研究員オダの環境レポート
Vol.41 マイコトキシン学会学術大会
<2015.02.23 更新>

 2月13日(金)に千葉大学亥鼻キャンパスで開催された、マイコトキシン学会第76回学術講演会に参加しました。亥鼻キャンパスには国内で2箇所しかない真菌医学研究センターがあり(残る1つは帝京大学八王子キャンパス)、人に感染するカビ以外にもカビに関する様々な研究が行われています。

■ マイコトキシンとは
 学会名にあるマイコトキシンとはカビが成長途中で産生する毒で、カビ毒とも呼ばれます。「アフラトキシン」や「オクラトキシン」、「二バレノール」、「パツリン」など様々なマイコトキシンが見つかっていて、中でもアフラトキシンB1と呼ばれる種類のマイコトキシンは自然界で最も強力な発がん性を持っています。分解や変性しにくい構造の化学物質なので、食品に付着した場合、過熱で分解されず、食品中に残り続けて問題になります。食品に含まれるマイコトキシンの量は基準値が決まっていて、アフラトキシンB1は5μg/kg以下とされています。国内食品のマイコトキシン汚染は様々な対策によって防止されており、見つかった場合も非常に微量です。国内でマイコトキシンが問題になる場合は、輸入されてきた穀物やナッツ類に含まれるカビ毒ですが、輸入時点で検査されていますので、食品安全上問題の無い製品がお店に並んでいます。

■ 国内調査についての発表
 私たちの研究グループは本大会で「国内ワイン畑のマイコトキシン産生カビの分布調査」について発表してきました。国内ワインがマイコトキシンに汚染されて問題になった事例はこれまで報告されていません。しかし、海外の赤ワインで非常に微量ながらマイコトキシンが検出された事例があるため、国内のワイン用ブドウ畑で調査をしました。この調査結果が善玉なカビと悪玉なカビについての解明の手がかりになれば、と考えています。

 強力な毒性から最も問題視されているアフラトキシン産生カビは、温暖で高湿な環境を好むため、冬期寒くなる国内ではあまり見られず、九州以南で若干報告がある程度です。しかしながら、これまでの調査の結果、カビ毒の一つであるオクラトキシンを産生する種類のカビが一般住宅の環境中に生息していることがわかっています。Vol.30『カビの生えた食品に注意!』で紹介したように、目に見えるほどカビが繁殖した食品は危険ですので胞子が拡散しないように注意して廃棄しましょう。

 
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このコラムについて エフシージー総合研究所・IPM研究室の活動内容や、研究中の内容をスタッフ目線でレポートした記事です。一般のかた向けに分かりやすく解説しています。
IPM研究室とは エフシージー総合研究所・暮らしの科学部所属。室内環境の有害物質を調査・研究しています。特に「室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究」を主仕事としています。
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