研究員オダの環境レポート
Vol.25 九州の酒蔵の麹菌調査1
<2014.10.20 更新>

 10月10日から12日の3日間、九州の焼酎蔵元へ麹カビの調査に行ってきました。私たちの研究室の3名を含め、コウジカビの研究者総勢14名が参加しました。この研究グループでは、これまでに国内各地の酒蔵メーカーを計7回訪問し、同様の調査を行ってきました。
 焼酎や清酒は発酵したお米(麹)を利用して作られます。この麹を作るために麹カビが善玉菌として発酵に利用されています。しかし、麹カビには当研究室が研究している「一般住宅などの生活環境から見つかるアレルゲン性や毒性の悪玉菌」も沢山含まれています。この善玉菌と悪玉菌の境目を解明するために、私たちの研究グループは、カビを日常的に利用している発酵の現場で調査を行っています。
 今回は、九州で焼酎を製造している4つの蔵元で調査と見学をしてきました。このレポートでは回った蔵元の特徴について紹介したいと思います。

①A酒造
 使用する麹は昔ながらの手作りで行われていました。この地域の他の蔵元では機械で麹作りを行っており、麹を手作りできる技術は、現在、A酒造の3名だけが持っているとのことでした。

②B酒造
 今回の調査3日間を通じて大変お世話になった蔵元です。製麹(せいきく)や仕込みから蒸留までの焼酎製造の一連の流れを見学させていただき、杜氏さんから非常に沢山の貴重なお話を頂くことが出来ました。独自の焼酎として、花から分離した花酵母を使用した焼酎も製造していました。また、蔵元内の隅から隅までの検査を承諾してくださいました。

③C酒造
 焼酎をカメや樽、タンクなど様々な方法で造っていました。また、海外や国内の品評会に積極的に参加しており、高い評価を得た焼酎が数多くありました。

④D酒造
 昔ながらの手法で、米麹と大麦を「カメ」に入れて仕込み、常圧で蒸留している蔵元でした。カメでの仕込みを行っているため、非常に多くのカメが置かれていました。

 どの蔵元も焼酎作りのための麹菌に日常的に触れているめ、咳などのアレルギー症状が見られる杜氏が少なからずいるようでした。見学の中でも麹菌を手でまく場面があり、そこでは目で見える煙状となって、菌が舞い上がっており、作業員はマスクをしていましたが、沢山の菌を吸い込んでいると考えられます。善玉菌として利用しているカビも人体に悪影響を及ぼすように、善玉菌と悪玉菌の境目は非常に曖昧です。そこで、これまでの調査を、その境目や、カビとの上手な付き合い方の理解に繋げていきたいと考えています。
 次回のコラムでは、カビとの上手な付き合い方の一例として、今回の調査で見た焼酎作りの流れを紹介します。

 
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このコラムについて エフシージー総合研究所・IPM研究室の活動内容や、研究中の内容をスタッフ目線でレポートした記事です。一般のかた向けに分かりやすく解説しています。
IPM研究室とは エフシージー総合研究所・暮らしの科学部所属。室内環境の有害物質を調査・研究しています。特に「室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究」を主仕事としています。
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