(99)多様なツールで世界に情報発信

東レ 広報室長・松村俊紀氏

日本工業新聞社の経済情報紙「フジサンケイ ビジネスアイ」にて、広報部門のエキスパートに取材をしてご紹介しております。

フジサンケイ ビジネスアイ
コーナー 「広報エキスパート」
取材先 東レ 広報室長・松村俊紀氏
新聞発行日 2019年8月22日(木)掲載

広報のプロに広報戦略を聞く。広報エキスパート

【プロフィル】
松村俊紀(まつむら・としき)
 1991年神戸大経営卒、東レ入社。ナイロン短繊維事業室、トレロン・ナイロン短繊維事業部で営業を担当。99年宣伝室(東京)。2003年広報室(大阪)。11年広報課長。17年から現職。


─現在の長期経営ビジョン、中期経営課題の仕上げの年度を迎えました
 東レグループは2011年に、10年先を見据えた長期経営ビジョン「AP-Growth TORAY 2020」を策定し、その達成のために3年単位で中期経営課題を掲げて実践。今年度が最終年度となりました。次の長期ビジョン、中期経営課題では、グローバルコミュニケーションの強化が課題になります。それは近年、炭素繊維関連での相次ぐM&Aや、フィルムなどさまざまな事業で投資を行い、東レグループは今大きく変化しており、約4.万8000人(うち海外の従業員約3万人)の従業員に、グループの現状と将来について正しく理解してもらい、求心力を効かせたいからです。ひいてはそれがグループのブランドアップにつながります。


─具体的には
 一つは、グローバルなインターナルコミュニケーションの強化です。国内外の従業員に東レグループの社員という意識をしっかり持ってほしい。そのために社内報(和・英・中文)やイントラネットなどさまざまなツールでの情報発信、情報共有を行っています。もう一点は、海外コミュニケーションの強化です。東レは国内では知られていますが、海外の知名度はいまひとつです。そこで、グループの横断的なマーケティング&コーポレートコミュニケーション活動(MCC)を開始しました。東京本社の広報、マーケティング、宣伝、IR、CSRなどの各メンバーと、欧米や中国の担当者、例えば米国炭素繊維のマーケティング担当者が一堂に集まり、世界のユーザーから「東レの素材を使っているなら安心」と思ってもらえるような情報発信の方法、マーケティング戦略を検討しています。


─その成果は
 米ノースカロライナ州のシャーロットで開催したキックオフミーティングには18人が集まりました。動き始めると課題が見えてくるものです。現地のメディア対応をどうするか、情報発信のためのイベント展開などさまざまな意見が出されました。


─広報体制は
 広報室は、広報課(5人)、コミュニケーショングループ(6人)、広報室(大阪駐在、3人)、グローバル広報グループ(1人)から構成。メンバーは私を含めて総勢16人です。案件に応じて、IR室や宣伝室、各事業(工)場の総務担当、および国内外グループ会社の広報担当との連携を図っています。広報部門は、新しいグローバルな“企業コミュニケーションのあり方”に向けて、不断の高度化が必要です。SNSに関する動向を高めていくことも重要になっています。当社は1996年からウェブサイトを開設し、適時・適切に情報を受発信しています。また、国内外の東レグループ内イントラネット整備による社内広報のリアルタイム化、双方向化も行っています。


─広報宣伝を担当して20年目になります
 広報マンとして求められることは「Sensitivity & Speed」です。メンバーには、まずバランスの取れた社会人であること。そして、誠実で、信頼を獲得することに労を惜しまない(サービス精神)、知識を増すことに貪欲で、情操に富む(知的好奇心)、繊細な感性と想像力、冷静な分析力を併せ持つ(センス)、ウェブサイト、SNSを活用した広報活動を推進できる(ITリテラシー)-ことを常に念頭に置いて、変化の激しい時代に半歩先駆けた広報を展開してほしいと伝えています。



(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子  -随時掲載)