研究員オダの環境レポート
Vol.33 2014年度 室内環境学会学術大会
<2014.12.15 更新>

 12月5日(金)と6日(土)に、工学院大学(新宿区)で開催された「2014年度 室内環境学会学術大会」に参加・発表をしてきました。

 人が生活する上で大半を占めている室内の環境は、健康で快適な生活を過ごす上で重要です。室内環境学のテーマは、温度、光、音、ハウスダストなど様々な室内環境中の問題を取り扱っており、それらは複雑に交差し、影響しあっています。大会では様々な分野の研究者が集まって室内環境をテーマにした研究成果の発表と問題点の意見交換をします。
 発表内容は一般住宅内の環境だけに限らず、病院や学校、高齢者施設、美術作品の収蔵庫なども含みます。室内を汚染する化学物質の問題やアレルギー問題の他、空気清浄機や空調機についてなど、様々なテーマが発表されていました。
 室内環境学会は、これまで私が学生の間に参加してきた昆虫関係の学会と比べて、学会参加者の規模に対して一般企業の研究者や企業と大学が共同研究をしているところが多いと感じました。近年、産学の連携は増加傾向にあるため当然の流れなのかもしれませんが、室内環境の分野が産学の融合に適した分野なのだとも感じました。

 本大会では、私たちも以下の3テーマを発表しました。
① 川上:一般住宅の寝室から採取したハウスダストに含まれるダニ、昆虫、真菌の調査
② 橋本:室内空間における2-メルカプトピリジン-N-オキシド含有複合剤の抗菌効果
③ 小田:住宅地に隣接する農地および住宅造成地におけるAspergillus fumigatusの分布調査(第2報)

 今回は私の発表内容について紹介いたします。
 Aspergillus fumigatusは人に感染して「肺アスペルギルス症」を引き起こす、一番の原因となるカビです。しかし、私たちのこれまでの研究では、室内空間に存在する数は多くありませんでした。そこで、カビ胞子が室内に侵入する経路の一つは「屋外の土壌」です。そこで、8月から11月のはじめまでの間、東京都、埼玉県、神奈川県の住宅地周辺で、空気中のA. fumigatus胞子の飛散状況を調査しました。
 調査の結果、東京都西部で非常に高濃度のA. fumigatusが検出されました。その数はA. fumigatus感染患者の自宅以上でした。昨年も同様の調査を行っていましたが、今年の検出率は昨年の半数以下でした。この検出率の低下は予想外のものでした。来年は検出率の低下がなぜ起こったのかについて調べ、「なぜA. fumigatusが主要な病原真菌であるのか」「患者由来株と環境由来株の違い」などの切り口から解明していきたいと考えています。

 
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このコラムについて エフシージー総合研究所・IPM研究室の活動内容や、研究中の内容をスタッフ目線でレポートした記事です。一般のかた向けに分かりやすく解説しています。
IPM研究室とは エフシージー総合研究所・暮らしの科学部所属。室内環境の有害物質を調査・研究しています。特に「室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究」を主仕事としています。
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