(92)「日本一暮らしやすい沿線」訴求

小田急電鉄 執行役員CSR・広報部長 山口淳氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 小田急電鉄 執行役員CSR・広報部長 山口淳氏
新聞発行日 2019年4月26日(金)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
山口淳(やまぐち・あつし)
 1988年中大法卒、小田急電鉄入社。ビル営業部、広報部、SC事業部「新宿ミロード」所長、「本厚木ミロード」所長、法務環境統括室コンプライアンス担当課長、総務部秘書担当課長、小田急エージェンシー取締役経営管理部長、SC事業部長などを経て、2017年CSR・広報部長。18年から現職。


─小田急線の代々木上原-登戸間の複々線化から1年経ちました
 構想から約50年、工事期間が約30年に及んだ一大プロジェクトでした。複々線後のダイヤ改正で、ラッシュピーク時の平均混雑率は、複々線化前の192%から151%に改善されました。ラッシュピーク時の小田急多摩センター駅から新宿駅までの所要時間が最大で14分短縮され、下北沢駅への上り到着の平均遅延は2017年度の2分4秒から48秒に改善されるなど、「混んでいて、遅い」という小田急線のイメージは払拭されました。


─街づくりにも積極的です
 沿線社会との共存共栄は、民鉄の大きなテーマです。代々木上原駅-梅ヶ丘駅間では線路の地下化によって創出された小田急線上部空間を利用し、順次、地元に開かれたにぎわいや回遊を楽しめる施設の整備を進めています。海老名駅間地区開発「ビナガーデンズ」では、商業施設、オフィス、ホテル、分譲マンションなど「職、住、商、学、遊」が充実した街づくりを進めます。


─自動運転バスの実証実験を行いました
 小田急グループでは、90年間積み上げてきた安心・快適という普遍的な価値を土台としながら、先進的なテクノロジーを活用して、「会いたいときに、会いたい人に、会いに行ける」次世代のモビリティライフを街に生み出すことを目指しています。昨年9月、当社と小田急グループの江ノ島電鉄は、神奈川県と連携し、ソフトバンク子会社のSBドライブの協力のもと、神奈川県藤沢市の江の島周辺公道で自動運転バスの実証実験を行いました。自動運転バスの実用化に向けた検証を目的としたもので、試乗会に参加した記者は、さまざまな技術に驚いていました。今後も、移動をサービス化する「MaaS(Mobility as a Service)」の取り組みと、先進的な街づくりを推進していきます。


─CSR・広報部の体制は
 CSRチームが18人、広報チームが29人で総勢47人です。報道対応では、国土交通省、ときわ、都庁の各記者クラブと、川崎、横浜、小田原など沿線都市の記者クラブ、レジャー記者会などと接点があります。当社事業で年間約140本、グループ企業関連で約50本のニュースリリースを発行しています。


─「ロマンスカーミュージアム」がオープンします
 海老名駅の隣接地に21年春、開業します。当部の所管で、「“子ども”も“大人”も楽しめる鉄道ミュージアム」をコンセプトとしています。特急ロマンスカー3000形をはじめとした小田急の歴史を彩るロマンスカーの展示、小田急沿線の風景を模したジオラマ、電車運転シミュレーターなど多彩なコンテンツを予定しています。小田急線の歴史を後世に伝えていくとともに、新しく誕生する街のシンボルとして新たなにぎわいを創出します。


─今後の課題は
 複々線効果を実感していただくため「朝の10分の所要時間短縮で、コーヒーがゆっくり飲めます」という暮らしの変化などを訴求し、一定の認知を得られています。また、下北沢など、沿線を代表するイメージリーダーとなる街を設定し、まちづくりの進捗を重点的に発信しています。今後は子育て・環境・住宅再生といった社会的課題に対する取り組みなども積極的に発信、「日本一暮らしやすい」沿線イメージの醸成に向けたコミュニケーションを展開していきます。



(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子  -随時掲載)