構想を発表しました
 長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027(KV2027)」は、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業になる」ことを目指しています。不透明、不確実な時代の今、しっかりした「軸」をもって経営にあたることが重要で、その「軸」となるのが13年から取り組んできたCSV経営です。社会の課題を解決し、長期的視点から利益を生むことにより持続的な企業価値向上を追求していきます。


─その指針となるのが「CSVパーパス」です
 キリングループは、渋沢栄一氏が前身のジャパン・ブルワリー創立に参画したころから、事業を通じて社会課題に向き合ってきました。今後とも、アルコール関連問題の解決に取り組み、次世代にお酒の文化を継承していく「酒類メーカーとしての責任」を果たし、そのうえで事業と関係が深い「健康」「地域社会・コミュニティー」「環境」という3つの社会課題の解決に取り組むことで新しいイノベーションを生み出していきます。


─プラズマ乳酸菌を使用した「iMUSE (イミューズ)」ブランドが好調です
 KV2027の実現に向けて、既存事業の「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)の中間領域にあたる「ヘルスサイエンス領域」を立ち上げ、幅広い取り組みを始めています。その一つ、「キリンiMUSEレモンと乳酸菌」「キリンiMUSE水」「キリンまもるチカラのサプリ」などのプラズマ乳酸菌飲料が好調で、20年上半期の売上高が前年比約2倍と過去最高を記録しました。お客さまの体調管理に対する意識の高まりや、乳酸菌を飲料、サプリメントなどさまざまな食品を通じて積極的に摂取したいという人が増えていることなどが要因です。8月7日にはプラズマ乳酸菌を使用したキリングループの5商品が、機能性表示食品制度を利用した「健康な人の免疫機能維持」に関する表示で、消費者庁に届け出受理されました。免疫機能で初めての受理で、今後のさらなる市場拡大が期待されます。


─コーポレートコミュニケーション部(CC部)の体制は
 CC部は、IR室、報道、オウンドメディア、企画、工場見学の各チーム、お客様相談室から成り、メンバーは約80人。このうち約40人がお客様相談室の担当で、キリンビール、メルシャン、キリンビバレッジの相談窓口として年間約10万件の対応を行っています。


─「リモート社会科見学」を開催しました
 キリンビバレッジでは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため一部を除いて工場見学を中止しています。このような時だからこそ「今できること」を考え、家族と一緒に自宅で楽しめる「リモート社会科見学」を開催しました。6月27日午後1時からの、湘南工場での「おうちで工場見学を楽しもう!!」では、日本マイクロソフトの技術協力のもと、「キリン午後の紅茶」ができるまでを、世界でも珍しい機械や臨場感ある製造ラインの映像を通じて体感していただきました。全国各地の未就学児を含むお子さまやご家族に参加いただき大変好評でした。


─今後の課題は
 広報人材の育成です。広報担当者に必要なことは、何事にも好奇心と、チャレンジ精神を持つこと。大切なことは誠実さと熱意を持った人柄です。会社にとって耳の痛い話でも、ステークホルダーの声をきちんと伝えられるような広報担当者に育ってほしいですね。



(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子 -最終号)