研究員オダの環境レポート
Vol.24 においを計るために
<2014.10.06 更新>

■優れたセンサー「鼻」
 今回のは「におい」についてお話します。私たちは、花の香りや香水などの良い香り、かび臭や生ゴミ臭のような鼻をつく悪臭など日々様々なタイプのにおいを感じて生活しています。においは、空気中の物質が鼻の中にある「においセンサー」に接触して、感じ取られています。においセンサーは非常に高感度で、腐った魚のにおいでは0.0001ppm(100万分の1の濃度)ほどの、空気中の極わずかな物質を感じ取ることが出来ます。そのため、微量の化学物質であっても、体調不良の原因に繋がる場合があります。8月末に参加したカビ毒研究連絡会(コラムVol. 20)のシンポジウムで「機械では計測できない非常に微量な物質を鼻が感じている例があり、異臭の原因特定が非常に困難な場合がある」との報告を聞きました。
 また、におい物質の量と感じ方にはズレがあり、物質量が2倍になっても感じ方は2倍にはなりません。対数と近似すると考えられており、物質量が10倍になると2倍に、100倍になると3倍程度に感じます。ヒト以外の動物も同様で、嗅覚が100万倍と言われる犬の感じ方も、6倍程度のようです。

■昆虫をセンサーに
 微量なにおいを計測する技術は、カビ臭や腐敗臭などの問題以外にも、爆発物(火薬)や麻薬など犯罪対策としても期待されています。そのため、より高感度なセンサーの研究開発が国をはじめとする様々な研究機関で行われています。その一つが、昆虫を工学的に利用したセンサーの開発です。昆虫のにおいの感度はヒトよりも優れており、非常に低濃度の物質をすぐに感じることができます。また、昆虫の触覚と同程度の人工センサーの開発は困難であるため、現時点では昆虫の利用が注目されています。
 一例として、カイコの触覚にある「におい感受部」の遺伝子を人工細胞に導入し、特定のにおいに反応する」シートや、モーターと組み合わせることで「においに向かって走る」ロボットなどが開発されています。これらの技術には、昆虫のにおい感受メカニズムの解明が必要です。このメカニズムの解明は昆虫の工学的利用以外にも、フェロモンに対する反応機構にも関係しているため、害虫の交配防除できる化学物質の効率化にも繋がります。生体を利用しているため、どうしても寿命が短くなるのが欠点です。
 しかしながら、昆虫は簡単に繁殖させることができ、かつ、神経のメカニズムが単純というメリットがあり、このような工学的な利用との親和性が高いようです。また、神経メカニズムの一環として、ハエやゴキブリのラジコン化といったユニークな研究も行われているようです。

 
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このコラムについて エフシージー総合研究所・IPM研究室の活動内容や、研究中の内容をスタッフ目線でレポートした記事です。一般のかた向けに分かりやすく解説しています。
IPM研究室とは エフシージー総合研究所・暮らしの科学部所属。室内環境の有害物質を調査・研究しています。特に「室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究」を主仕事としています。
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